脳科学理論を使えば凡人でも天才クリエーターになれる2
前回の振り返り
前回(脳科学理論を使えば凡人でも天才クリエーターになれる1)で、ブランディングの脳科学的な定義メカニズムについて書いてきました。
その結果、ブランディングによって人の感情を動かすメカニズムがわかってくると、天才クリエーターにしか見えなかった人の無意識の部分が、私のような凡人にも少し見えてきたような気がします。
これなら、自分にもブランディングができるのではないかと、勢い凡人によるブランディング実践の思考実験をしてみたいと思います。
ブランディングは脳科学理論を使えば出来る_ロゴデザイン
ではこういう状態に持っていくにはどうすればよいのでしょうか。ロゴを創る、ということを例に思考実験してみます。
ロゴデザイン_知覚してもらう
まずロゴを知覚してもらう必要があります。
人の脳はほとんどの情報を無意識のうちにスルーするように出来ていますが、
その中でも、直近見たものやなじみのある形や音にはすぐに気づくようにできているのです。
狩猟社会で知らないものは危険、知っているものは安心、という生存のための機能が発達した結果です。
したがってまず人間の脳が知っていると感じる音や形を模すことから始めます。
ロゴデザイン_連想記憶を利用する
でも知っていればなんでもいいわけではありません。
人の脳の記憶は、連想記憶という機能があり、関連のあるものを連想でつなげて引っ張り出してくることができます。
この連想記憶によって、ロゴを見たらおいしいという記憶も同時に呼び起こされてよだれが出るという現象が起きるのです。
それを適用すると
食べ物のブランドロゴなら、おいしいイメージをもつアイコンを模す(例えばマクドナルドのロゴはポテトを模している)
より多くの人に製品を普及したいのなら、すでに多くの人に普及しているアイコンを模す(例えばappleのように)
Appleのこぼれ話ですが、Appleの有名なリンゴのロゴを出した当時、ビートルズのレーベル、アップルレコードに訴えられました。
ロゴが同じリンゴで似ていたからですね。
でも当時零細企業に過ぎなかったappleの目標は世界中の過程にコンピューターを、というもので、親しみのあるロゴにしたかったため、ジョブスは確信犯的にGOサインを出したとのことです。
その狙い通りに、appleのリンゴのロゴを見て、国民的人気のビートルズのメジャー感や親しみやすさを消費者が感じたのではないかと思います。
これも連想記憶のなせる業です。
ロゴデザイン_表現する
そして最後に表現です。
表現はシンプルさ、見やすさが何よりも大事になります。
なぜなら、脳は認知的負担が少ないものを好み、認知的負担が大きいものを嫌うからです。
これも狩猟社会における生き残りのために、瞬時に判断する必要性から生まれた機能です。
一瞬の判断の遅れで生死にかかわる状況なので、判断できないものはすべて危険なものであると判断するらしいのです。
脳科学の実験でも、消費者は明らかに、見やすいフォントを好み、わかりやすいコントラストを好み、シンプルなデザインを好むようです。
デザイナーにロゴデザインを任せると、時には複雑で込み入ったデザインが作られると思いますが、これはよほどの理由がない限り採用しない方が良いという事になります。
appleのロゴを例にとると、リンゴのロゴの前はニュートンがリンゴの木の下で読書する絵画的なロゴでした。複雑でいわゆる認知的負担が大きいロゴです。
それを改変して、シンプルなリンゴにして認知的負担を減らしています。さらに、暖色を中心とした色を重ねて親しみやすさを表現しています。
このロゴが、メジャーなイメージや親しみやすく自分の身近なイメージとともに脳が連想記憶にとどめている理由がよくわかります。
どうでしょうか。
こういう脳科学の理論を背景にしたロゴデザインなら、自分で書くことまではできなくても良し悪しを判断することくらいはできそうな気がしてきますね。
少しは天才クリエーターに近づいた気がしますね。
さてロゴデザインの制作についてある程度めどがついたところで、今度はブランドをどうやって浸透させるか、という活動についても脳科学の知見を拝借していきたいと思います。が、長くなってきましたのでこれはまた次回、脳科学理論を使えば凡人でも天才クリエーターになれる3で書きたいと思います。