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廃番から改良へ

発売した製品が廃番となることがあります
その理由は、加工できる機械がなくなってしまった
部品の調達が難しくなった
製品に課題が見つかったなど様々です
課題が見つかった製品でもお使いくださったみなさん全員がNOというわけではなく、問題なくお使いいただいているユーザーさんもいらっしゃいます
そうなると、廃番となってしまうとお困りになられるユーザーさんがいらっしゃるのも事実です
一番良いのは課題を改良した製品が後継品として誕生することです

自在錐

最近昔のカタログを見る機会がありまして
その中で「自在錐」を発見しました
発売当初は「フリードーナツ」というなんとも美味しそうな名前
その実なかなかハードな仕事をする製品
自在錐というのは
一台で幅広いサイズの穴あけに対応できる製品です
穴をあけるのにラセン状の木工ドリルは木材を削り取っていくようにして穴あけをするのに対して自在錐はくり抜くという表現の方が合うかもしれません
一例としてはスピーカー、配管用の穴、ギターなどの加工に使われたりします
また、くり抜いた穴を使うのではなく、円盤の方を使う場合もあります
車輪などがまさにそうだと思います

昔のカタログを見ると、自在錐は真っ黒というイメージ
安全ストッパーなどもついていなくて
あけられるサイズは40mm~120mmだったようです
(現在は30mm~120mmに対応しています)
その後、安全ストッパーがついたり形状は変化していますが
サイズ合わせに六角レンチを使用するというのは今も昔も変わりません
実はそのサイズ合わせが意外に手間だったりします
慣れないうちはちょっと手間取ってしまいます
もっと簡単にサイズ合わせはできないものかというところから誕生したのがワンタッチ自在錐シリーズ・小径自在錐シリーズです
どちらもサイズ合わせに工具が不要に!
実際試してみるとサイズ合わせが格段に簡単になっていました

小径自在錐はどこへ行った?

工具不要でサイズ合わせ簡単
小径自在錐に関してはワンタッチ自在錐シリーズのようにバーをスライドさせることもないので最大径65mmより自在錐の幅が広がることもありません
だから隅っこの配管などの穴あけにも便利なのです
じゃあそんなに便利なのになんで今はないんだ?
それは・・・
残念ながら廃番となりました
小径自在錐のコンセプトはニーズに合ったものでした
しかし加工条件によっては振動が加わると緩んでしまいサイズが変わってしまうということがあるというお声が聞こえてきました
製品を発売するにあたっては検証は重ねますが、すべての加工条件においての検証は難しいのが現状です
そんな中でのお声があり、いったん廃番にすることとなりました

誕生

そこから開発・改良を重ね誕生したのが
「アジャスト自在錐」です
小径自在錐とコンセプトは同じです
サイズは25mm~65mmだったものが、25mm~75mmと広がりました
サイズ合わせはもちろん工具不要です
課題となっていた「緩み」も解消されました
小径自在錐の後継品として誕生したアジャスト自在錐
現在は多くの方にご愛用いただけるようになりました
お客様から届いた声がより良い製品をつくるきっかけとなりました
声が届くというのはとても大切なことだと思います
わたしたちはそのお声を大切にものづくりに取り組んでいかなければなりません