【蓮ノ空】104期活動記録第8話「Not a marionette」前篇を読んで【リンクラ】
0 はじめに
フラワー! 今回は、先日公開されました11月度活動記録の前篇を読んで、思ったことなどをつらつらと書き起こしてみました。
既にnoteやX、ふせったー等で新鮮な感想を述べてらっしゃる好き好きクラブのみなさんも多いかと存じますが、遅ればせながら私も少し語らせていただければと思います。
まだ半分しか公開されていませんし、今後のWith×Meetsや4コマ等もストーリーと絡んでくる可能性が否定できないのが蓮の怖い所ですので、現時点での推測や妄想込みの感想文である点、ご了承いただければ幸いです。
1 ラブライブ!地区予選突破
活動記録公開に先んじて配信で発表されておりました通り、今年も無事に地区予選を突破した蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ。
各々喜びの表情や、この先に向けた決意を露わにする中で、綴理先輩の「人を見る目」についての話題が挙がりました。
103期からの歩みを見届けている私たちにとっては周知の通り、綴理先輩は表現のしかたこそ独特ですが、その内側で紡ぐ言葉は非常に感性豊かであり、鋭い着眼点も持っています。
吟子ちゃんやルリちゃんが綴理先輩の意見や評価に信頼を置いているのも、そのためですね。
もちろん、そんな綴理先輩の本質については、同期である梢センパイやめぐちゃんも理解しているというのが、8話冒頭のやり取りや表情の様子からも窺い知れます。尊いですね。
ともあれ、今回の予選突破はあくまで第一歩に過ぎません。来月に控える北陸大会を目指して、またスクールアイドルクラブの邁進の日々が始まります。
ちなみに、膨大な量の申請書類をさやかちゃんが中心となって処理していましたが、これって案外昨年のゴタゴタ後に整理された事情なのかな……と何の根拠もなく感じました。
ご存じの通り、昨年末は規制派による強硬策によってスクールアイドルクラブが大きな危機に瀕しましたが、全国出場という結果を残すことでこれを黙らせました。
そこで、これまで通り配信や遠征、部活動に関連しての外出申請といったものを認めるかわりに、申請に係る提出書類等の手続きについては厳密に行うこと、といった形の落とし所が設けられたのではないでしょうか。
これはこれで健全な学校活動の在り方かもしれません。
2 漠然としていた卒業が実感を伴い始めた件
9人になったスクールアイドルクラブでの日々を楽しみ、地区予選突破を喜ぶ綴理先輩の心境に変化が生じたのは、お隣さんにあたる生徒が早期卒業をしたことがきっかけです。
読んで字の如く、通常の年数より早く課程を修了し、優れた成績を修めた生徒が早めに卒業することを意味する制度です。
主に大学の方で耳にする制度名で、高校→大学の場合は「飛び入学」等と言うことがメジャーなようですが、いずれにせよ3月を待たずに蓮ノ空を去るのには変わりありません。
さすが、一芸入試で尖った才能を受け入れている蓮ノ空は、こういったケースもあるのですね。
綴理先輩はがらんどうになった部屋を見て、衝撃を受けた様子でした。住み手の居なくなった寮の部屋は、机もベッドも棚も無く、先日まで確かにそこで生活していた生徒が居たという痕跡すら、全く残っていません。
そしてこの時、綴理先輩はようやく、漠然としまっていた自身の卒業というターニングポイントについて、目前に迫る未来として受け止めざるを得なくなったのです。
前述の通り、104期に入ってからのスクールアイドルクラブは、新たに3人の後輩を迎え昨年以上の賑やかさとなりました。
また、103期前半のように梢センパイとの軋轢もなければ、めぐちゃんの不在も解消されており、年度の初めから“スクールアイドルとして憂いなく活動できる”という点から見て、今年は非常に実りある半年を過ごしてきたことと思われます。
なればこそ、楽しく充実した年度前半の活動において、自身に差し迫った卒業のことを深く意識する時間は、無かったのではないでしょうか。
3 夕霧綴理のためのオープンキャンパス
賑やかな部室の中で一人、どこか上の空な綴理先輩に、梢センパイが進路調査票の提出について伝えたことで、事は判明しました。
卒業したくない、もっとみんな(スクールアイドルクラブ)を見ていたい、もっとみんなと一緒にスクールアイドルをし続けたい──綴理先輩の抱える苦悩を受けて、クラブのメンバーもすぐには言葉を返せませんでした。
下級生たちだって、3年生たちに居てほしいか否かと問われれば本当は居てほしいですし、梢センパイも卒業に対して寂しさや未練が無いわけでは当然ないですからね。
クラブのみんなで考えた末に、卒業後にやりたいことを見つけるための“オープンキャンパス”、すなわち職業体験をしてみてどうか、という対案が出されます。
昨年、綴理先輩が中心となって成功させたオープンキャンパスによって、蓮ノ空に入る未来を楽しみに受験し、入学してきた生徒たちが居たこと。
それを踏まえて、綴理先輩にとっても「こんなことを学びたい」「こんな仕事をやってみたい」といった、卒業後の楽しみを見出す機会を設けてみよう、という発想です。
結果、綴理先輩は寮母さんの口利きで市役所へ、吟子ちゃんの紹介で加賀友禅工房の“茜や”へ、れいかさんの伝手で近江町市場へ繰り出します。
市役所ではデータ入力という得意分野の仕事はスムーズにこなせたものの、報告書という文書作成の方面は苦戦しました。
一方で、待合中に悩んでいたり困った様子の市民に対して、気持ちに寄り添い傾聴するという、窓口対応に求められる素質を発揮し、思わぬ人気を博します。
茜やでも、市場でも、綴理先輩はお客様に接する姿勢が認められており、人に寄り添い心を温かくする力があることを、自他共に認識する結果となりました。
かつて「そこに居るだけでいい」存在だった綴理先輩がここまで変わったのは、スクールアイドルとして過ごした経験に基づく成長と言えるでしょう。彼女が1年生の時から見てきているれいかさんも、感涙を流して当然ですよね。
また、市役所が急な職業体験を受け入れてくれたのも、寮母さん曰く「スクールアイドルクラブが地元に根差して活動し、地元から愛されてきたから」であると言います。
これは102期からの3年間に限らず、歴史と伝統ある蓮ノ空女学院芸学部と、その後継であるスクールアイドルクラブの先人たちの代から連綿と築き上げてきた信頼に拠るものではないでしょうか。
このあたりは104期第4話で吟子ちゃんのお祖母ちゃんに、当時の部員たちがわざわざ「部の名称を変更したい」と直接話しに行ったというエピソードのことも思い出しますね。
4 未来への希望を抱くこと≠現在への未練を絶つこと
と、ここまで活動記録のおおまかな流れを振り返りつつ、合間に感想を語ってきた次第ですが、z前篇ストーリーには不穏な爆弾が眠っているであろうことにも、そろそろ触れておきたいと思います。
と言うのも、綴理先輩が「卒業したくない」と思ったのは「卒業後の進路が怖いから」ではなく「今のスクールアイドルクラブに居続けたいから」なので、職業体験で進路について考えるのはドンピシャな解決策とは言い難いからです。
実際、この提案を受けた時の綴理先輩の反応は「そっか……その方がいいんだね」とか「じゃあそうしようかな」という類のものでした。
これ、ちょうど1年前の活動記録で綴理先輩が吐露した「ボクは普通じゃないから、沙知やこずと意見が違ったら向こうの方が正しいに違いないんだ」という反応と近いんですよね。
もちろん、厳密にはあのどん底のようなメンタリティとは違って、「自分のためにみんなが考えてくれた案だから、ひとまず試してみよう」という、ある意味前向きな受け止め方だとは思います。
それはそれとして、綴理先輩自身がこの解決策に納得しているわけではないという点で、職業体験は糸口の一つではあっても根本的な出口では無いと思われます。
そしてこれに関しては、同期である梢センパイとめぐちゃんも恐らくは察していることでしょう。
綴理先輩が「新しい……やりたいこと」と考え込んでいる時、徒町から職業体験について意見を求められた梢センパイは、言い淀みつつも綴理先輩の方を見遣っていました。
「じゃあそうしようか」と言うのを聞いた時のめぐちゃんは、少し眉根の下がった、困ったような表情をしていましたし、何か言いたげな様子でした。
それぞれ別のタイミングで綴理先輩と話したのにも関わらず、近い反応を示したのがミソですね。
何か言いたげではあってもハッキリとしたことは言わなかった、あるいは言えなかった理由は、この問題について最終的に結論を出せるのが綴理先輩当人だけだからでしょう。
そもそも2人にしても、卒業に関わる感傷が皆無ということはないでしょうから、それぞれで卒業に向き合う他ありません。
諸々の描写を見るにこの辺は意図して書いているところでしょうから、後篇でどう話が転がっていくのか、楽しみ半分怖さ半分で待っています。
5 楽曲フレーズとのリンク
さて、今回のタイトルが公開された時点で、ドルケの民を始めとする好き好きクラブのみなさんが一様に戦慄したことは疑いようがありません。
“Not a marionette”と言えば、記念すべき103期デビューアルバムに収録されたドルケストラの最初の楽曲『AWOKE』の開幕フレーズですからね。
しかもマリオネットという単語は、聖典としておなじみの『Link!Like!ラブライブ!FIRST FAN BOOK』に収録されたSS「マリオネット・ソロコンサート」のタイトルにも使われており、夕霧綴理という人物を読み解くにおいてキーワードの1つと言えるでしょう。
さて、活動記録を読んだ私はこの度、久々にドルケストラの楽曲を1から順に聴き直してみようと思い至りました。
現場百遍じゃありませんが、温故知新の意も込めて、といった感じです(最近は104期曲ばかり聴いていたので)。
そこでまず『AWOKE』から始めたのですが、前述の“Not a marionette”以外にも気になるフレーズを見つけました。
この部分を聴いた時、今回の活動記録で描かれた、早期卒業のシーンが不意によぎりました。
歌詞においては「信号機が青を差す→(それを受けて)選択肢は無限だと胸に刻む」という流れに受け取れますが、がらんどうになったお隣の部屋こそが正に今回、綴理先輩にとっての青信号だったのではないか──そんなことを思ったのです。
何のこっちゃと思われても仕方ありませんが、信号が青を差す前は赤だった、すなわち“停止”とか“制止”状態だったという連想が、卒業について深く考えずにここまで来た104期上半期の綴理先輩に重なってしまいました。
青信号になったことで、意識は“停止”から“進行”に切り替わらざるを得ません。その先には無限の選択肢があります。今まさに、綴理先輩が色々なお仕事を経験してみているように。
しかも、選択肢が無限であることは胸に刻んでしまっているので、刻んだ以上は綺麗に消して無かったことにすることもできません。無限の選択肢に向き合い、進んでいくより他に道はないと言えるでしょう。
このフレーズと活動記録との関連は、深読みやこじつけに過ぎない可能性が高いですが、私は何にでも関連性を見出そうとするオタクですので、つい書き連ねてしまいました。
ただ、“Not a marionette”を拾って『AWOKE』との繋がりを活動記録のテーマに匂わせてきたのは良い意味で予想外であり、またしても蓮ノ空運営とライターさんたちにしてやられたと思ったのは確かです。
と言うのも、『AWOKE』自体は103期の時点で既に「KNOT』というアンサーソングが出されており、一定の回答が得られた楽曲だと思い込んでいたからです。
しかも『KNOT』は初出の103期10月度・ラブライブ!地区予選エントリーライブに続いて、11月度Fes×LIVEでも披露されており、この月はみなさんご存じの通り沙知先輩とのいざこざに決着がついたタイミングでもありました。
梢センパイの件にめぐちゃんの件に沙知先輩の件、102期の後半から103期の半ばまで綴理先輩の内に渦巻いていたモヤモヤがすべて解決した104期において、今一度この初期楽曲と向き合う展開が来るとは思ってもおりませんでしたぜ……。
ちなみにもう一曲、今の綴理先輩の状況に刺さりそうな楽曲を挙げるとすると、ドルケストラ1stシングル「Sparkly Spot」の3曲目に収録されている『希望的プリズム』もエグかったですね。
改めて聴き直すとグッサグサ来ますね、「僕は今、どこへ向かう?」も「この場所は正しいのか?」も。
しかも、置き去りにされているのは綴理先輩の心や気持ちだけで、時間は等しく綴理先輩ごと世界を進めてしまうのですから、余計にしんどい状況です。
よもや1年半越しに初期楽曲たちが殴ってくるとは思いませんでしたわ。
対となるこのフレーズの心境まで綴理先輩がたどり着くことを願いつつ、後篇の公開を待っている次第です。
6 おわりに
というわけで、104期第8話活動記録の感想記事を書き連ねて参りました。
前篇の時点で既に色々と情緒を揺さぶられており、後篇に備えて今のうちから情報や気持ちを整理しておこうと思い立ったからです。
牽強付会と思われる部分もあったかと思いますが、どうぞ温かい目でお読みいただければ幸いです。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。