「冷たい熱帯魚」を観たよ

なんとなくグロテスクなものを観たくて、昨日「ムカデ人間」と一緒にこれを借りてきました、「冷たい熱帯魚」。
18禁ということでね、もちろんスケベなものを期待してましたよ。
女一人でTSUTAYAの大人の映像作品コーナーに行けるほどの勇気はねえからなあ。
一般の作品に混じってるこういうのにちょっと期待しちゃうわけよ。

実際スケベなところもありましたが、それ以上にグロテスクでしたね。

ネタバレ込みでなるべく最後まで書く

・起

主人公は小さな熱帯魚のお店を経営している社本という、おじさんです。
メガネなんかかけちゃってね、見るからに気弱そうなうだつの上がらない野郎ですよ。彼には病死した前妻との娘であるみつこと、後妻の若妻、妙子がおります。
この娘の憎たらしいこと。ちょっと殴りたくなる。高校生ではないようですが、反抗期真っ只中のグレた女の子です。

みつこは後妻のの妙子を快く思っておらず、どうやら日常的に暴力を振るっているような描写もありました。妙子が喫煙者であることを激しく責めており、「お前が来てからこの家がタバコくせえんだよ!」とか怒鳴ってました。やだわぁ、若い子は怖いわぁ。

ある日、そんなみつこがスーパーで万引きをしたという連絡が社本のもとに入ります。大急ぎでスーパーに向かい、店長に謝罪をしますが、店長は激おこぷんぷん丸。警察呼んじゃうもんね!と怒り散らかしております。
しかし、そこに入ってきて店長をなだめ、社本たちを救ってくれる人物が現れます。彼は近所の熱帯魚店を経営している村田という男で、みつこの万引現場を発見した人だそうです。
いい感じに店長をなだめた村田は、そのまま社本たちを自身の経営している熱帯魚店に招待します。気のいい村田に妻も娘もノリノリ。社本の店とは比べ物にならないような村田の店に、社本も思わず「水族館みたいだ」と感想を漏らします。

村田はみつこに自分の店で働いたらどうか、と誘います。オジサン、君の社会復帰を手伝っちゃうぞ!って感じ。いい人やね。
そんなこんなで、みつこは村田の店で働き始め、社本はちょっとモヤモヤしてる様子は見受けましたが、何も言わずに居りました。

村田は社本をとあるビジネスに誘います。胡散臭いんやけど、なんかヤクザっぽいオジサンに熱帯魚を、一千万という高値で売りつけようとしていましたw 多分あれはアロワナだと思うんですが、そんなに値が張るのかなあ。SSRくらいの価値でもあるのかもしれませんね。
話し合いは何やら揉めてしまいます。魚を売りつけられそうになっていた吉田という男は、「一千万もするわけがないと詳しい人に聞いたぞ!」って言うわけですよ。多分その詳しい人は正しいよ。

・承

で、村田はなんやかんやうまいこと演技したりして、吉田を言いくるめてしまいます。そうして大金をせしめたのですが、その後村田は吉田を毒殺します。(大事なとこの説明に手を抜くおばさん)
呆然とする社本の目の前で、村田と村田の奥さんの愛子は手際よく吉田の死体を運び出します。社本は流れで運転手をさせられ、とある山の頂上にある小屋に死体を運びます。
村田夫妻は小屋の中に死体を運ぶと、手慣れた様子で死体処理。和気あいあいと話しながらね。「脱腸の手術受けたって言ってたの本当だったなあ!」とかなんとか、キャッキャウフフって感じですよ。
社本は完全に思考停止状態。流れに身を任せすぎやろ。

いい感じに細かくなった吉田の死体。骨は燃やして灰にして山にバラ撒き、細かく切り刻んだ肉は、山奥の川に投げ込み、魚の餌にしました。
なんと村田は連続殺人鬼でした。社本は村田に「家族に迷惑をかけたくないだろ?なら黙ってろ」と脅します。

「ボデーが透明になっちまえばなんにもわかりゃしない!俺は常に勝つ、しんたろう!」

やかましいわw
と、そんなこんなで村田の共犯になってしまった社本でした。
後日、吉田の弟分のヤクザさんたちが怒鳴り込んできたときにも、前もって村田たちから頭に叩き込まれて居たセリフで証言をするなど、もういい操り人形です。

吉田の弟分たちが返った後、さっさと帰ろうと車に向かう社本を、警察の方が呼び止めます。
警察の方は、以前の村田のビジネスパートナーは家族ごと行方不明になっていることや、今まで村田の周りで30人以上の人が行方不明になっていることを社本に教えます。
警察が帰っていった後に、ショックを受けた様子で運転席に座る社本の携帯に、村田からの着信。何やら怒っている様子です。やべえ殺されるかもしれん。

二人は車に乗り込み、後部座席に座る村田の指示でとある家に向かいます。そこでは、村田の顧問弁護士がベッドの上で死亡しています。股間の第三の足がまだ覚醒している状態で死んでいます。直前まで何をしていたのかは想像つきますね。
なんと、一緒に居たのは村田の嫁の愛子。弁護士とは不倫関係でした。ついでに村田の運転手である男も殺し、村田ご夫妻、いつもどおりの手慣れた様子で死体処理をしにあの山へ。

「妙子もみつこも生かしちゃおかねえ!」という村田の言葉に、社本も手伝わざるを得ません。
死体を処理して肉を川に投げ込んだ後、イヤイヤながらも自分では何も行動とせず、ただただ言いなりになっている社本にイラついたんでしょうね。村田は社本を煽るようなことを言い出します。
そこからしばらく村田と社本の喧嘩シーン、その後何故か村田は社本に「愛子を抱け!」と言い、ノリノリの愛子とともに無理やり彼のズボンをおろし、まあ、強引に合体させます。

・転

ヤケになった様子の社本は腰を振り出し、村田はそれを笑って眺めます。
社本はほんとにヤケになったんでしょうね。近くにあったボールペンで愛子の首を刺します。その後勢いで村田も刺します。
しかし殺すまではせず、村田は虫の息の状態までフルボッコ、愛子はすぐに血が止まったようでした。急に覚醒した社本に、愛子は何故か目をハートマークにしています。お前は正真正銘のメンヘラ○ッチだよ。揺るぎねえよ。いっそかっこいいわ。

山小屋の中に村田を運び、社本に言いつけられてトドメを刺して死体処理をする愛子。私は彼女が作中で一番根性のある人物だと思っております。忠犬愛子。

その後、着替えた社本は一度帰宅します。途中、村田の店に居たみつこを強引に連れて帰り、帰宅してすぐにガンギレ状態で妙子に「飯作れや!!!」と怒鳴ります。従う妙子。
そうして意味わからん雰囲気のまま食事を始める三人。途中彼氏から電話が来て、出ていこうとするみつこを鉄拳制裁で気絶させる社本。ついでに彼氏にも鉄拳。
その後社本は嫁に村田と寝たことを言及し、彼女に襲いかかってまあ、…うんw

気絶しているみつこと妙子を放置して、社本は再び山小屋へ向かいます。
その際に以前話しかけてきた警察の人に電話をかけ、「今から村田とカタをつけに行く、もうたくさんだ!」と言い捨てて通話を切ります。

山小屋に戻ってきた社本を待っていたのは、血まみれになりながらも村田をいい感じに細切れにしていた忠犬愛子。満面の笑みで社本の歩み寄り、血まみれの両手で彼のズボンを下ろそうとする愛子。ここまで来ると健気過ぎて可愛く見えてくる不思議。
そんな愛子の脳天に、社本はなんか硬いもんを振り下ろします。なんだったか、私にはよく見えなかったです。

泥沼のような乱闘の末に、社本は愛子の腹を包丁で刺して殺害します。
小屋の外で椅子に腰掛けてぼんやりとしている彼のもとに、件の警察の二人が到着。車の中にみつこと妙子もいます。

・結

警察は小屋の中の死体を確認しにいき、社本は車の中の妙子に向かって、憑き物が落ちたような、スッキリした表情で「よう」と、片手を挙げて見せます。
泣きそうな顔で車を降りた妙子は、彼に走り寄ると優しく抱きしめます。社本、そのときに持っていた包丁で妙子を刺殺。

驚いて車を降りるみつこ。彼女に近寄る社本。みつこに包丁を突きつけ、

「みつこ、お前、一人でも生きていけるよな?生きたいか?」

それに対して必死に「生きたいよ!」と叫ぶみつこ。よく言った!と叫ぶ社本。

「生きることはなあ、痛いんだよ!!」

そう言い残し、社本は己の首を包丁で切って自決。
倒れる社本の亡骸を覗き込んで、死んだことを確認したみつこは、こう叫びます。

「やっと死にやがったなクソジジイ!」

死体蹴りをしながら「起きてみろよクソジジイ!」と罵倒するみつこ。
やがて画面は暗くなり、星空に浮かぶ地球が移ります。その後エンドロール。おしまい。

感想

なんか心が重いけど、スッキリした。

主人公の社本は優柔不断な性格で、自分では何も行動しようとせず、周りが動くのに合わせて流されて生きているタイプの人間です。
エヴァのシンジくん知ってる?あれをネガティブな方向に強化した感じ。諦めたまま大人になった感じ。すげえイライラする。

この映画では、そんな彼が人間として変化していく様も描かれております。
皮肉なことに、社本を変えたのは極悪人の村田。変に説教臭い村田の言葉に鼓舞され、社本は変わっていくのです。まあすぐ死んだから元も子もないけど。

最後のみつこの演技は、社本の言葉を全否定するようであって、実は全肯定しているようにもとれます。まさに「生きてる」って感じの絶叫、いいですね。

胸のムカつくような描写も多かったですが、なんだか爽快感の残る映画でした。あといい感じにエッチだった。

今回はここまでにします。ただいま深夜ですが、昼頃に気が向いたら朗読でもしようと思います。最後までお付き合いして頂いて、どうもありがとうございました。またね!

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