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その一手間が手間ではなくなる

「その一手間がアイラブユー」とうたうインスタントラーメンのCMがありました
そのままでも美味しいんだけど、一手間加えることでもっと美味しくなる
それってインスタントラーメンに限らず色んなことにもいえるんじゃないのかなと思います

木工でいうなれば一手間加えることで、完成度があがる
「下穴錐(したあなきり)」という製品があります
ビスや釘を打つ前に、先に穴をあけておくための錐です
とはいうものの、柔らかい木材であれば下穴なんてなくても大丈夫だよというのも絶対間違っているわけではないと思います
実際にビスの中には「下穴不要」とうたっているものもあります
でも、やっぱり下穴はあけて欲しい

下穴がないとき

直接ビスを打ち込む

下穴をあけずに直接ビスを打ち込んだら木が割れてしまいました
組み立て時にこうなってしまったら困ります

木が割れてしまった

下穴があるとき

では下穴をあけてからビスを打ち込むとどうなるのか

下穴錐で下穴をあける

下穴はビスよりも細いサイズであけましょう
下穴錐のサイズはビスの太さの70~80%くらいが目安となります

木が割れていない

木が割れずにビス締めができました

下穴の役割

下穴をあけるというのは確かに手間なのかもしれません
でもその下穴をあけることで木割れを防ぐことができます
もし下穴をあけずにダイレクトにビスを打ったら木割れが生じ、材の補修や場合によっては材の買い直しが必要になってくるかもしれません
結果的に手間と費用がかかってしまうことに
下穴をあけるという一手間を行うことでその後の作業もスムーズになる
一手間だと思えることが手間ではなくなるんです

そしてもうひとつ
ビスや釘が通る道筋をつくるという役割があります
木には「木目」というものがあります
木目というのは見た目は美しいのですがなかなかの強者ですよ
ビスや釘を思った通りに進ませてくれないのです
まっすぐに進みたいのと思っているビスや釘たちの気持ちとは裏腹に斜めにぐいっと導いたりするのです
そうすると斜めに入った状態で完成してしまうわけです
ビスの頭が斜めにめり込んでいる状態はあまり美しいとはいえません
一度抜いてやり直そうとしてもなかなかうまくいきません

そこで下穴の出番です
下穴は電動工具をまっすぐに構えてそのまま回転させれば比較的にまっすぐにあけることができます
まっすぐあいた下穴にビスや釘を打ち込めば、その下穴に誘導されまっすぐに入るので仕上がりも美しくなります
完成度はあがります

もっと完成度をあげるにはビス頭をフラットに沈める「皿取錐(さらとりきり)」がおすすめです
下穴あけとビス頭を沈めるための皿取加工が同時にできる製品です
この皿取錐についてはまたあらためて・・・

大事なことは教わっていた

子供の頃にたしか技術の時間で本棚を作りました
その時にビスや釘を打って組み立てをしました
ビスや釘を打つ前には手もみ錐で下穴をあけていました
今思えば子供の頃に下穴の大切さを教わっていたんですね
まさかその下穴の大切さをお伝えする側になるとは夢にも思っていませんでした