木工ドリル入門
木工ドリルは「木」に穴をあけるドリルです
今でこそ知っている私もスターエムに入社するまでは
木工ドリルの存在はおろか「木工ドリル」という言葉さえも知らなかったかもしれません
技術の時間に使っていたのは「手もみ錐」でしたからね
そもそもホームセンターには行っても工具売り場を見に行くということ自体なかったのです
それが今や木工ドリルメーカーで働き、日々製品をPRをし、ホームセンターに行けば工具売り場をのぞいてみたりもする
なんとも不思議なものですね
社会に出ると異業種の方とも名刺交換をする機会があります
そんな時も「スターエム」という社名を聞いても
「あの、スターエムさんですか!」という風にはまずなりません
木工ドリルのメーカーですと言っても???という感じです
なので名刺には木工ドリルのイラストを入れています
友人と会ったときにどんな仕事をしているかという話になった時も
「木工ドリルつくる会社で働いている」と言っても「木工ドリル」はまず伝わりません
そうなんです 残念ながら
「木工ドリル」はまだまだ知られていないのです
穴があくのは鉄工ドリル
穴をあけるとなるとやはり一番手に取りやすいのは「鉄工ドリル」になるのかもしれません
セット販売も結構ありますし、サイズも小さいサイズから揃っています
特徴としては、先端が三角でクロスシンニング加工というものが施されています
あと、溝が浅い分比較的細いサイズでも折れにくいかもしれません
鉄に穴をあけられるのですから、もちろん木にも穴があけられます
なので、穴をあけるとなると鉄工ドリルを買えば色んなものに穴があけられるからいいよねとなるのだと思います
スターエムに入社していなければ、間違いなく私もそうなっていると思います
木工ドリルとはなんぞや
ずばり「木」に穴をあけるドリルです
木に穴をあけるなら鉄工ドリルでもあくからそれでいいじゃない
そんな声もあるかもしれませんが
わざわざ「木工ドリル」とうたうからには
木に穴をあけることに関しては、鉄工ドリルよりも優れた点があるのです
鉄工ドリルと木工ドリルを比較したときに
外見で大きく違う点があります
ひとつは先端のネジ
このネジを私たちは「先ネジ」と呼んでいます
木工ドリルが回転するとこの先ネジが木に食い込んでいきます
鉄工ドリルのように先端にネジがついていないドリルは押さえることで穴があいていきますが、この先ネジタイプの木工ドリルは押さえなくてもネジが引き込んでいき穴があいていきます
この先ネジについては以前にもちらっとご紹介させていただきました
そしてもうひとつの違いは刃の形状です
鉄工ドリルの先端は左右対称ですが
木工ドリルは左右対称の刃ではなくケガキ刃とスクイ刃があることです
ケガキ刃に漢字をあてがうとすれば「罫書き刃」となるでしょうか
このケガキ刃で穴の外周をケガキます
これが木工ドリルと鉄工ドリルの「あけた穴」の違いに現れます
鉄工ドリルで木に穴をあけると周囲にもけもけとしたバリが生じます
しかし木工ドリルであけるとケガキ刃が外周をけがくのでバリの少ないきれいな穴をあけることができます
スクイ刃はケガキ刃でけがいた内側をすくい削り取る役割をします
スクイ刃に削られた木屑は木工ドリルのラセンに沿って排出されます
木工ドリルのラセン部分の溝が鉄工ドリルのそれよりも深くなっているのはこの削り取られた木屑を排出するためです
そしてこのラセンも製品によって異なり、その製品に一番ベストなラセンの形状を考えています
こだわりがある
木工ドリルメーカーとしては
ただ木に穴があけばいいのではなく
いかにきれいな穴をあけることができるか
いかにうまく木屑を排出させることができるか
いかにスムーズに穴あけをすることができるかが重要だと思っています
木工ドリルの製造におけるほとんどの加工は機械で行っていますが、切れ味を左右する「刃付け」や「研磨」の部分は
今も1本1本職人が手作業で行っています
それが1923年の創業以来続いている「こだわり」です
安定した品質の製品をお届けしたい
だからこれからもこだわっていきたいと思います
そしてひとりでも多くの方に
「木工ドリル」の存在を知っていただけたら嬉しいなと思います
木に穴をあけるならやっぱり木工ドリルでしょ
木工ドリルといえばスターエムでしょ
スターエムって木工ドリルのメーカーよね
いつかそんな声が聞こえる日がくると嬉しいですね