また論文告知
ここんとこ論文告知しかしてなくて、なんてつまらないnoteなんだ……ってなりますが、一応。
こちらKeio Economic Studiesの最終号になります。
まあ、正確には廃刊じゃなくて休刊という話なので、最終号じゃないかもしれないけど。何年も前に出してようやく出た感じなのでちょっとまあ、悲しい気持ちもあるけれど、そういう雑誌もあるってことで。
内容はかなり教育的なもので、マクロ経済学の連続時間モデルで出てくる最適化問題の一階条件を、「高等な道具をまったく使わずに」証明した論文になっています。
具体的に言うと、使っているのは微分積分、線形代数のそれぞれ基礎知識と、それから積分の公式をいくつか。特に問題なのが次の公式
(d/dy)∫f(x,y)dx=∫(df/dy)(x,y)dx
で、さすがにこれは初等的ではない公式なので、証明を入れています。そこでだけはε-δ論法を使っている感じで、他は本当に微分積分と線形代数だけです。上の公式を「使っていいもの」として飲み込めば、微積+線形代数で読めちゃうオイラー方程式の導出法。さらに、集権モデルと分権モデルの両方に対応してあり、また横断性条件との関係まで論じる他、もっと難しいモデルへの拡張可能性まで扱うという、かなり盛りだくさんな内容になっております。
これだけ多くの成果を難しい道具なしで証明した文献はたぶん他にないので、連続時間マクロの教育方法に困っている、あるいは勉強にそもそも困っている方はぜひご一読を。
以上、告知でした。
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