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点数状況判断からみた、三麻と四麻の違い


以前、下記の記事で三麻と四麻の違いについて、書かせていただいたことがあります。

私は四麻から三麻にシフトしてきたタイプで、この時に思っていたことを書き綴ってみたのですが、大事なことが一つ抜けていることに気が付きました。

こっそり記事を加筆修正しても良かったのですが(笑)、長くなりそうなのでこちらに書くことにしました。


① 三麻強者との交流で知り得た、自分の弱点推定

麻雀のプレーヤーとして、自分には強みも弱みも複数あると思っているのですが、対処可能な弱みの中で、最も効果的に改善できそうなものの一つが、点数状況判断の分野ではないかということに最近気づきました(特に三麻)。

私は四麻の東南戦を主戦場にしてきたこともあって、東場は点数状況をあまり気にせず、盤面における判断の多くを局収支ベースで考えても大きな問題はないという感覚で麻雀を打ってきました。

最高位戦石井一馬プロの著書の『麻雀偏差値70のメソッド』においても「東場は点リーダーを見るな」ということが謳われており、これは四麻の半荘打ちであればある程度納得できる内容なのではないかと思います。

例えば開局に幸先よくハネマンをツモり、37000点持ちで東2局を迎えたとしても、「12000点リードしたトップ目」という調整を入れるよりはフラットな感覚で手作りや押し引きをした方が半荘収支は良くなりやすい、といったことですね。

ただし、これはいわゆるフリールールや収支戦での話であり、天鳳という特殊な順位戦に直接流用できるかどうかとなると完全に別問題です。

そのあたりは、みーにんさんが「和了価値指標」というのを元に分析され、収支戦と順位戦での違いをご説明されていますので、興味がある方はみーにんさんの著書をご一読いただければと思います。

いまこうして振り返ってみると、自分は天鳳の四麻においてもこの補正がちょっと甘かったように思えてきました。ラスを引きたくないゲームなのでフラットな場面での無理押しはもちろんしないのですが、点数を持っているときの押し引きや、点数がないときの押し引きについては、収支戦に近いトーンになり過ぎていた気もします。

また、最近オフ会やTwitter等で三麻強者の方と交流させていただくようになり、「彼らの強みとはいったい何か?」ということを考える機会が増えました。そこで感じた違和感といいますか、自分に抜け落ちている感覚として、「自分は平場感覚で打っている時間帯が長過ぎやしないか」ということが浮上しました。

② 四麻の東風戦は?

四麻でも東風戦となると、本当にフラットに打てるのは東1局だけかもしれません。厳密にいえば開局ですら、ラス比重の大きい天鳳であれば局収支ベースで打つことが誤りになることもあり得ます(例えば開局の親で、子のリーチに対してベタオリよりわずかに押し有利という押し引き判断があったとしても、放銃して親のないラス目で東2局を迎えることを避けるためにオリるetc)。点数が動いた東2局以降は、既に東南戦で言うところの後半から終盤になっていると言っても過言ではないため、東風戦で結果を残しているプレーヤーは着順を意識した打ちまわしに長けている人が多いイメージです。

自分も天鳳の特東やピン東フリーなどで東風戦を打った経験があり、その時はこういったことをかなり意識していたと思うのですが、しばらくやらないと感覚を忘れてしまっている気がします。潜在的な弱点というのはこういうところに表れるものなんだなぁと痛感しています。

③ 三麻ではどうか?

三麻(東南戦)においても、東1局と東2局までは局収支ベースの判断で概ね問題ない気がしますが、『データで勝つ三人麻雀』の中でabantesさんが触れていた通り、東3局くらいからは点数状況に合わせた(最終順位を意識した)立ち回りが重要になってきそうです。

四麻と三麻では局数やゲーム構造が違うので、原点から同じ点数の隔たりがあった場合の和了価値指標を比較することにどの程度意味があるか分かりませんが、順位戦における双方のデータをざっくりと見比べてみました。

たとえば「残り3局で原点から1万点離れている場合」といった条件で比較してみると、四麻の方がプラス領域で和了価値指標のブレが少し大きくなりました(マイナス領域では大差なし)。

つまり「点数を沢山もっていればオリ」という傾向が四麻の東南戦で少し強くなるということになるのですが、これは体感ともマッチしている気がします。

しかし、三麻は1-2局で点数が大きく動き、自分の立場も頻繁に変化します。また、他人のアガリが自分に与える影響も四麻より大きくなります。点数が1万点以上動くというイベント自体は三麻の方が遥かに起きやすいので、トータルとしては三麻の方が点数状況に対してより敏感であるべきということが言えるかもしれません(→関連した話題が⑤に続きます)。

④ 点数状況判断は麻雀の実力を推し量る独立要素になり得るのか?

少し話は変わりますが、麻雀プロに対する麻雀の実力を下記のようなレーダーチャートで評価している方がいたそうです。

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これについて、三麻強者のRさんと意見をかわすことがありました。

Rさんは「点数状況判断を独立させるのはおかしい、他の要素も全て点数状況が関係するわけだから」という意見でした。

確かに「点数状況の絡む押し引き」というカテゴリーも存在しますし、仰る通りだなと思う部分もありました。

裏を返すと、Rさんは常に点数状況を加味して様々な判断しているという証だと思いました。

しかし四麻と三麻の違いこそあれ、これがMリーグルールの四麻プレーヤー用のレーダーチャートであることを考えると、先述の石井一馬プロの「東場は点リーダーを見るな」という考え方とは少しし違うようにも思えました。

個人的な見解としては、「点数状況判断は独立した要素としてありそうだが、その評価方法はとても難しい」という結論になります。

例えば押し引きが問題になるケースで、開局なら選択Aが正解になるが、特定の点数状況であれば選択Bが正解という局面があったとして、実際の某プロの選択がBだったとします。

これを評価する側としては点数状況判断の項目は◎になると思いますが、ではその際の押し引きの評価はどうするか?という疑問がまず湧きます。

ここで示されている、手組・リーチ判断・押し引き・鳴きの4軸については、開局かそれに近い局面で正しく判断ができているかどうかを評価するのが望ましく、点数状況判断については点数が動くことによって開局と判断がずれる場面で正しい判断ができているかどうか、それを評価すれば良いのかなと思っています(アシスト等を含む)。

ただしこれにも一つ問題があり、そもそも某プロが開局でも選択Bとする可能性があるため、厳密な評価はやはり難しいということになります。

四麻の東南戦であれば、ある程度局が進んでも点数状況があまり影響しない(=開局に近いとカウントできる)こともあるので、基本スキルである4軸のサンプルを取りやすいと言えますが、三麻ではそもそもそういった領域が少ない可能性がありそうです。そのため、三麻が主戦場で常に点数状況を意識しているRさんにとっては、少し違和感のある話だったのではないかと私は思いました。

⑤ 三麻におけるラス前の重要性

どんな麻雀でもラス前は重要になりますが、ここでは三麻の実戦例をみていきたいと思います。

※Case 1
ラス前で下記のような点数状況です。

三麻の南2局)
東家:39900
南家 :17300
西家(自分):47800

牌図がなくて恐縮ですが、ライバルの東家が満貫以上のテンパイが濃厚な2フーロをしています。自分がアガるためには、生牌の役牌を含む危険牌2枚を勝負する必要がありますが、役牌を切ればかなり受けの広いヘッドレス1シャンテンになるとして、どう対応するか?という局面です。

これについても、Rさんに意見を伺ったところ

「仮に自分がここで東家に痛打を放銃して、最悪ラス争いの展開になったとしても、オーラスになればこの人は自分に差し込んでくれる可能性がある。だからここは東家と勝負しましょう」とか

「自分がテンパイした場合は、オーラスに倍満ツモ条件を押し付けるためにリーチします」

といった回答をいただきました。

四麻のラス前でもオーラスを見据えた一歩先の判断をすることは多々あるので、三麻だからということでは全くありませんが、一つの判断で点数が大きく動く三麻というフィールドにおいて、Rさんの点数状況に対する着順意識の高さを垣間見れるシーンでした。

※Case 2

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ラス前3本場の西家で現状2着目、トップ目の東家とは18800点差。南家が4800点でトビ寸です。

ダマ5200点、リーチ8000点のテンパイをしています。1m単騎に待ちを変えるとして、ダマかリーチか?という判断です。

ダマであがった場合に縮まる点数を確認すると

直撃:10400+1200=11600
ダマツモ:10000+900=10900

今回はダマにしてトップ目からの直撃、またはツモでもオーラスがマンツモ条件になるので、ダマが良さそうです。ラス目から出てしまった場合は見逃しが有力ですが、ラス目からリーチされた場合の押し引きはちょっと難しくなります。

逆に、ダマでアガるとオーラスがハネツモ条件になってしまう点差ならリーチがいいと思います(今回は単騎待ちのツモで符ハネがある分、本当にギリギリです)。ダマであがるとハネツモ条件という点差なら元々トップは厳しめなので、リーチしてラス目から出た場合は2確でやむなしという感じでロンすると思われます。

三麻ならハネマンが出来やすいとも言われますが、マンツモ(マンガン)条件とは捲れる確率がかなり違いますので、冷静に点差を計算してリーチ判断をしたいところです。


※Case 3

次も三麻ならではのラス前の点数状況判断です。

南2局)
東家:7000
南家 (自分):63700
西家:33000

極端な縦並びの展開で、オーラスの親は自分になる予定です。自分が役無しの先制テンパイをしたとして、リーチをすべきでしょうか。

ここでは愚形はもちろんのこと、良形でもリーチするのは避けた方が良さそうです(親を飛ばせる打点があってようやく考慮する程度)。欲を言えばそれが分かっているならば、役ありや鳴ける手に持っていく構想力が必要だったかもしれません。

なぜなら自分がトップをさらわれる可能性が最も高いのは、西家へのマンガン放銃(または親への放銃)+オーラスのハネツモ、または西家へのハネマン放銃+マンガンのアガリだからです。仮に自分がアガリを逃して、西家に2連続でハネツモされてもまだ耐えられますし、先に西家が倍満ツモなら親が飛んで終了だからです。このあたりの着順意識は四麻とは少し違う感覚で一手先の状況を読む必要性があると感じています。

南1局まではある程度加点を目指す麻雀で良さそうですが、ラス前になったらオーラスの親は誰なのか、それを元に自分はどう戦えば良いのかの戦略を練ることが特に順位戦の三麻では重要になります。東南戦を戦う上で一番頭を使う場面ですから、リソースをここに割けるようなマネジメント能力も必要になってきそうです。

⑥ まとめ

以上、自分自身が抱える課題も含めて、三麻と四麻の点数状況判断の違いについて考察しました。

私は他の方の何切るの牌図を見る場合も、ついその局面だけを見て判断してしまう癖があり、「点数状況がこうだからやっぱりこうか」と後から気づくことが時折あります。

今回の記事を書いて改めて感じたことは、月並みながら、麻雀というのはまずは点数状況ありきなんだなということでした(特に三麻)。

三麻を打ち慣れている方からすれば、「今までそんな意識で打ってたの?」と驚かれてしまいそうですが、自分は抑揚が無さ過ぎてちょっとヤバいかも(笑)、と思うこともありました。

点数を過剰に気にし過ぎてしまうのもマイナスに働きかねませんが、明日からの対局に今回の内容を活かしていこうと思います。


参考図書)
統計学のマージャン戦術 みーにん著
データで勝つ三人麻雀 みーにん著 福地誠編








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