ねえ、なんでリリース日は1ヶ月後じゃないといけないの?
音源リリースによる活動に関わる全ての人に一石投じたいことがあります。(多分すでに何石も投じられてるとは思うけど 笑)
みなさん大抵インスタとかツイッターを個人的にやってると思いますが、自分の投稿が1ヶ月後に公開されたら、1ヶ月前に書いたことが今頃どんどん広がっていったら、どんな気分でしょうか。戸惑うことも多いのではないでしょうか。いつ公開されてもいいような内容ならまだしも、その瞬間に感じたことを表現するような内容であればあるほど、その意義は時と共に変化してしまう。創作がリスナーのニーズ軸じゃなくて自己表現軸のアーティスト(あるいは楽曲)だと音源リリースって結構毎回そんな感じなんですね。
楽曲のリリースって曲が完成してから今だと最短で2-3週間、だいたい1ヶ月以上見るところが殆どです。それはなんでかと言うと、曲のリリース日に合わせてメディア展開や各種プロモーションが集中しており、ニューリリースを紹介するプレイリストが今の拡散の重要な車輪になってるからです。その効果をマックスにするためには曲の登録から3週間はだいたいかかるから、リリース日をそこに合わせるんですね。
せっかく時間も労力も注いだ作品だからできるだけ広げるための努力として3週間かけること自体は尊いのですが、そのかわりアーティストの表現物の鮮度が落ちてしまうと考えると、どっちかを取るっていうこと自体なんとかならないのかって僕は思うんです。
もし音源を完成した時点でリリースしちゃって、そのあと時間をかけて段階的に広げるようなアプローチだったら本来問題はないはずなんです。でもなんというか、みんなが、まるでリリース日が曲が産まれた日みたいなテンションになってしまってるのは、純粋にCDとか盤売りの時代は本当にリリース日まで音源公開は物理的にできなかったことの名残でしかないのでは?
もちろん今までもリリース日まで、特に予算あるところは予約経由のプロモーションとかティーザーとか、プリパブの宣伝キャンペーンはあるんだけど、それは曲に完成と共にリリースして作品を分かち合いないながら広げていくこととは違う。
もしアーティストファーストの具体例を一つ挙げるなら、アーティストの表現の鮮度とそれを感じ取りたいコアファンの繋がりを持ちつつ、さらに段階的に多方面に広げていくような、バランスのとれた作品の扱い方をオプションとして用意することもそれにあたるのではないかと思うんです。だって、曲完成した時のエネルギーを受け取ってくれてるリスナーがいるって思えば、その1ヶ月後に当時の意図とは全然違う伝わりかたになっちゃったとしても、納得の度合いが高いと思うんですよねー。
今もリリース後に色んなプレイリストを通してロングテールで広がっていく構造はできつつあるし、「NEW MUSIC WEDNESDAY」ならぬ「OVERLOOKED MUSIC WEDNESDAY」みたいな感じでリリース初期に拾えなかった名曲たちをぎゅっと紹介するようなチャンネルがもっとメジャーになっていけば、リリース日にプロモーションのリソースを集中させる必要がそこまでなくなる訳で(もちろん一気にプロモやったほうが効率的なのもわかるんですが)。
いつもこの例を出してて恐縮ですが、2010年代の初期の欧米のもっとも主流なストリーミングプラットフォームはSoundCloudで、そこでは、曲できた日に適当なアートワークつけて公開して、それがリスナーコミュニティーの拡散力だけで何百万回再生とか行ってた世界を経験してるので、今はそういうプラットフォームは残念ながらしばらく鳴りをひそめているんだけど、今主流になっているプラットフォームが軸でも「表現の鮮度」と「表現の広がり」を両立するような環境はできるのではないかと思ってます。
あとはもう、リリースに関わる僕らが、リリース日軸のプロモーションという概念を破れるか次第。