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消耗しながらの表現と、量産する表現

どうも、ハマのdk.@アコースティック&エレクトリックです。
普段は横浜FCのラジオをしたり、偏った性癖をネット上にぶちまけて憂さ晴らしをしている25歳男性です。

この世には、表現をしてお金を得たい、食っていきたいと考える人は沢山居ます。その手段が演技であったり、文章であったり、はたまた語りであったり。最近はYouTubeやnoteなどのネット媒体も台頭していますので、誰しもが何かしらの形で表現活動が出来る社会になりつつあります。
その様はまさに『一億総クリエイター社会』と言っても過言ではありません。

話は変わりますが、先日横浜FCサポーター界の重鎮・ユージさんに会ってきました。これを読んでいる人の中には横浜FCサポでない方も居るかと思いますので、彼の事を簡単に紹介をすると、ユージさんは今年、横浜FCが戦った全試合のレポートをnoteに投稿しているという、なかなかに過酷な挑戦をしている方です。(勝手に名前を出してしまったのでリンクをここに貼っておきます

私も文章や語りなどを通して自己表現するという行為自体は好きなのですが、どうもその時々の創作意欲に大きく左右されてしまう部分があり、あまり長続きしません。なので、毎週のように何千文字もの文章を書き続けられるユージさんには「凄いなぁ」とただ感嘆するばかりです。

そんなユージさんと相対した私。
緊張しながらぎこちなく話している中で、私はユージさんに
「毎試合ブログ書くのってしんどいですよね?」と質問してみました。
プライベートな会話なのでこれ以上晒すのは控えておきますが、ユージさんも書き続けるしんどさと日々闘っているようでした。そんな話を聞いた私は改めて、毎週のように記事を書き続けられるユージさんの執念と忍耐力に尊敬と畏怖の念を抱いた訳です。

本題へ戻りましょう。
「文章や映像表現で自己表現をして飯を食っていきたい」と考える人はめちゃくちゃ多いですが、実際に職業にしている人はあまり多くありません。私はその原因として、プロとアマチュアでは必要とされるスキルや考え方に大きな違いがあるからではないかと思っています。

プロとして仕事をしていくには、最初は何をするにしても「質より量」が必要になってきます。私の例で言うと、一時期私はお小遣い稼ぎの為にアフィリエイトライターの仕事をしていました。仕事の内容としては「〇〇について調べてみた!カップ数や彼氏は?」といった下世話かつ誰の役にも立たないブログ記事や、解説系YouTubeのナレーション原稿を書いてみたりなどです。私の場合、これらの記事は大体一文字1円前後で請け負っており、これを本業にしようと思うと一日一万文字くらい書かないと生活が成り立たない訳です。しかも多くの場合、専門的な知識だったり内容の充実よりも「どれだけ効率的にクリック数を稼げるか」であったり「なるべく短時間で多くの文字数を打ち込める能力」が必要になってきます。これでは味気ないというか、やりがいが無いというか…結局私は長続きしませんでした。

一方アマチュアは趣味の世界です。
お金を貰ってやっているというよりも自己満足でやっている為、とにかくこだわりの世界です。「趣味」や「自己満足」というワードを使うと、一見楽しそうに見えますが、実際はそうではありません。

締め切りや金銭での報酬が無い分、自分自身が思い描く作品を作り上げられない限りはやっている意味がないのです。プロとして活動していくなら、いくら納得がいかないものを作り上げようとも、金銭での報酬を得ることでなんとか腹落ちさせる事が出来ますが、アマチュアとしてやっている中で無理矢理納得のいかないものを作り上げたところで何の意味もありません。ですので、アマチュアの創作活動は自然と魂を削り、自分を切り売りしながらの表現になります。例えるなら、徹底的に何時間も煮込んで骨の髄まで出汁を絞り出す豚骨スープを作るようなものです。思い通りの表現し終えたクリエイターのもとには、充実感と共にとてつもない疲労感が襲ってきます。これは心身ともに相当堪える作業です。

表現活動でプロになりたいと思う人がつまづくのは、その部分だと思うのです。消耗しながら何時間も掛けて作品を手掛けた人よりも、効率よくパッパと作品を量産する人の方が稼げたりします。私自身、丹精込めて何日も掛けて作った記事よりもアフィリエイターの親玉に言われるがままに作った記事の方が伸びた経験もあり、そんな事があった日にゃやるせない気持ちになったりしたものです。

映像表現の世界でも、そんな風になりつつあります。例えば、ニコニコ動画全盛期には有名なタグで「手の込んだ手抜き」や「無駄に洗礼された無駄のない無駄な動き」がありましたが、そんな風潮もYouTubeが主流の昨今では廃れてきており「数字=作品の価値」となってきつつあります。創作活動をしていく中で、報酬を得やすくなったのはいい事だと思いますが、あまりに最適化され過ぎたせいで、アマチュア的な金にならない無駄なこだわりや徹底的に手の込んだ動画などが見られなくなり、サブカル野郎な私としてはちょっと寂しいと感じる面もあります。

結局、表現活動をお金に換えていくには淡々と決まったペースで流行りのジャンルに乗せた作品を量産していくしかないんだろうなぁと思います。質の高い、アマチュアチックでニッチな作品を作ろうと思うと心身共に疲弊しますし、それを量産することはなかなか困難です。

私が唯一好きなV Tuberである月ノ美兎氏も、ニッチでこだわりの強い配信や作品を手掛けるクリエイターですが、激しい消耗の結果、長期の休養を取ることになったりもしていました。



私の友人であるかぴばろも、質の高い記事や動画を作る事が出来るクリエイターですが、私同様に大量生産を得意とはしません。

ここでひとつ述べておきたいのが、私はアマチュアチックな作品がダメだとは1ミリも思っていません。むしろそちらの方が好きですし、彼らのような表現に憧れています。ただ、こだわりの強い作品を手掛けつつ大量生産するのはなかなか難しいなぁと思うわけです。他意はありません。

ですので、魂を削りながら作品を量産し続けているユージさんや、時に激しく消耗しながらも表現活動を数年に渡って続けている月ノ美兎氏は本当に凄いと思いますし、これから創作活動でプロになろうという人からすれば「こだわりと消耗」のジレンマにどう向き合っていくかが凄く難しいポイントになるんじゃないかなと思います。私のように、自らの意に反して表現活動が長続きしない人は、そこのバランスをどう取るかというのを真剣に考える必要があるのかも知れません。それも難しいんですけどね。実際私自身その問いに対する答えが出ていないままこの記事を書いていますし。

ただひとつ、確かな答えがあるとするなら
表現の受け手としての僕は、そういったアマチュアチックなこだわりの強いニッチな作品の方が圧倒的に好きです。

そんな私の何て事の無い考察でした。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。




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