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海の声(虎本)
今日の熱海殺人事件の稽古は中盤〜終盤に差し掛かるシーンの確認と反復でした。
取り調べを行いながら刑事たちはとことん脱線し、事件を自分たちの好みに作り変えようとしていきます。
容疑者大山金太郎はその波に飲まれながら四苦八苦。
なかなか進まない自身の取り調べに苛立ち、いつしか刑事と犯人の役割と境目は曖昧に。
そしてその心の隙間に、突如差し込まれる刑事たちの罠!
終盤、ついに大山金太郎がひた隠し続けた真実が明らかに…。
そして次のシーンでは、とうとう事件現場、熱海の浜辺へ。
今日はそんなラストシーンへ向かう道のりが整理できました。
ステージタイガーの、虎本剛の得意とする「伏線の構築」「葛藤と必然の発生」を物語に挿入させていったのです。口立てで作られた作品を、プロット的思考で分析。物語が分岐する、登場人物の気もちが切り替わるポイントに、効果的な音を挿入。
結果。
かなり心に突き刺さる、揺さぶられる終盤一歩手前のシーンになったのではないかと思います。かなり毒素の強い、刺々しい台詞が頻出しますが、その裏にある悲しみや人間讃歌が僕には見えました。
手応えあり。確実に前に進みました。
ただ…
ただ……
佐竹さんの声を犠牲にして。
熱演すぎて途中から声がカッスカスというか、サウンドオブサイレンスになってしまった佐竹さん。もはやモスキートーンと化した大山金太郎。
そこで苦肉の策として、動きのみ佐竹さんで、虎本が声を当てさせていただきました。
でかいヤツがでかいヤツに声をあてたヒーローショー!
最高かよ!!
しかしそれでも佐竹さんのカラダは汗でグッショグショ。
声を当てた僕もヘッロヘロ。
でもね、でも!
もっと稽古したいと思ったよ、僕は。いや、僕だけじゃないはずだ。
血反吐はいて地面這いつくばるほど稽古したい。
僕らは今とても楽しい、最高の疲労を体験している。
テンション高い芝居っていいね!
熱い芝居っていいね!
海のシーンが楽しみだね!
熱い海のシーンだ。
熱海殺人事件っていいね!
虎本剛