イタリア起業vol.01 就労ビザ取得編
初めに。2022年3月に9年働いた能登の酒蔵を退社し、海外起業することになった。その動機や過程はまた別の記事に書くとして、イタリアという新天地で「How to 起業」を書き連ねたい。もちろん、これまでの貴重な経験は時間と財産をフルに使ったのでvol.2からはメンバーシップだけの公開にしようかと思う。
まず前提に、イタリア起業には常に前例がないということ。
毎年法律が変わり過去の起業家に相談してもまったく参考にならない。
これから書くことも、2,3年後には法律が変わる可能性あり。
それも、現地調査で日本人の独身か夫婦で起業した方を事前に調べ相談したが、既に法律が変更され同様の方法では就労ビザの取得はできなかった。ここでポイントなのは、家族ビザ(配偶者がイタリア人)の場合は難なく起業可能。そして、どの起業家も口を揃えて言ったのが「5回ほどミラクルを起こさないと進むことができない道」。まさにその通りでハンター試験並の試練が待ち受けていた。
もう一つ注意点は、これから書き連ねるのは雇用ビザでなくあくまでも自営業ビザ取得の話になる。
大まかな自営業ビザに必要な過程
1.日常会話のイタリア語取得(A2程度)
2.イタリア会計士(Commercialista)、公証人、弁護士(Notaio)の選択
3.イタリア法人設立
4.商工会議所の法人登記
5.イタリア警察のサイン取得
6.公証役場で宣言(日本)
7.法務局にて公証人押印取得(日本)
8.アポスティーユ認証取得(日本外務省)
9.就労許可の取得(Nullaòsta Lavoro)
10.イタリア住居契約(1年以上)
11. イタリア領事館にて就労ビザの申請・取得(日本)
実際にはこの5倍ぐらいの作業が待ち受けているが、大体の書類や現地のやりとりは会計士が解決してくれるので安心して良い。
ここで最も重要なのが、外国人は法人設立してから満3年経たないと自営業ビザは発行されない(2023年時点)。
政府の移民対策もあるが、3年の待機は正直長い。
ただし、短期で発行させる裏技はいくつかあり私はその方法で取得した。
共同経営者を現地イタリア人にし、VISAを取得。
既に3年経った法人をM&Aし、代表権を移しVISAを取得。
どちらもメリット・デメリットがあり私は後者を選択。
前者の場合、信用できるイタリア人パートナーを探さなければならない。結局ここで2,3年イタリア生活を費やすことになる。
後者の場合、マッチングする法人を探すために有能な会計士をつける必要があるが、負債のない法人であることを確認できれば非常に早く進めることができる。
ここでミラクルを発揮させなければならないのは、
・ぼったくりのない信用できるイタリア会計士に出会うこと。
・マフィア絡みでなく負債のないM&A候補の法人を見つけること。
たとえ英語がネイティブでコミュ力が高くても解決できないことがある。
これだけは運でしかない。
と言いつつ、外さない会計士の選び方はVol.2以降に書きます。
イタリア語学習のススメ
さて、ビジネスを始める前に、前提としてイタリア語を話せないと先に進まない。
個人的な感覚だが、20代から30代前半のミラネーゼ(ミラノに住むイタリア人)は英語を流暢に話せるが、30代後半からその上は結構な確率で英語が通じない。田舎へ行くと、大学に通っていないイタリア人はほぼ英語を話せないのだ。
2022年1月までのイタリア語力は0で、2月から最初の渡航の4月までの3ヶ月間、毎日1時間のオンライン語学授業で言語を学んだ。イタリア語しか話せない先生のもとマンツーマンでただ会話をし、30分ほど文法を学ぶといった内容だった。イタリアの語学学校もピンキリで個人レッスン50時間で大体80万円ほどの受講料になる。グループディスカッションで毎日4時間というコースも存在するが、個人的に1日4時間も語学に縛られると嫌いになりそうなので、メリハリ良く1時間集中することに意味があった。ちなみに、最も効果的だったのが毎日先生に3行ほど日記を送ることだった。特に難しい文章を書く必要はないがこれを毎日繰り返すことで、日常会話に必要な動詞や単語が頭に入ってきた。2022年に通ったミラノの語学学校だが、1年間イタリアに滞在するためのVISA習得には非常に都合の良い場所だった。入国後は週に1時間だけ顔を出し、残りの時間は起業に向けて時間を割くことができる。もちろん、ここまで融通の効く学校はなかなかない。その1時間は対面でもオンラインでも可能で、他の語学学校になると週5日半日縛られグループ授業になる。ただし、語学のために留学するのであれば毎日通うのがオススメだ。
融通の効く語学学校はVol.2以降に記しておく。
ちなみに、同時並行でおすすめのアプリはDuolingo。
日常会話はほとんどこのアプリで習得可能。ちなみに、基本言語は英語に設定しないとイタリア語は学べず、日本語から他言語習得だとこのアプリは非常に使いにくい。
M&Aに至ったのが2023年の6月だったので約1年の語学力で起業が可能となる。もちろん、会計士や弁護士の扱う単語はイタリア人でも難しく、全て録音し後でGoogle翻訳にかけて念入りに進めたのを覚えている。
以前は、留学や世界一周経験もなく、大学受験のセンター試験では英語110/200と全くもって言語は苦手分野だった。
話は逸れるが、今までの言語習得のイメージは必須単語や熟語が2千単語ぐらいだったのに対して、実際に生活で使用している単語は200単語くらいに過ぎない。わからない単語はジェスチャーや雰囲気でわかるし、なぜ高校生の時にこの壁を崩せなかったのか今になってハードルの低さに気づくのだ。
今では嫌いだった言語学習も、趣味になってきている。
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