スコールが降りしきる中で

スコールが降り頻る中で

二人飛び込んだ喫茶店
傘を閉じ足早に席に座る

「アイスコーヒー2つ」
「かしこまりました」

ソファー席に並んで座る僕ら
BGMは流行の曲のオルゴールバージョン
はじめて入る年季の入った昔ながらの喫茶店

食べてないけどきっとナポリタンが美味しい
デザートには手作りプリンと、メロンソーダが似合う

サイフォン式のコーヒーマシンより漂う香りが鼻腔をくすぐる

BGMが変わる
懐かしい二人の思い出の曲

小さく歌う君の頬にそっと触れる

「お待たせいたしました。アイスコーヒー二つになります。こちらガムシロップとミルクお使いください。」

今いい雰囲気だったのに
少しムッとしたが、感じのいい店員さんに溜飲が下がる

僕はブラック 君はガムシロップもミルクも2つずつ

何気ない会話を続けていると、いつの間にやら晴れ間が見えてきた。
薄ら虹まででている。

思わず、店員さんに声をかけ携帯だけ持って店の外に出ると、雨上がりの洗われた空にかかる大きな虹、欠伸する猫、昼間より下がった気温、土の匂い、雨の匂いもまだ残っている。

「うわー綺麗」とはしゃぐ君。こういうところが好きだ。

さっきよりも高い空、すっきりした空気、夏の匂い、いつの間にか乾いた服がはためいた。

一頻りはしゃいで、写真も撮って、喫茶店に戻る

店内は相変わらず涼しくて、BGMオルゴールでジブリの名曲が流れている。
あれ?これは魔女宅?ラピュタ??どっちだっけ。脳内で必死に検索する。

汗をかいて少し薄くなったアイスコーヒーを飲み干し、僕らは再び外へ出る

なんて事のない日常のほんの一コマ。

雨上がりの夕日 蝉時雨。
ひぐらしのなく頃。

もう虹は見えないけれど確かにそこにあった。携帯が証人だ。
だんだん、雨上がりの匂いが濃くなっていく。

暗闇坂上り、道草、いつもの野良猫に遭遇、挨拶。
ラッキーキャットの黒猫くん。

僕らはこの子をホーリーナイトと呼ぶ

くろ、猫ちゃん、にゃー、坂のところの猫ちゃん。
いろんな人が、いろんな名で呼ぶ

地域の愛され猫
桜の形に欠けた耳

にゃ~お 
君も鳴いて輪唱 可愛いな

今日はもう傘はいらない

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