秋のような天の高さ
キッパリと春が終わりを告げ、
夏への扉が、海へと君を呼んでいる。
白い砂を払い、貝殻に耳を当ている。
「何を聞いているの?」
「神の呟きよ」
「僕にも聞かせて」
寄せては返す波の音。
初夏で或る日、雲ひとつない天の高さ
「聞こえた?」
「音楽が聞こえるよ」
君の興味はもう、ヤドカリに移ってしまい、
もう波の音を聞くのに飽きてしまったようだ。
「ねえ神の呟きってどんな感じだった?」
「含蓄に富んだとてもありがたいお言葉よ」
君は夏の女神。
秋には別れが来るのにね。
さよなら夏のひと。