茉莉ちゃんは自分の名前が言えない(吃音の話)
1%のうちの一人として。
私には吃音があって言葉が詰まるときがある。
自覚したのが中学生の時で、そのとき流行っていたアーティストの曲名が口から出なかったのを覚えている。
昔はあがり症もあって人前に出るときには手が震えてしまうこともあったのだけど、今はそもそも人前に立つことがないのであまり気にすることがなくなった。
私の吃音は頭の音が出ないタイプで、特に緊張するような大勢の前だから吃るとかそういうわけでもなく、ただ人と話しているときに突然出なくなるので、自分でもどのタイミングでなってしまうのかがわからない。さっきまで言えた言葉が急に言えなくなったりもする。
そういうときは可能であれば他の言いやすそうな言葉で置き換えてしまうので、それで場を乗りきることもあるのだけど、その時はその時で会話としては不適切な言葉になることもある。
直近だとどうしても「ネコ」という言葉が発話できなかったので「動物」というしかなかった。
そして一番言いにくいのが自分の名字で、出ないときは本当に出なくて、しかも他の言葉に言い換えができないので、詰まったまま時間が経ってしまう。
先日ワクチンを打ちに行ったら確認のために名前を言う機会が突然あって、何度か試してみたけど口から出なかったので、素直に「しゃべるのが苦手ですみません」と言ったら相手も看護師さんだったのか理解してくれて、そう思ったらふっとその後すぐに口に出すことができた。
別に話すこと自体が嫌いではなくて、オフラインでのコミュニケーションも大切だとも思うけど、苦手なものはどうしようもなく変えることができない。
今の仕事は一人一台iPhoneを持っていて、社内からでも相手の名前が表示されるので受け手のときは名乗らなくてよくてすごく助かっているし、チャットやメールでやり取りすることも多いから安心して仕事ができる。そもそも仕事を強制的に遮る電話が苦手というのもあるんだけど。
しかし社名も発話しにくい部類に入るので、こちらから外部に電話するときは言えるかどうかかなりのギャンブルになってしまう。
この先の人生もこれが続くと思うとかなりつらい。
文字にするよりも喋る方が楽でいい人がいるのもわかるのですべてがテキストベースであれとは思わないけど、ただ発話することが苦手な人がいることを知っておいてくれていれば。
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