「パンズ・ラビリンス」を観たよ

人生で観てきた映画の中で、ベスト10くらいには絶対入るくらい好きな映画です。
最近Amazon先生でDVDを買いまして、ウキウキで観ました。

ジャンルで言うとダークホラーファンタジーといったところですかね。
観る方の年齢によっては、わりとトラウマもののシーンもあります。PG12作品です。


ネタバレ込みの筋書き

冒頭のシーン

1944年、スペイン。森の中に潜むゲリラ掃討を目指す軍人・ビダル大尉と結婚した母親と共に、主人公オフェリアは都会から車でお引越し中のシーンから、物語が始まります。

ガタガタと揺れる車内に気分が悪くなった母カルメンの様子を見て、オフェリアは車を停める様に運転手に頼みます。

母が外の空気を吸って休んでいる間、そこらへんを歩いていたオフェリアは、石像の欠片のような、不思議な石を発見しました。周囲を見回すと、都合のいいことに謎の石像があります。そこん居いい感じに拾った欠片をはめ込みますと、石像の口からなんかありえねえくらいでけえ虫が出てきた。
体調を整えた母に呼ばれて戻ったオフェリア、母に「妖精がいたの」と申す。でっけえ虫のどこが妖精か。出てきた瞬間ヒエッ!てなったわよ私は。

オフェリア達が屋敷に到着するのを、ビダル大尉は懐中時計片手に出迎えます「○分遅刻だ」と。(何分と言っていたかは失念)
大尉はどこか空っぽな笑みを浮かべながらオフェリアの母を迎えます。母の後から車を降りて、オフェリアは大尉に向かってぎこちなく手を伸ばして握手を求めますが、右手に本を抱えていたため左手を差し出したオフェリアの手を、ギュッと強く握りつぶして「右の手を出せ」と、静かな口調で彼女に凄みます。

そのことから、ビダル大尉は冷酷な人間であるということが伺えますね。
極めつけがオフェリアの母が臨月であるのに長距離の移動をさせ、そのことで苦言を呈した医者にも「いざとなったら息子だけは必ず助けろ」と言っています。
なんでまだ生まれても居ないのに(時代的にもエコーで胎児を見ることもできないでしょうに)、息子だとわかるのかと聞かれると、なんか「息子に決まってんだろ俺の子だぞ」的な。すげえ自信だぜ。

守護神パンとの出会いとメルセデス

引っ越してきたオフェリアの身の回りの世話を任されたのは、メルセデスという女性でした。彼女は優しく、知らない土地(しかも同年代も他に居なさそうなど田舎)で心細いオフェリアの精神的な支えにもなるような方です。

しかしメルセデスにはなにか秘密がありそうで、時折ビダル大尉を見る目に宿る密かな敵意や、夜に母の診察をした後の医者と廊下で「怪我をした仲間がいる」とコソコソ話しているところを、オフェリアは目撃してしまいます。

さて、引っ越した日の夜、母の胎内で暴れる赤ん坊、苦しむ母。オフェリアは母のお腹に耳を当てて、即興でおとぎ話をしました。しばらくすれば赤ん坊もおとなしくなり、母はぐっすりと眠ってしまいました。母と同じベッドで眠るため、布団に入ろうとするオフェリアのもとに、昼間のあの虫が現れます。

オフェリアがその虫に本にある妖精の絵を見せると、なんと虫のクセに変身しだした。怖い。人形の、間違いなく妖精の姿となったそれは、オフェリアを屋敷の外にいざない、外にある樹木や岩でできた天然の迷路の中に連れていきます。
迷路の中には、地上から地下に降りるような螺旋階段がありました。オフェリアがそこを降りていくと、そこにはちょっとした空間があり、そこで守護神パンと出会います。

頭にぐるぐると巻いたヤギのような角と足、体は全体的に樹木のような質感で、明らかに人間ではありません。余談ですがパンの体はほとんど実写だそうです。ヤギのような足だけがCGで、ほかは特殊メイクだそうです。すごい技術だね。
パンが言うには、オフェリアはかつて地下にある魔法の国のお姫様だそうです。その昔、お姫様は人間に憧れていて、ある時お付きの者の目を盗んで地上へと続く階段を登っていきました。地表に出たお姫様は、陽の光の眩しさに目がくらんで、記憶がなくなってしまい、ただの人間になってしまったのです。

で、オフェリアはその人間になってしまったお姫様の生まれ変わりだと言うのです。
パンはオフェリアがただの人間になってしまっていないか、それをを確かめるために3つの試練を与え、次の満月までにそれらをクリアしたら魔法の国に連れて帰る、と言いました。そして一冊の白紙の本と小袋を渡し、闇に消えてしまいました。

第一の試練

翌日、夜には近隣のなんか偉そうな人たちを呼んで晩餐会があります。オフェリアは母に言われ、おめかしする前に見を清めるために浴室に一人でこもります。予め浴室の中にパンからもらった白紙の本を隠していたオフェリア、それを取り出して開いて見ました。
すると、真っ白な紙に絵が浮かび上がり、地図が出てきました。

「近所の大きなイチジクの木の根本に住み着き、木を枯らしているカエルに、魔法の石を飲み込ませろ」

浴室から出たオフェリアは、母が晩餐会のために用意したドレスを着て、件のイチジクの木に向かいました。
木の根本には洞穴があり、中はドロドロの地面。オフェリアはきれいなおべべを汚さない様に服を脱ぎ、近くの木の枝に引っ掛けて、下着姿でその洞穴に入ります。
洞穴の奥には本当にカエルがおり、なんかありえねえくらいでかい。オフェリアはほんと一緒にパンから受け取った小袋の中に入っていた石を、機転を利かせてなんとか飲み込ませることに成功します。
すると、カエルは口から気味の悪い巨大な物体、多分臓器的な何かを吐き出して死んでしまいました。うわあ~気持悪い。
その臓器的な物に、金色の鍵が張り付いていました。それを取って、オフェリアは這々の体で洞穴から外に這い出します。すると、近くの枝に引っ掛けていたドレスが、風で落ちて地面の泥の上にありました。しかも大雨まで振り出した。散々だぜ。

泥だらけで帰宅したオフェリア、母に叱られながらも「ビダル大尉も怒っていた」と言われたことに、ひっそりとほくそ笑みます。**ざまああああああwww
**

その日の深夜、カエルの腹から出た鍵を持って、オフェリアは地下のあの空間に向かいました。パンは彼女に魔法のチョークを渡し、第二の試練も頑張れやと言って姿を消します。
翌日、浴室であの本を開くと、ほんの白紙に血痕のようなものが浮かび上がり、それはまるで女性の生殖器(内臓的な方ね)の形でした。血痕はどんどん広がり、生殖器のような形も消え、本のいち面が真っ赤に染まってしまいました。
怖くなって本を閉じたオフェリアを、浴室の外から母が呼びます。浴室から出てきた彼女を出迎えた母、股間から出血大サービス。はい、不謹慎でしたごめんなさい。
容態が悪化した母は絶対安静になり、オフェリアは母と別の部屋に移ることになりました。

第二の試練及びこの作品最大のトラウマシーン

母が絶対安静になり、オフェリアは試練を諦めようとしていました。そこにある夜パンが部屋にやってきて、「お前はよ試練やれや」と怒ります。言い訳のように母の具合が悪いことを訴えるオフェリアに、人間のような形をした植物と、第二の試練の案内役となる妖精を三匹と、砂時計を授けます。
その植物はマンドラゴラで、新鮮な牛乳に浸して母のベッドの下に置き、毎日血を2滴垂らせば、母の具合は良くなるとのこと。

第二の試練、魔法のチョークで壁に入口を作って中に入り、砂時計の砂が落ちきる迄にアイテムを回収して戻ること。中にある食べ物や飲み物は口にしてはならない。

パンが立ち去ってすぐ、オフェリアは寝室の壁に魔法のチョークで、いい感じに自分が通れるサイズ感の四角を描きました。するとあら不思議、四角の内側をグッと押すと、扉のように開いたのです。

砂時計をセットし、オフェリアは中に入っていきました。
石造りの壁の通路を行った先に、少し開けた空間があります。柱の下にはたくさんの子供の靴が山積みになり、中央には大きなテーブルが置いてありました。
テーブルの上には赤い色味のスイーツや飲み物がたくさん置かれており、お誕生日席に誰かが座っています。

その人はおそらく男性で、本来目があるはずの場所には何も無く、鼻と口だけののっぺらぼうです。
頭に毛はなく、おそらく全裸なのでしょうが、首や腹には伸びきった皮膚がダルンダルンに積み重なっているので、際どいところは見えません。安心だね。
なんだか爪の先が黒くなっている両手をテーブルに乗せており、両手の間にはひとつのお皿が。お皿の上には目玉が2つ、綺麗に並べてありました。うえぇ........。

男は微動だにせず、静かに椅子に座っていました。
オフェリアは気味悪く思いながらも辺りを見回し、壁に鍵穴があるのを見付けます。カエルの腹から出てきたあの鍵を取り出し、やったぜとなるオフェリア。
鍵穴に向かうところで、壁にある絵を見てしまいます。お誕生日席に静かに座っている男が、小さな子供たちをあらゆる方法で殺し、食べている絵でした。

とりあえずそのことは気にせず、鍵を鍵穴にIN。さっさと中のアイテムを取り出しました。中には豪華な装飾のナイフが入っていました。
アイテムを手に入れたので後は帰るだけだったのですが、オフェリアは誘惑に負けて、テーブルの上にあるぶどうを2粒、食べてしまいます。

道案内に同行していた妖精が止めようとするも手でそれを払い除け、ぶどうを貪るオフェリア。まるで取り憑かれたようです。

さて、そんなオフェリアの後ろで、お誕生日席の男が目を覚ましてしまいます。
男は指先をピクピク動かしながらお皿の上の目玉を摘むと、己の手のひらの中央にある窪みにはめ込みました。そうです、彼の目は顔ではなく手のひらについてるのです。

目玉を両手にセットした彼は、どうしたとおもいますか?本来目のあるはずのところ、自分の顔に手を当てて、オフェリアを視界に捉えたのです。
つまり、両手を顔の前で「(いないいない)ッバァーーーー!」ってしてオフェリアを発見した。

オフェリアの背後に迫る男を追い払おうと、妖精たちが男の周りを飛び回りますが、直ぐに捕まって頭から丸齧りされていきます。
やっと男に気付いたオフェリアは逃げ出し、色々大変でしたがなんとか自分の寝室に戻ってこれました。

翌朝、パンに渡されたマンドラゴラで言われた通りのおまじないをやって見ると、本当に母の具合が良くなり、オフェリア一安心です。
そして夜、パンに第二の試練で手に入れたナイフを渡しました。中でブドウを食べたことと妖精が食べられてしまって、一匹しか生き残ってないことがばれてしまいます。生き残った妖精がパンにチクリやがった。

パンは激おこ、もうお前ほんまアカンな的なことを罵りつつ、「もう知らんお前!」的な勢いで彼は姿をくらましてしまいます。

母の死と最後のチャンス

パンに見限られたオフェリアでしたが、翌朝もマンドラゴラさんに血を垂らそうと、母のベッドの下に潜り込みました。
しかし、そこをビダルに見つけられて怒鳴られ、仲裁に入った母に「人生はおとぎ話じゃないんやで」と、マンドラゴラを暖炉に投げ込まれてしまいます。
すると、マンドラゴラが火に焼かれると同時に母の容態も急変し、駆けつけた医者たちによって急遽出産します。
生まれたのは男の子、そして母は死亡。すぐにお葬式シーンでしたが、葬式中ビダルはずっと赤ん坊を抱いてご満悦の様子でした。お前このやろう。

その日の夜、メルセデスはビダルにゲリラのスパイだとバレていることが、彼との会話の内容から伺えました。
すぐに逃げ支度をしたあと、メルセデスはオフェリアの寝室に別れを告げに行きます。しかしオフェリアは「私も連れて行って!」と懇願し、根負けしたメルセデスは彼女と共に屋敷を逃げ出します。
しかし、すぐに捕まってしまい、オフェリアは寝室に閉じ込められ、メルセデスは拷問を受けそうになります。

柱に縛り上げたメルセデスの前で、ビダルは得意気に拷問について語りだします。やがて彼はメルセデスに背を向け、楽しそうにどの道具で苦しめてやろうか〜とか話し出しました。
その隙に、こっそり服の中に隠していたナイフで縄を切るメルセデス。気付かない間抜けなビダル。

縄を切って自由になったメルセデスは、ビダルの肩や口をザクーッと切りつけ、怯んだ隙に逃亡。軍に追いかけられますが、メルセデスの弟でゲリラのリーダーであるペドロに助けられます。

一方、オフェリアの寝室にパンが現れました。
彼はオフェリアに最後のチャンスとして、「弟を連れて、屋敷の外の迷宮に来い」と言います。
よっしゃ、やるわ!と、オフェリアは魔法のチョークを使ってビダルの部屋に侵入し、なんとか弟を連れ出します。ついでに、ビダルの飲みかけのお酒のグラスに睡眠薬を盛りました。抜け目ない娘よ。

結末

オフェリアが部屋から逃げ出そうとした所で、ビダルが戻ってきます。咄嗟に隠れたオフェリアはビダルが睡眠薬入のお酒を飲んだのを見て、こっそり背後の部屋の入口から出ようとします。しかし見つかる。

睡眠薬でふらつきながらも、銃を片手に追いかけてくるビダルから必死に逃げるオフェリア。迷路の中央の螺旋階段まで走っていくと、そこで待っていたパンにこう言われます。

「無垢なる者の血を流せば、魔法の王国への扉が開きます」

つまり、弟をチョイチョイっと、ナイフでつついて血を流せと。
何言ってんだお前、とオフェリアは拒否。せやな。新生児やしな。死ぬかもしれんよな。
拒否したオフェリアに、「じゃあ好きにしろや」とパンは突き放し、姿を消してしまいます。

弟を抱き抱えて立ち尽くすオフェリアに、ふらつきながらも追いついてきたビダルが迫ります。
彼はオフェリアから無理やり弟を奪い取り、オフェリアを銃で撃ちます。

オフェリアを殺したあと、ビダルは迷路から抜け出しますが、既に屋敷は襲撃されており、ゲリラに制圧されていました。
ビダルは迷路の外で待っていたメルセデスに、赤ん坊を渡し、「父親がどれだけ勇敢に死んだか教えてやってくれ」と言いますが、食い気味に「嫌どす」と拒否られます。
そのまま、ビダルはゲリラに銃殺されました。

メルセデス達が迷路の中央に向かうと、そこには血を流して倒れるオフェリアが。
まだ辛うじて息のあるオフェリアの傍らに膝をつき、メルセデスは泣きながら子守唄をハミングして聞かせます。

薄れゆくオフェリアの意識は、割れんばかりの拍手が響く、眩しい光の差し込む豪華な建物の中にありました。
彼女の目の前には玉座に座る男女、そしてその傍らに立つパン。

そうなのです、最後の試練は、彼女が無垢なる者の代わりに血を流すことだったのです。それによって、魔法の王国の入口が開いて彼女は戻ってこれたのです。

王国に戻ってきたお姫様は、先代の後を継いで王となり、いい国をつくりました。
お姫様は自分が地上にいた証として、小さな印を地上に残したといいます。

そんな感じのナレーションと共に、何時だったかでっけぇカエルが住み着いていた枯れたイチジクの木が映されます。
その枝に新しい、小さな花が咲いていました。おしまい。

感想

好き。ほんと好き。
長くなってごめん。

この映画の監督は「シェイプウォーター」の監督もしており、幻想的でどこか闇のある画が特徴です。

まああの、第2の試練のあの男(ペイルマンという名前)はトラウマになりかねません。グロい。
グロいけど、あの「ッバァーーーー!」のポーズは個人的にめちゃくちゃ笑いましたけど。

一言で言うとダークファンタジーですね。ダーク要素強め。

今日は仕事の最終日でした。今後しばらくは引っ越しやらちょっと結婚やらしなきゃならんです。わくわくすっぞ。


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