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【リアル過ぎるロボット組み換えトイ】MATTEL ROCK EM SOCK EM (2000) HEAD CASE

意外と歴史はあるのだが後年になるほど見逃されがちな玩具というのは多い。

例えばMarxの"ROCK 'EM SOCK 'EM ROBOTS"。1964年発売の二人対戦の玩具で、2体のロボットを操作して互いにボクシングをして戦うというものだ。対戦型ヴィンテージおもちゃとしては有名所で、過去にはトイ・ストーリーにも登場している。現代まで何度も形態を変えてリリースしてはいるが、有名過ぎる故か逆に注目されることが少なかったりもする。

詳細:wikipedia Rock 'em Sock 'em Robots

そんなROCK 'EM SOCK 'EMだが、実は大幅にリニューアルして対戦型おもちゃとは全くの別物として登場していた過去があった。




■ROCK EM SOCK EM ROBOT 2000


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2000年~2001年にかけて発売されたのがこの"ROCK EM SOCK EM ROBOTS"である。タイトルは旧玩具から変わっていないが見ての通り、対戦型玩具ではなく完全に別物のアクションフィギュアと化している。

この2000年版ROCK EM SOCK EMでは旧ROCK EM SOCK EMから引き継がれた要素は"ロボットが戦う"という設定くらいしか残っていない。リブートというよりは旧作をオマージュした別物と言ってもいいかもしれない。

ちなみにストーリーは以下のような話↓

25世紀!あらゆるサイズと形状のロボット戦士達が究極の戦いのために作られていた。
相手を粉砕できるようにカスタマイズされたメタルマニアなロボット達が最後まで猛烈な戦いを繰り広げる。生き残るためのルールはただ1つ…相手のパーツを手に入れて、より大きくパワフルになるか、または最終的に破壊されるか。
屑鉄の山の中からたった1人の勝者が現れるのだ。(パッケージ裏紹介文より意訳)

一応「アリーナでロボット同士が対戦する」というスポーツ的な設定だけは残されているが、ロボットの見た目からして少なくとも旧作のような健全スポーツ感はさっぱり無い。SF映画でよくあるディストピア的未来で非合法にロボット同士が戦うようなテイストに近い。

余談だが、人気があったのかなかったのか2000年頃の当時プレイステーションにて"ROCK EM SOCK EM ARENA"としてゲーム化もされていた。格闘ゲームではあるがなんとも殺伐としたゲーム画面でクソゲー感漂うので気になる方は探して確認してほしい。ちなみにこのゲーム、グロさとバイオレンスさが問題になって発売中止となったゲーム"Thrill Kill(スリルキル)"のエンジンを流用しているゲームの1つでもある。

色んな意味でスリルキルに並ぶゲームなのでプレイ動画を一度見てほしい




■顔面凶器ヘッドケース


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2000年版ROCK EM SOCK EMはアクションフィギュア化したことでメインの赤と青のロボットがリブートされてカッコいいロボットへと生まれ変わっているが、それ以外にも新たにロボットのキャラクターがラインナップされている。

今回はそのうちの1体"HEAD CASE(ヘッドケース)"を紹介しよう。

特にキャラクター設定は無いが、ゲームのROCK EM SOCK EM ARENAでは顔からレーザーを放つ遠距離攻撃持ちのロボットだった。




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あくまで2000年のアメトイなので可動についてはさっぱりで、可動するのは首・肩・腰・股関節・膝のみ。首以外は1軸可動で前後にしか可動しない。

造形は悪くないし塗りもそれなりに丁寧ではあるが、やはり今見ると結構古さが目立つ。

しかしながらこのアメトイらしいトリッキーで奇妙なロボットのデザインは唯一無二で非常にダサカッコいい




■ロボットとしてあまりにリアルすぎるギミック


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設定にもある通り、この2000年版ROCK EM SOCK EMのメインとなるのはパーツの組み換えだ。ヘッドケースに限らず各キャラには差し替え用のパーツが付属しており、体の構成を変えることができる。

しかし、このままの状態ではパーツの組み換えはできない仕組みになっている

パーツがそのままでは取り外せない構造になっているのだ。




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そこで必要となるのが・・・このROBO WRENCH(ロボレンチ)!!

見ての通りクロスレンチっぽいツールというかほぼそのままクロスレンチ。ダイキャスト製で実際の工具のようなしっかりした重量感があり、レンチの四方はそれぞれプラスドライバー、マイナスドライバー、六角レンチ、六角ソケットになっている。

これをどう使うかというと・・・




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画像のように、各パーツにあるボルトをロボレンチで緩めることでパーツが取り外せるようになる、という仕組みなのだ。逆に組み立てる場合はパーツを差し込んでボルトをロボレンチで締める必要がある

そう、このROCK EM SOCK EM最大のギミックは、

組み換えにロボレンチを用いる事で本当にロボットを改修しているかのようなリアルな遊びができる

という所。

単純な組み換えにせずロボレンチという一手間を加えることで、ロボットとアリーナバトルに対する本物っぽさを引き出しているのはかなり刺激的。しかも単なる形だけでなく、本当にボルトを緩めないとパーツが取り外せないし、ジョイントの渋みの調整もボルトで可能になるというのが面白い。

正直ギミックとしては面白いけど反面めんどくさい




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パーツ組み換えの自由度も高く、パーツの向きやタイプにこだわらず自由に組み替えが可能になっている。1セットだけだとあまり組み換えの幅は広がらないが、複数集めればさらなる組み換え、さらなるロボットのカスタマイズが可能になるというわけだ。




■組み換え?分解?要素がまたすごい


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ちなみに各パーツを固定しているボルトは手足だけでなく胴体にもある。胴体の場合はボルトを緩めるとアーマーが取り外し可能になり、内部骨格が露出できる。

組み換えだけでなく分解要素も少なからずあるのだ。こうしてツールを使って骨格をむき出しにしていくだけでも「ロボットのメンテナンスをしている」ような気分になってなかなか楽しい。




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細かく分解すると最大でこれくらいまでパーツを分解することが可能になっている。ここからツールを使って単純に組み直していくだけでも楽しいし、思い切って全く別の形へと組み替えていくのもまた楽しい。




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全てのジョイントは共通軸なので、形状にとらわれず自由に組み替える事ができる。一部微妙に噛み合いにくいジョイント部分もあるが、1体だけでもこれくらい遊べるのだ。




■総評


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単純な組み換え式ロボットアクションフィギュアではあるものの、組み換えにロボレンチという一手間を加えることでギミック性を増している非常に面白いフィギュアに仕上がっている。

ロボットそしてアリーナバトルという設定も相まって"組み換え"自体がしっかりフィーチャーされていて非常に意味のあるものになっているのも魅力だ。世界観をうまい具合にフィギュアへと落とし込んでいるのは凄いことだと思う。


しかし唯一の問題として、組み換えがあまりにめんどくさいという点がある。

ロボレンチの使い勝手が悪いというのもあるが、結局大量のパーツを組み換えするとなると毎回毎回レンチを使ってパーツの取り外しをしなければならず、ものすごく手間になる。腕の差し替え程度ならいいが、全身バラバラにして再度組み直すのは何箇所もボルトを締め直す必要があるので正直な所途中で嫌になってくる。でもそれと同時にロボレンチで組み立てていく楽しさもあるので、なんとも複雑な感情だ・・・

欠点はあるが、ボルトを締める事によって一般的な組み換えフィギュアでは加工しないかぎり出来ないジョイントの渋み調整が無加工で可能になっている点はギミックの中でも大いに評価できると思う。こういう調整が製品本体だけで可能なフィギュアは他に無いんじゃないだろうか?

結局このメインのギミックがROCK EM SOCK EMを他のフィギュアとハッキリと差別化する特徴になってはいるものの、逆に足を引っ張っている側面もある。一長一短なポイントなのだった。


とはいえ、結局の所は実際触ってみるとかなり楽しいのでオススメ。昨今の組み換えロボットフィギュアとはまた違ったテイストなので楽しめること間違いない。

ちなみにヘッドケース以外のキャラクターも購入済みなので、また次回以降に紹介予定。お楽しみに。


おわり

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カメオ(スタンド製作所)
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