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編集後記

りーち
2022/10/10
https://twitter.com/komatsuriichi

 気付けば夏が過ぎ、秋の風が吹く季節となりました。主催さぼてんぐは本合同誌について以前「どうにか半袖の季節の間には出したいです」とTwitter でのたまっていましたが、判定はいかに。ひとまず2022年10月10日、無事に本合同誌を発行でき主催班一同ほっとしています。

 第1章のさぼてんぐによる文章にもあった通り、本企画は2022年1月に、主催個人のほんのちょっとした思いつきから生まれました。たった1 人の思いつきが周囲を巻き込み、あれよあれよという間に膨れ上がり、転がりながら関係者を増やし続け、最終的に121人による474ページの合同誌という形になりました。まあ、かなり珍しい類の出来事でしょう。我々がいちばん驚いています。当初は30人集まればいいなと思っていたくらいですから。私個人について言えば、もとよりフットワークが軽いオタクとしての自覚はあったものの、今後はもう少し慎重に生きていこうと今は強く思っています。編集に何年かかるんだろうと思った。

 諸々の編集作業を終えた今、声を大にして申し上げたいのは、本当に多様な方々が参加してくださって嬉しい、ということ。同じ作品について語っているのに、見るもの語るものが人によってこんなにも違うのです。ただそれだけで、この企画を進めてよかったと思えました。誇張抜きで、報われた気持ちです。

 一般に、「世にある本を読む」ことは巨人の肩に乗って世界を見ることと同義ですが、一方で「同時代の他人と物事を論じる」ことは相手の目を借りて自分や世界を見ることと同義であろうと思います。他人の目や頭を借りることはたいへん面白く、刺激的な経験です。是非、著者の方々の目と頭をうまく使って、楽しく読んでいただきたいと思います。そして、新たに生まれた興味や疑問が1つでもあれば、そのままにすることなく深めていただきたい。それをきっかけに劇スの見方が変わるかもしれませんし、キャラクターの解釈に進展があるかもしれません。さらにはスタァライトの外へ興味が広がることもあるでしょう。例えばとつぜん神話学の研究論文を読みたくなったり、なぜかはわかりませんが毎月宝塚市へ通いだしたりするかもしれません。

 本という媒体の都合上リアルタイムで“目を借りる”ことはかないませんが、ほとんどの著者は紙面にTwitterアカウントを掲載していますから、興味のある事柄について直接コンタクトを取ってみるのもよいでしょう(一般的に論文集というものは著者の連絡先を必ず載せます。それを用いて読者..たいていは同業の研究者..が著者に対して質問をしたり、共同研究の誘いをかけたりします)。

 なんにせよ、この合同誌によって人生にわずかでも影響を与えられた人が1人でもいたのだとすれば、この企画は大成功だということです。というわけでご感想は奥付のQRコードよりお寄せください。お待ちしております。

 さて、編集後記はあまり長々と書いても仕方がありませんから、振り返りも兼ねて、主催班のメンバー紹介でもして終わりましょう。本合同誌には他に読むべき文章が多数載っていますからね。

 第一チェック統括のぽらるさん。劇スからのスタァライト勢で、このような気の狂った企画へ主催班として参加してくださいました。アンケート結果一覧や業務工程の管理など、様々な過程でGoogleスプレッドシート(in Google drive)を用いることが多かったなか、我らが「スプシマスター」であるぽらるさんにはたいへん助けていただきました。チェック班をはじめ、主催班の外ともスムーズに情報共有をしてまとめていくの、主催業務の肝かもしれない。スプシがないと始まらねえ! 

 第二チェック統括のいのこりさん。JIRAやNotionなど、のちに第一・第二チェック班のすべてのメンバーが活用することになる管理ツールの導入を提案してくださいました。やはり人数が人数ですから、99本の原稿が第一チェック担当、第二チェック担当の間で飛び交うとそれはもうわけがわからないことになるんですね。誰がどれ担当して、どの原稿がチェック終わっていて、次は誰に回して……という進捗状況を把握できることって大事。本合同誌用Discord サーバーにおいて可愛い絵文字をたくさん追加してくれたのもいのこりさんです。便利。

図1 本合同誌用Discord サーバー内のカスタム絵文字一覧(スクリーンショット)
参加者の掲示板ではまんべんなく使っていただけている、気がします。「まかせろ」「確認します」などは、通知音のしない返信、のような使い方ができるので便利でした(深夜作業が多かったため)。「済」は完全に備忘録ですね。

 第一・第二チェックの工程においては、どの班員(担当者)の手が空いているのか、今どの原稿が回ってきているのか、回ってきている原稿の内容や長さはどうか、などの事柄を勘案してチェック担当者の割り振りがなされていました。すげえや。

 主催および総合統括のさぼてんぐさん。とにかく連絡、連絡、また連絡の日々だったと思います。「知らん人と連絡取るのイヤダァコワイ!」と駄々をこねる副主催は主催にたいへんお世話になりました。そして連絡三昧しつつもご自身の原稿を書いたり、執筆に行き詰まった参加者との相談VCボイスチャット をしたり、さらには著者からの修正稿をすべて確認し、再度著者へ問い合わせたりファイルを戻したり、その途中で必要があれば文中の表を代理作成し、原稿をtxtデータにして関連ファイル群とあわせ流し込み用のドライブフォルダを作り、……という感じなのでさぼてんぐさんは3人くらいいるんだと思う。あと、よく面白そうめんどうくさそうなことを思いつきがち。アイデアが豊富なのはいいことだと思います。素晴らしい図表を作成いただいた妹Mさんにもここで感謝。

図2 左: サーバー内のチャンネル一覧、右: 一部 のチャンネルを展開したもの(スクリーンショット)  
ロール付与によってアクセスできるチャンネルを 制限しています。チャンネル名は自由。

 私りーちは基本的に陰でコソコソ作業をしていましたので、参加者の方々と積極的にやりとりすることはほとんどありませんでした(やりとりが必要な時はさぼてんぐさんに丸投げしました)。流し込みは引きこもりに向いている、ということがよくわかります。在宅勤務の日は合同誌の編集業務もできるので嬉しかったです。お願い~よ~上司~この文章見ないで~ ちなみに作業をすべてトラックパッドで行っていたせいで右手の甲をつりました。

図3 論文原稿進捗履歴[ 縦軸: 3本/ 目盛り、横軸: 2日/ 目盛り] (Notionのログよりさぼてんぐが作成)
特に本文では触れていませんが、さぼてんぐさんがいい感じの図を作っていたので貰いました(なんで作ってたんだ……?)。 図を見ると、7月の間は業務が滞っていますが、8月に入ってから活動が活発になっていることがわかります。Discordの主催班 用チャットでログを確認したところ、発行日の日付は7月頭のオンライン会議にて決定していました。停滞期間(主催班メンバーそれぞれ多忙であったため) である7月を抜けたら一気に進めよう! という方向性だったと思います。9月に入ると、流し込みが鬼のような勢いで進んでいることがわかります。いよいよ締め切りが目の前に迫ってきた! という焦りが よく伝わってくる素晴らしい図ですね。本当に間に合って良かったです。 (無理スケジュールにお付き合いいただいた関係者の皆様、本当にありがとうございました……!)

 主催班のなかでは「退勤後のほうが仕事っぽい」「社用PCを閉じてからが本番」という冗談まじりの言葉も結構な回数聞こえましたが、それでも我々4人、全員が心から楽しんで合同誌編集を行っていたことは間違いありません。会議室を借りて打ち合わせをしている時などは、文化祭前のような謎のワクワク感もありました。我々が楽しんで作った本が読者の手へ渡ったというこの事実が、半年以上にわたる合同誌編集業務への、何よりの報いであろうと思います。本当にありがとうございました。

 舞台は続きます。またどこかでお会いしましょう!


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