【転職としての星野リゾートvol.8】 「コンセプト」はいかにして重要なのか①
画像は 界 仙石原
選択について
選択とは、あるものの中から適当なものを選ぶことである。
日常生活でさえ、1日に何度も選択をしている我々は、選択慣れした生物かもしれない。
今日はどんな服を着ようか、
晩ごはんは何を食べるのか、
あれとこれとどっちを買おう、
別れるのがいいのか別れないほうがいいのか、
右に曲がろう、
など、数えればキリがない。
そしてこれも選択とセットでこれもよく言われることだ。
「選択するとは捨てることである」
今日はこれがビジネスの文脈でどのように活かされているのか深掘りたい。
コンセプト
新しいサービスを作り込み、世に発信していく過程においていくつかの忘れてはならない思考様式がある。
そのうちの一つがコンセプトだ。
ビジネスの文脈で使われるコンセプトとは、
「誰に」「何を」売るのかという一貫性
のことであると、私は解釈している。それぞれ分解して考えよう。
「誰に」売るのか
だれに売るのかは重要な命題である。
例えば、ファストフード店を例に考えてみよう。
この飽食時代の中で、ファストフードがなぜ市場を席巻できるのかというと、「時間」に答えがある。
文字通りfast foodは、手軽に食べられることに重きをおいた食べ物のことを指す。
ハンバーガーに、ホットドッグ、牛丼に立ち食い蕎麦など。
いずれも安価で手軽に口にできる食べ物だ。
では、ファストフードは「誰に」商品を売っているのか。
それは、「時間が惜しい人」に対してである。
美味しく手早く腹を満たしたいという人にとって、うってつけの食べ物がこのファストフードなのだ。
「何を」売るのか
引き続きファストフード店について考えてみよう。
あなたは市場を分析し、自身の経営資源やスキルで考えた場合、「ファストフード店ならば利益が出せそう」という結論にいたった。
では、ファストフードといっても「何を」売るのか。
これが次の命題である。
そうしてあなたは選択する。
「よし、ハンバーガーにしよう!」
つまり、あなたは「時間が惜しい人」に対して、「ハンバーガー」を売ることに決めたのだ。
しかしながら、そこまで考えついた時に、ふと立ち止まってしまった。
「いや、それじゃあどこにでもあるただのハンバーガー屋ができるだけだ。本当にお客さんは来てくれるのだろうか。」という心配がついて回った。
つまり店主は、
「どのようにして他店と差別化を図ろうか」
ということについて悩んでしまったのだ。
差別化ができない場合、すでに近くにあるハンバーガー屋と食いつぶしをしなければならないし、今後新しくできるお店にお客さんを取られてしまうかもしれない。
念願の夢だったハンバーガー店が1年もたたないうちに潰えてしまうかもしれない。
そこで、店主は考えた。
「他店と差別化するために、もう一度コンセプトを作り込もう」、と。
次回に続く。