アメトラ デーヴィッド・マークス(2017)
↑を読み終わったらAmazonでオススメとして出てきたので次の本として手を取ってみました、アメトラ。
日本のアメリカントラディショナルの流れを語る内容と思いきや、戦後のみゆき族から現代のヴィンテージレプリカに至るまで1960年代から2010年代まで語るほとんど日本の服飾史と遜色ないような結構濃い内容で読み応えがあって。
うーん、これは良かったです。
まあ僕は92年の生まれで本文で言及されてる流行あるいはブーム的なものはほとんど触れたこともなく、追体験するようなこともなかったんですがその分新鮮に読み進められたような気がします。
自分の知ってる単語が出るとテンションがちょっと上がって面白くなるのはなんていう現象なんでしょうね。
個人的に1番印象に残ったエピソードは70年代のジーンズのお話で。
当時のビックジョン等の国内ジーンズブランドは生地からリベット等細かいパーツまでアメリカから輸入してジーンズを作ってたそうで、日本で作っていたけれど材料は輸入頼りだったそうです。
ただこの状況に変化が訪れます、ニクソンショック(ドルショック)ですね。諸々の影響で材料を国外から調達することが出来なくなり、国内生産にビックジョンも本格的に舵を切ることになります。
ここでネックになっていたのはジーンズそのものの生地、糸の真ん中が白い藍染がどこも再現できなかったそうです。
最終的にそれを実現したのが「あの」カイハラ。この時のカイハラは絣業者としてあと数ヶ月で倒産、というところまで来ててカイハラとしてもデニムに社運を賭けたって感じだったんでしょうか。
最終的には生地はカイハラ、ジッパーはYKK、分厚い生地を縫うミシンは三菱とジューキが補うことで国内のみでのジーンズ生産が実現されました。
いや、胸熱展開な感じでここは読んでて面白かったです。
作中ではここら辺までしか言及されてないけど、その後1973年には逆にリーバイスの生地をカイハラが一部製造するようになります。
更にはリーバイスのヴィンテージアイテムを復刻するコレクションLEVI’S® VINTAGE CLOTHING(LVC)の2019AWからカイハラがサプライヤーとして使用されてるそうです。
と言った感じで、見知った名前も掘り進めると理解が深まって読んでて楽しかったです。
他にも石津謙介氏の生まれからVANの盛衰、ジーンズの流行、ヤンキーファッション、BEAMSの創業、渋カジ、裏原、ヴィンテージジーンズとアメカジ文化の日本からアメリカへの逆輸入と色々語ってます。
面白いですよ、オススメです。
著者のデーヴィッド・マークス氏は今もバリバリ活動してるみたいで、最近はNIGOにインタビューしてる記事を見かけました。
こういうのも名前を覚えておくと誰がどういう考えでどういう立ち位置から喋ってるのか想像を巡らすようになるので面白いですね。
おわり。