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2024年11月の星の行方


銀河速報(号外)


死神一族が2年ぶりに地球へ

地球の暦にして202☆年11月に、死神一族が2年ぶりに地球へ訪れる。前回と大きく異なるのは、冥王と協力関係を結んでいる点だ。地球観測所によると、約250年前に冥王が死神一族とともに地球を訪れた際とは別の陣形を組んでいることがわかっている。地球観測史上初めての陣形なのではないかと、一部専門家は言う。

冥王の歩みは「遅々として光速」という特徴を持つ。地球人の視覚では捉えられない速度だ。そのため、冥王が死神一族とともにいつ到達するかは明らかになっていない。占星術の観点では11月20日頃の到来ではないかと考えられているが、死神一族が地球上で活動を始めている痕跡がすでにいくつも見られるため、2週間以上早い可能性が高い。地球上を取り囲む観客が増えていることからも、11月の夜空はいまだかつてない数の星が見られるだろうと予測されている。

朝焼け新報 号外




地球学者メルクリウスの見解


冥王と死神一族の地球訪問は珍しいことではありません。これまでにも、幾度となくその機会はありました。まずは、地球学者としての見解をお伝えする前に、冥王と死神一族について簡単におはなししましょう。

冥府の王、プルートゥは宇宙創世の頃より存在しています。この宇宙に光が放たれた際、光の王とともに生まれたのが、影の王プルートゥです。そこから、影の役割が多様化していく中で、死神一族が生まれました。死神一族の族長 "ハ"は、数えきれないほどの死神を束ねる存在で、彼と会話をできるのは冥府の王プルートゥだけと言われています。

普段ほとんど行動することのないプルートゥとハに関しては、さまざまな情報が開示されている宇宙の中でも不明な事柄が多く、彼らの動向を追うためだけに存在している研究機関が各銀河に存在するほどです。

そんな彼らが手を組んで地球を訪れようとしている今、何が起こるのかは誰にも予想ができません。今、唯一分かっているのは、地球へ向かう彼らの陣形です。彼らの陣形は、これまでの地球来訪時とは異なり、ふたつの円が一部で重なるような特殊な陣形をしています。


円が重なる図
冥王と死神一族の陣形


右側の円の中心に冥王プルートゥ、左側の円の中心には族長ハがいることはわかっています。しかし、このふたつの円が重なった中心にも誰かがいるようなのです。各銀河の研究機関による波動測定で、プルートゥやハとはまったく異質の存在がそこにいることだけは解明されています。

いずれにせよ、冥王と死神一族が大挙して押し寄せるため、地球上では死神一族の活動によって、苦しみや痛みから解放される人々が続出し、あわせて冥王の神威によって、終止符を打たれる物事が増え始めることが予想されます。

冥王と死神一族は、地球上では死を連想する存在として扱われていますが、実際はそうではありません。かつて冥王プルートゥと話した時、彼はこんなことを言っておりました。

「死は恐怖ではなく、恐怖を超越した状態こそが死なのだ」


このたびの冥王と死神一族の地球来訪は、死と直結する出来事が起こるのではなく、往生際の悪い事物を一掃することが目的であると考えられます。

死神一族はその巨きな鎌を振い、立ち枯れた木々の伐採や抜根と同じような活動を地球上で行います。冥王プルートゥは業火を駆使して、伐採した木や根を焼き払い、立ち上る煙を供養と浄化に活用し、すでに息のない事物に再生の機会を与えることになるでしょう。

大切なのはここからです。

プルートゥとハに囲まれた、まだ我々が感知できない存在が、その後大きな影響力を持つようになると考えられます。それからは、我々だけでなく、地球上の人類や宇宙のあらゆる存在にとっての待望の瞬間が訪れることは間違いありません。

その前に、地球上の人類は忘れ物・・・を取りに行かなくてはならなくなるはずです。その際の後退は、大きな前進だと言えます。

今、私が地球上の人類に何か提言できるとしたら、「冥王と死神一族が作る陣形だけは、決して忘れないように」ということでしょう。









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こじょうゆうや
あたたかいサポートのおかげで、のびのびと執筆できております。 よりよい作品を通して、御礼をさせていただきますね。 心からの感謝と愛をぎゅうぎゅう詰めにこめて。