electrocompetent cellの作成

【背景・目的】

コンピテントセルの作成は研究室の日常業務であるものの、シングルコロニーを取ったり、コンピテントセル作成用の培地を用意したり、氷上や低温で操作したりと用意するもの・やることが複雑で時間がかかる。
しかしググってみると培地はいつも使うLBでよかったり、シングルコロニーではなくグリセロールストックから採取する、室温で操作するといった手の抜きどころが散見される。特にエレポコンピは室温で作って十分いけるよって論文はNatureに載っちゃうくらい関心もある内容。

ところで最近コンストラクションしているとある系では全然コロニー生えてこないのでケミカルではなくエレポで入れてみようかなと思い、エレポのDH5αを作ろうと思った。そこでこれら知見をまぜまぜして簡単にエレポコンピを作ろうと思う。


【方法】

Day 1, 培地と試薬の作成、前培養を行う

①250 mlのバッフルフラスコにLB 50 mlを作成しオートクレーブ、室温に戻す
②MilliQ 500 mlをオートクレーブ、室温に戻す
③10 v/v% グリセロール水溶液(MilliQで希釈)をオートクレーブ,、冷蔵庫で保存
④別途、LBを適当(2 ml以上)作成しておく(前培養用)

⑤滅菌状態で15 mlチューブにLB 2 ml入れる
⑥Competent Cell DH5α(メーカー名など)を200 μlチップの先端分ほど付けてLB 2 mlに植菌
⑦37 ℃, 180 rpmでovernight

Day 2, コンピテントセルの作成

*基本的に滅菌状態、室温で操作する
①250 mlバッフルフラスコのLB 50mlから1 mlを、1.5 mlチューブなどに取っておき、後のOD600の測定のバックグラウンドとする
②前培養した菌液を1 mlずつ、250 mlバッフルフラスコのLB 50mlに入れる
③37 ℃, 220 rpmで1 h培養
④1 mlを使い、OD600を測定する(バックグラウンドには①のLBを使う)
⑤OD600の値が0.5~0.7になるまで③の条件で培養(大体全体で2 時間ぐらい)
⑥OD600が0.5~0.7になったら、液部分を氷中に15 分入れて増殖を止める
⑦50 mlチューブ 2 本に菌液を移す
⑧25 ℃, 2500 g, 10 分遠心分離、上清除去
⑨滅菌Milli Q 5 mlずつ加えて穏やかにピペッティングで溶かす、その後、滅菌Milli Q 45 ml加えて50 mlにする
⑩25 ℃, 2500 g, 10 分遠心分離、上清除去
⑪滅菌Milli Q 25 mlずつ加えて穏やかにピペッティングで溶かす
⑫25 ℃, 2500 g, 10 分遠心分離、上清除去
⑬冷蔵庫で冷やしていた10 %グリセロールを2 ml加えて穏やかにピペッティングで溶かす
⑭25 ℃, 2500 g, 10 分遠心分離、上清除去
⑮冷蔵庫で冷やしていた10 %グリセロールを1 ml加えて穏やかにピペッティングで溶かす
*ここから先は滅菌状態でなくてもよい
⑯1.5 mlチューブに分注する(弊所では80 μlで分注している)
⑰液体窒素で氷結し、-80 ℃で保存

形質転換効率の測定

①80 μlの本コンピテントセルにpUC19 100pg, 10pg, 1pgずつ加える(100 pg/μl, 10 pg/μl, 1 pg/μlを作成し、それぞれ1 μlずつ加える)
②1 mmキュベットに移す
③electroporation(ELEPO21, NEPAGENE)
   poring pulse : 2 kV, パルス幅 25 ms, 間隔 50 ms, 1回
   transfer pulse : 150 V, パルス幅 25 ms, 間隔 50ms, 5回
④直ちにSOC 500 μlを加える
⑤37 ℃で30分、回復培養
⑥100 μlをLB+Carbenicillin(50 μg/ml)プレートに撒く


【前実験】

大腸菌S17-1のelectrocompetent cellのストック(ホームメイド)が切れかけていたので、丁度いいと思い、この方法で調製した。ストックと同時に形質転換して効率を見たところほぼ同じ形質転換効率(コロニーめっちゃ生えた)であるように見えた。


【実際の実験】

Day 2. で事件発生。

⑬冷蔵庫で冷やしていた10 %グリセロールを2 ml加えて穏やかにピペッティングで溶かす
⑭25 ℃, 2500 g, 10 分遠心分離、上清除去
⑮冷蔵庫で冷やしていた10 %グリセロールを1 ml加えて穏やかにピペッティングで溶かす

において、大腸菌ペレットがゆるすぎて上清除去すると全て溶かしきってしまう。
そこで⑭の後、3000 g, 5 分遠心分離した。
それでもまだゆるく、上清除去で半分ほど吸われてしまったため、10 %グリセロールを片方のチューブに入れてペレットを溶かした後、もう一本のチューブに移して、元々合計100 mlのLBで培養していた大腸菌を1 mlの10%グリセロールに溶かした。


【参考】

1. グリストを前培養に使って1日短縮

2. 室温でコンピテントセル作っても大丈夫@エレポ

3. OpenWetWareのエレポコンピ


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