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めのすのレポート

「12人の怒れる陪審員」
2020年2月5日・2月6日
大倉山記念館
出演者(敬称略)
古谷悠歩/眞野基範/南雲秋助/古川博巳/樋口広太/加藤聖也/田中清志郎/村上亮/秋山静/谷津輝美/新堂菜津子/浅賀友希/志郎/山田愛莉/宮内咲希子

団体名は「IFLentertainment」という横文字使ってカッコいいのに、ほとんどかぼちゃじゃないですかヤダー。

2月になってから中々の寒さを味わった2日間だった。初めて降り立った大倉山。坂の傾斜が想像以上にきつく、日頃運動不足の体には非常にしんどかった。

息を切らしながら上がった先に、白い大倉山記念館をその目にした。元々は精神文化研究所(たぶん)だったということだが、建物の意匠はアメリカの裁判所を彷彿とさせるようなものだった。

「12人の怒れる男」。タイトルはどこかでフワッと聞いたかもしれない。そんな程度の浅知恵と知識での観劇となったが、作品の良さは充分に堪能できた。というか原作めっちゃ面白いぞ、これは。ちょっと図書館に籠って読むか、ネット通販で購入しようか、要検討。

そもそも、演劇好きと自称するが所謂名作と呼ばれる数多くの作品をよく知らないままなのである。目下の課題として、もっと勉強したい。

「12人の怒れる陪審員」あらすじ(めのす的表現で書いてみた)

アメリカの陪審員制度によって招集された男女12名。退廷した彼らは密室にて、ある裁判の評議を行う。貧民街で起きた、少年による殺人事件。胸にナイフを突き立てられ亡くなっていたのは少年の父親。殺人の容疑で少年は逮捕され、被告として裁判を受けた。同じアパートに住む階下の老人の証言、高架線路を挟んで真向かいに住む婦人の証言。この2点が大きな決め手として挙げられ、少年は計画殺人の罪で「有罪」であろう、と陪審員たちは思っている。……ただ1人の陪審員を除いては。

登場人物キャラクターまとめ(台詞・外見・個性より)

陪審員長:クラス委員長的なキャラ。とにかく真面目に評議を進める姿勢。なのに「子供」と言われてカチンときちゃう。
2号:スネ夫ポジションかな。腕時計で時間計測という役目をやってどこか誇らしげ。
3号:小さな会社の社長。バカ息子にキレており、被告の少年と息子を重ねて見ている節がある。一番キレまくってた。
4号:インテリ眼鏡。株の仲買人。弁が立つキャラでセリフ量も多め。
5号:貧民街出身の青年。3号に変な擦り付けを食らう。
6号:一番大人しい。そこそこ高齢者設定?静かな口調で「ぶっ殺してやる」は鳥肌。
7号:評議に対して一番不真面目な男。ガム噛んだり、野球のチケット無駄にしたくないとか。真犯人は誰だろうとか野次馬気質もある。
8号:唯一無罪に投票した男。きちんと論じられないまま有罪が決まりそうになった少年のために1時間は検討し合おうと切り出す。めっちゃ喋る。
9号:最初に有罪から無罪に票を変えた女性。証人の高齢者の心情を分かりやすく説明。
10号:差別発言が著しく酷い女性。それは彼女の過去の経験から来るものだったかもしれないが、行き過ぎた発言は最終的に総スカンを食らうことに。
11号:アメリカ国籍外の人物。丁寧に言葉を話そうとする姿勢。細かにメモを書き取り、真剣に疑問を抱いていく。
12号:広告業界で働くキャリアウーマン。どれが事実で真実なのか、有罪と無罪の間で揺れ動く。

初見の加藤さんについて。6号役でした。初老に近い?年齢設定だったのか、かなり大人しかったです。滑舌良く喋ってました。演技も後半の悩んでるくだりは「あ~、これはマジで悩んでる人だわ~」って伝わってきました。声量が残念だった。あの密室、あの狭い空間、演者と客の距離の近さから考えても声量が足りない。弱い。5日のソワレでなんと言っていたのかやっと把握できた辺りも含めると、もっと声を張って喋って良かった。

出演者と観客の人数がほぼ同数に近いという、なんとも珍しい公演だったなぁ。舞台装置は殆どなく、記念館の椅子とテーブルを用いて1部屋の密室を演出していた。また、出入り口も観客の出入り口の扉が使われ、守衛が扉を閉め鍵を掛ける様がより一層、空間の密室感を表現していた。その演出点は悪くないと感じた。ただ、遅れてやってきた観客の出入りが発生していた回もあり、密室感の演出が薄れてしまった点は勿体無い。「事前に演出の都合上、開演後の出入りが不可」といった旨を周知しても良かったかもしれない。

また「室内での飲食喫煙は禁止」という前説が終わってから入室した観客数名が水分補給をしていた姿をちらほら見かけてしまった。出入り口での声掛けも必要なのかもしれない。ただ、これは観客側のマナーに係わるものなので自身で注意する他ないのがなんとも歯がゆい。こんな歯がゆさも、今回だけでなく他の観劇の際も付き纏う問題である。なんとかならんものなのかねぇ。

2020年早々から全通しを決めて、良いフワフワ感と疲労に見舞われた。知らない作品に頭のてっぺんまでどっぷり浸かった。のぼせるわー。

2020/2/12
めのす