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優しい世界は、この手でつくれる

風がからからの東京より、こんばんは。
寒い日が続く最近ですが、こころがほんわりする出来事があったので、書きたいなと思います。

先日、放射線治療のため病院に向かう途中で、電車の運転見合わせに巻き込まれました。よく遅延する路線だったので、それ自体に驚きはしなかったのですが、朝一番の治療に間に合わないのは一大事なので、已む無くタクシーで向かおうと駅を出たのです。

ロータリーにタクシーは全然停まっておらず、わたしの前には数人が先に待っているところ。並んでいると、わたしの前に並んでいた海外の方が、ここで使えるWiFiはあるか、と尋ねてきました。
聞けば、行き先に到着が遅れることを連絡したいとのことでしたが、WiFi環境下でないとスマートフォンが使えない状況のようでした。
ロータリー近くの商業施設にはフリーのWiFiがあったので、そちらはどうかとお伝えしたのですが、なぜかその方のスマートフォンでは繋がらず…

タクシーも台数がなく、すぐ来るという状況でもなさそう。そしてこの方は目的地へ着くことが遅れてしまうことをめちゃめちゃ焦っているのが伝わってきました。通勤ラッシュの時間帯です、無理もありませんよね。
もう少し話を聞くと、最終目的地は異なるものの、経由のために向かう先が同じと判明したので、次に来たタクシーの相乗りと、わたしのスマートフォンから行き先の方へご連絡をすることを提案しました。この方のスマートフォンが使いものにならない現状、他にやり方が思い浮かばなかったのです。

かけた電話には出てもらえませんでした。相手にすれば、知らない番号からの着信です、そりゃそうだ。出てもらえるかはわからないな、と思いながらかけたので、聞いた番号宛てにSMSを送りました。こちらは読んでもらえ、丁寧なお礼のメッセージが返ってきました。
しばらく待った後にやって来たタクシーでお互いの目指していた地点まで無事に到着し、同乗した方はわたしに何度もお礼を伝えてくださりながら降りていかれました。ここまでは、よくある…かはわからないけれど、たまにある話かと思います。

SMSの受取主のことは不必要に知らない方が良いと思いましたし、発信履歴は削除しますとお伝えして削除しました。同乗者さんが目的地に無事に着いたかどうか知る術がなくなって気になったけれど、それを追及することはしなくて良いと思っていました。
ところが、その日の夕方、SMSの受取主さんから再びお礼のメッセージが届いていたのです。同乗者さんは無事に目的地へ着き、用事にも支障が出なかったことをそのメッセージで知ることができました。

綺麗事に聞こえてしまうかもしれませんが、特別なことをしたとは思っていません。困っていそうな人に、その場でできる限りのことをしただけ。
でも、そのお礼のメッセージをもらって、とてもあたたかな気持ちになれたのです。感謝の言葉を、とてもありがたい気持ちで受け取ることができました。
やっとタイトルに戻りますが、この体験をとおしてわたしは "優しい世界は自分の手でつくることができる" と思うことができました。お礼を言うのはこちらこそだったのです。わたしが良かれと思ってしたことが、手を差し伸べた方ご本人だけでなく、その方の周りの方にまで届いたということが純粋に嬉しかった。

寒い日が続きますが、こころがあたたかくなった最近の出来事でした。


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