劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライトにおける宝塚歌劇の要素 ~番外・宝塚用語編~
本記事は、以下の記事内に登場する宝塚用語の解説編である。執筆者は変わらずpt(https://twitter.com/2187_101)。
音校
宝塚音楽学校のこと。予科と本科の2年制。かつては分担という制度があり、1人の本科生が1人の予科生の面倒を見ていた。分担は本科の希望制らしく入学試験時から目をつけることもある。
制服
音校のスカートのベルトはウエストきっちりで作り、スナップボタンを各々取り付ける。取り付けるスナップボタンにも規定があるとのこと。修学旅行などで羽目を外して大食いをするとスナップボタンが止まらなくなり大変な思いをするらしい。
音校の掃除制度
予科が授業前に実施する。分担の上級生から掃除場所を引き継ぎ1年間ずっと同じ場所を担当する。場所によってはスターが多く輩出されているなどのジンクスがある。玄関掃除の看板担当は代表的な花形。3階トイレに貼る「綺麗に使いましょう」のポスターは哺乳類のイラストを描かねばならないなど理解しがたい風習が多く存在する。101期生にはオカピを描いたところ本科生がオカピを知らず、「そんな動物はいない」と怒られた逸話がある。また、ブレザーの裏側にガムテープを仕込み、いつでもゴミ取りができるようにしている。
すみれ売り
予科生、本科生が行う募金活動のこと。未来のスターを発掘せんと募金に参加するファンも多くいる。
文化祭
スタァライトでいう聖翔祭。通常2月に実施される。
生徒
宝塚歌劇団の団員のこと。入団すると研究科の区分けとなり、研〇と表記する。〇内は所属年数。
贔屓
推しのこと。宝塚界隈においては贔屓と呼称する。
スチール
プログラムに載る生徒の写真のこと。全員がスチール写真を出せるわけではなく、スチール入りはファンにとってとても嬉しいことである。
ムラ
宝塚の本拠地および宝塚大劇場のこと。兵庫県宝塚市栄町、武庫川のほとりに所在する。オレンジを基調とした屋根が美しい。
東宝(とうほう)
東京宝塚劇場のこと。有楽町に所在する。
宝塚歌劇の殿堂
宝塚歌劇の貴重な資料を収めたミュージアム。
キャトルレーヴ
宝塚グッズ専門店。気がつくと予算以上のレシートを手にしている恐ろしい場所である。
スカステ
宝塚歌劇専門チャンネルTAKARAZUKA SKY STAGEのこと。
男役
男役の型が身に着くのには10年必要と言われ、男役10年は生徒にとって1つの大きな区切りとなる。
娘役
ショーで身につけるアクセサリーは手作りする。公演直前は徹夜になることも。娘役としての芝居は宝塚の世界を出たらほぼ見ることができない。(卒業後のディナーショーなどでショースターとしての娘役は見ることができる場合がある)
初舞台公演
音校を卒業した生徒が初めて宝塚の舞台に立つ公演。通常3月にムラで行われる。ムラの公演終了後の組配属組分けの発表から各組に分かれるため、同期が一堂に会して舞台に立つ機会はこれきりである。
組
花・月・雪・星・宙の5組+専科。専科は在団歴の長いプロフェッショナルが所属する。時にスター候補を一時的に預ける便利な場所として利用される。
宝塚おとめ
宝塚歌劇団生徒目録。出身地、出身校、好きなもの、やってみたい役など様々なアンケート項目があり、下級生ファンにとってはここに記載されている情報が目に見える全てであり重宝されている。演出家や組のプロデューサーも目を通しており、おとめに書いた「やってみたい役」によって役を当て書きしてもらえることもあるため真剣に考えて書く生徒が多い。
トップスター
組の頂点に立つスターのこと。トップスターは出演する舞台はすべて主演を演じる。フィナーレの最後に一番大きな羽根を背負って大階段を降りてくる。
※演目によっては羽根がない場合もある。天海祐希は研6にしてトップスターに就任した伝説のスターである。通常は研13 ~ 15で就任することが
多い。
路線
スター候補に生徒が乗ること。また路線スターのこと。トップスターになるためには必要不可欠な行程。
2番手
次期トップスターになる可能性が高い人。2番手で退団することもあり物議をかもす。
95期
既にトップ娘役を3人輩出し、2022年3月現在、現役のトップスターが3 人、2番手以下にも外箱主演経験者が複数いる黄金の期。
89期
明日海りお、望海風斗、美弥るりか、七海ひろきなど多くのスターを輩出した伝説の期。通称、美人の期。
トップ娘役
トップスターの相手役。不在の場合もある。
新人公演
入団7年目までの生徒のみで本公演と同じ演目を上演する公演。ムラと東宝で1度ずつ実施される。新公(しんこう)と略す。
バウホール
通称バウ。新人の登竜門と呼ばれる劇場。音校の文化祭はこちらで行う。
東上公演(とうじょう)
関東圏の劇場で行われる外箱公演。
外箱公演(そとばこ)
東宝とムラ以外の劇場で行われる公演。宝塚は5組が常にお稽古⇒ムラ⇒東宝⇒お稽古⇒外箱公演⇒お稽古⇒ムラ…のローテーションで活動している。
本公演(ほんこうえん)
ムラと東宝で行われる公演。
演目構成
本公演は1幕芝居、2幕ショー/レヴューの2幕構成のものが多いが、ショーが日本物の場合1幕が日本物のショー、2幕が芝居になる。芝居は役を演じる生徒、ショーは芸名の生徒そのものを浴びる。ショーについて語り始めたらもう引き返せない。
組子(くみこ)
その組に所属する生徒のこと。
1本物
『エリザベート』や『ME AND MY GIRL』などの1幕2幕通して芝居の作品を1本物と呼ぶ。
組替え
要するに異動。異動した先では基本的に自分の格が上がり、役付きが良くなることが多い。
ロケット
演目の終盤に行われるラインダンス。大抵の場合は公演名の電飾看板をバックに下級生が出演する。抜擢の早い下級生は早々にロケットに参加しなくなるのでダルマ姿が貴重になる。
ダルマ
足が大きく露出した衣装のこと。ロケットの衣装などが該当する。男役のダルマ姿は貴重であり、上級生になるほどレアなのでファンに大層喜ばれる。
エトワール
パレードの初めにソロを歌う役目のこと。歌が特別得意な生徒にのみ与えられる大変名誉な役である。
羽根
スターのみが背負うことを許される。大まかにトップスター>トップ娘役> 2番手>それ以下という区分け。トップスターの羽根はとりわけ大きく総重量は12kgほど。またトップスターにのみナイアガラとよばれるしっぽ部分が存在する。
シャンシャン
フィナーレで組子が持つ持ち物。由来は、当初は鈴でシャンシャンと鳴るものだったことから。
フィナーレ/パレード
カーテンコールに相当するもの。少なくとも本公演には必ず存在し、主人公が死亡するエンディングを迎えたとしてもフィナーレで笑顔になって帰ることが出来る。外箱やバウなどでは一部例外もある。
大階段
通常フィナーレで登場する全26段、幅23cmの階段。フィナーレの最後に大階段からシャンシャンを持った生徒がドコドコ降りてくる。トップスターを迎え出演者が勢ぞろいする様子は圧巻だ。
退団発表
トップスター・トップ娘役は通常次回本公演の半年前ごろに発表会見が行われる。その他の生徒は集合日に退団の発表がある。本公演の千秋楽付の場合は挨拶があるが、外箱の場合は軽い紹介にとどまる。また集合日付の退団もある。
集合日
次の公演に向けたお稽古の集合日。次回公演の配役と退団者の発表がある。宝塚ファンは集合日を楽しみにしつつ一生来ないでほしいと願ってしまう矛盾を抱えている。
宝塚友の会
通称友の会。公式ファンクラブでチケットの先行販売が行われる。
入出
入待ち・出待ちのこと。ファンクラブ会員が整列し手紙の受け渡しなどを行う。これをガードと呼ぶ(生徒の周りでスクラムを組み文字通りガードしていた時代もある)。下級生の入出は個人レベルでの連絡となる場合が多い。
会
生徒の個人ファンクラブのこと。宝塚では入出の実施などは生徒個人の裁量に任せられている。発足時に生徒に任命されたファンが代表としてチケットの手続き等を代理で行う。会のない下級生は近親者が行う場合が多い。娘役はトップ娘役のみ発足できる。
お茶会
ムラ・東宝ともに公演の中盤の時期に行われるファンミーティング。規模は様々で小規模~中規模の場合、銀座付近のレストランや喫茶店、大規模の場合ホテルの宴会場、さらに大規模な場合追加で中継会場が用意されることもある。ケーキのみの場合が多いのでご飯が出ると嬉しい。
チケットの入手方法
公式サービスは宝塚歌劇Webチケットサービス。友の会先行→友の会先着→一般販売の順で販売される。ムラの場合は一般販売開始即完売、ということはあまりないので一般販売ページを確認して都合のいい日のチケットを購入しよう。しかしながら、東京は初日で完売してしまうことが多く、その日いきなり観に行きたいと思ってもチケットを手に入れることは難しい。加えて2022年5月現在、当日券として販売されていた立ち見と2階16列(B席最後列) はコロナ禍の影響もあり事前販売となっている。一般販売は公演の1ヵ月程前なので、かなり計画的にチケット取りをする必要がある。通常の公演では、会、生徒席、友の会、一般販売、各種プレイガイドと細かく分配されるためその分倍率があがる。反対に各種貸切公演は、劇場の座席数分の販売となるため、比較的チケットが取りやすい。また、SNS上でも日常生活上でも「宝塚観てみたいんですよね~」と発言することによってどこからともなく突然チケットが降ってくることもあるので、アピールしてみるのも手だ。というか筆者に問い合わせてくれたら何でも答えるし何でも手伝う。
宝塚歌劇Web チケットサービス:
https://www.takarazuka-ticket.com/
宝塚の拍手所作
宝塚の拍手タイミングは初見殺しである。まず開演アナウンス「〇組の〇〇です。」、その後指揮者紹介(演出によってはその限りではない)。芝居においては、トップスターが最初に登場してスポットを浴びた瞬間、ほかスター格が出てきた場合も拍手をすることがある。ノリのいい曲には基本的に手拍子、曲が終わるごとに拍手。ショーも基本的に同様でさらに銀橋に生徒が出てきたら拍手をする。正直何もしていない時間がない。基本は「ロケット」と呼ばれるラインダンスの後、大階段が出現し、娘役群舞、男役群舞があり、エトワールが階段飾りと呼ばれるロケット衣装を身にまとった下級生とシャンシャンを持ち降りてきて主題歌の一節を高らかに歌い上げ、学年やスターの格付け順で全出演者が階段を降りてくるというものだ。ラストに大羽根を背負ったトップスターを全員で迎える。この時、トップスターが階段上部から階段中央付近の定位置に向かうまでの姿が見えるが、拍手のタイミングはスポットライトに照らされてからである。『少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE エーデル-Delight』での冒頭の演出はまさに「フィナーレ」そのものだ。雪代晶がスポットライトを浴びた瞬間に拍手をする流れが生まれたのは自然なことであると言える。ちなみに演出担当の児玉明子は元宝塚の演出家である。このセルフパロディに近い演出は、生徒会が出演者となるという格が厳格なシークフェルト音楽学院を主役に据えた舞台だからこそできたものであり、今後『スタァライト』の界隈においてこの所作を発揮する機会があるかは謎であるが、次に生かしてもらえると幸いだ。
『スタァライト』が好きな人に刺さりそうな作品
2017年花組公演『金色の砂漠』
筆者が実質スタァライトとゴリ押しする作品。古川監督も観劇済みで、本作の砂漠表現は参考になったと明言している。
https://twitter.com/TOPPY1218/status/980445464544788480
https://twitter.com/TOPPY1218/status/1087622159898357762
2020年星組公演『龍の宮物語』/2022年花組公演『元禄バロックロック』
/2022年花組公演『冬霞の巴里』
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