マタイの福音書14章22〜33節「神のことばに信頼する時」
イエスは弟子たちや人々を驚かせ、喜ばせ、
そして慰めるような奇蹟を行いました。
しかし、それらの奇跡の目的は、
自分が神であることを示すだけではありませんでした。
イエスは奇跡を通して、
神が創造の時に意図された世界、
やがて「天」と「地」が一つになった時の世界を垣間見せていました。
神が最初に創造された世界は、
人間と神、そして他の被造物の関係が深く結びついており、
すべてが調和していました。
しかし、
人間の罪によって、その関係は壊れ、
世界は苦しみと破壊に包まれるようになりました。
イエスは、「天の御国が近づいた」と宣教を開始され、
そして神はイエスの十字架と復活によってその完成を確かなものとされたのです。
ある夕暮れ時、
イエスに促された弟子たちは湖を渡るために船に乗りましたが、
向かい風に悩まされ、夜明けまでに向こう岸に辿り着けませんでした。
そんな中、イエスが湖の上を歩いているのを見て、彼らは怯えました。
しかし、イエスは「しっかりしなさい。わたしだ。恐れることはない」と言いました。
ペテロはイエスの姿を通して、
新しい世界を垣間見ることができたのかもしれません。
そして、イエスからの「来なさい」という言葉によって、
ペテロは神の恵みと力がどのように働くのかを体験しました。
このことは他の弟子たちにも、
イエスを信じることで神の力が働くことを示しました。
そして弟子たちは徐々に新しい世界の姿と、
イエスがもたらす変化の素晴らしさについて理解を深めていきました。
イエスが復活した後の世界で信仰を持って歩むことは、
神の国の希望を告白することに繋がります。
私たちは、未だ神の国が完成していないこの「地」を歩んでいます。
ペテロが風を見て怖くなったように、私たちも過ぎ去った世界に痛みや不安を覚えることがあります。しかし、イエスがペテロを救ったように、神は私たちも支えてくださいます。
過ぎ去った世界ではなく、イエスに目を向け続けるとき、
キリストの心が私たちの内側に形成されていきます。
その結果、私たちの信頼が神に向かって増し加えられます。
神の働きに参加する勇気、隣人への赦し、
そして日々の生活での感謝が、ここから与えられるのです。