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一般の人の前では症状を語る人
医師や看護師の前では症状を隠すものの、作業療法士やケア(看護助手)、福祉担当者、家族、そういった人の前では症状を雄弁に語る人たちが結構いる。
医師や看護師には話さない方がよい。
話しても症状だと理解されてしまう。
病気だと判断されてしまう。
といった点が理解できるようになったと言う事は、状況を少しは客観的に理解できる能力が回復したという点で一歩前進である。
家族の戸惑い
しかし家族や退院した後に支援する人にとっては、医師から「大分安定しました」と言われた後に、目の前で熱く幻聴や妄想を語り、全く症状と理解していない本人を前にすると到底退院を受け入れることができない。
もちろん強い症状を抱えながら誰にも言わないでいるということは必ずしも良いことではない。
症状が消失することが理想的ではあるものの、現実的には症状が残存する人たちはある程度いる。
残存している人たちはある程度は話し、その辛さを表現し、周囲に助けを求めることができるようになる。
と言う事は極めて大事なことである。
その力が身につかないと、退院し一時的には安定していても、その後 症状に振り回され、衝動的な行動をとる危険性は高いと思われる。
必要な回復の段階
1)誰に対しても話す。
2)医師や看護師には話さないものの、他の人には話す。
3)あまり他の人に話してはいけないことが理解できる。しかしつらい時には相談できる。
2)の段階を経ずに1)から3)に移行する人もいる。
また必ずしも症状であることを理解している必要はない。
自分は事実だと思っていても他の人に言うとおかしい人だと思われるということさえ理解できていればよい。
こういった変化が、退院ができるか、退院した後も安定した生活が続けることができるかにとって重要な要素となる。
医師や看護師には話をしないものの、他の人には熱く語り続けるという2)の段階で止まってしまった人たちは、「こういうことを言うと病気と思われてしまう」ということは理解するも、「自分が話すことは事実」と確信しており「医師や看護師に言っても無駄」という不信感、ときに「医師や看護師もグルである」という妄想を抱いていることが多く、治療反応性が悪いことが多い。