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全国トップレベルの舞踊団が子どもたちに伝えること:舞踊家の「18の心得」から学ぶ、自愛のはなし

「全国舞踊コンクール」
東京新聞が主催するこのコンクールは、1939年から続く伝統ある世界有数のダンスコンペティション。邦舞、バレエ、現代舞踊、児童舞踊、群舞、創作舞踊の各部門に、毎年全国から約1300人の舞踊家の卵が参加。若手の登竜門となっています。(公式より)

全国舞踊コンクールの児童舞踊部門で過去8連覇を達成、今も入賞し続け、常にトップを走りつづける超強豪の舞踊団体が、わたしの故郷・岐阜県に在ります。
そんなわたしも、5歳〜14歳くらいまで所属していました。

(ちなみに、わたしはバレリーナになりたい!という夢があったわけではなく、大好きな姉が所属していたので「わたしも!」と、気づけば入会。わたしの舞台人生のスタートはここからはじりました。わたしと姉の幼少期の関係性は、「となりのトトロ」のサツキとメイをイメージしてもらえたら…笑)

今思い返すと、カリキュラムが豊富な団体で、幼児〜社会人が所属し、全国レベルの舞踊家を育成するクラスから、地域の公民館で行うカルチャースクールのようなクラスまで、生徒のモチベーションやポテンシャル(家庭環境も含む)に合わせてクラスを選べました。バレエだけでなくミュージカルにも取り組み、海外公演も行うほど。文化教育・舞踊家教育にかなり熱心な団体だったなぁと思います。そして調べたらなんと今年50周年…す、すごい。
彼らは、自らをバレエ団とは名乗らず、「舞踊学園」と名乗っていました。

全国トップレベルの舞踊家を育成しつづける舞踊学園で、子どもたちがまず1番初めに学ぶこと。
それは一体なんだと思いますか?

バレエの基礎
ストレッチの仕方
リズム感
それとも…解剖学

ではなく、

ある、「18の心得」


でした。

余談ですが…。入会当時わたしはまだ5歳。
母が方眼紙にこの18か条をひらがなで書いて家のリビングの壁に貼ってくれて、ただただ呪文のように繰り返し繰り返し唱えて覚えたのを思い出します。(だからこそ、今でも口が覚えていて、18か条全てを暗唱できます。体に叩き込んだものの記憶の強さ…)

そして、少女たちがこの心得を暗記テスト(があったのです)に備えて繰り返し読み上げているのを、たまたま聞いたおじいちゃんが内容の深さに思わず涙したとか。



一流の舞踊家を育成する団体なのに、解剖学でもバレエの基礎でもない、この「心得」を、どんなことよりも1番初めに学ばせること。
このアプローチは、舞踊家、表現者とは何たるか、を語っているようにも感じます。

表現者とは。


舞踊家は、踊ることで表現し、伝え、心を動かし、感動を生み出す。
…では、感動を生むにはどうしたら良いのだろうか。

「人の感動を生むには、
自らが感動していないといけない」

これは、その舞踊学園の初代学園長の言葉です。


彼は子どもたちに何を伝えたかったのだろうか。

バレエを学びに来たのに、なぜか基礎より先に最初に学ぶ、「心得」。
そして、初代学園長の言葉。

「人の感動を生むには、
自らが感動していないといけない」

表現するとき、人に何かを伝えるときに、
最も重要なことはなんなんだろう。
それはどんな学問やテクニックを学ぶことよりも、
最も優先し、学び、取り組まなければいけないこと。

「自らの心が感じて動く状態でいること」

自分の状態を整え、何に心が動かされるのかを知ることで初めて、人に向けて発信できる状態になれる、という教えであり、
同時にそれは、「自らを愛しなさい」と伝えたかったのかもしれません。

表現者たるもの、自らを愛さないままのうわべの表現をしてはならない。


「本物であれ」と。


今はもう舞台の上で踊っていないわたしも、
人生という舞台の上で踊りつづけているのかもしれない。
あなたも誰かにとっての舞踊家で、表現者なのかもしれない。



「心得」

 1.いろいろな立場になって考えます
 2.親切が心得の中心です
 3.信用を第一とし信じ合います
 4.微笑みと感謝が大切です
 5.間髪を入れず実行します
 6.常に努力を忘れません
 7.自信を持ち自惚れません
 8.よく解釈し良い面を見ます
 9.見栄を捨てます
10.明るくはっきり伝えます
11.威張らず卑下しません
12.機会をしっかりとらえます
13.素直さを忘れません
14.悪を許す大きな心を持ちます
15.自分の型を押し付けません
16.できる約束をし必ず守ります
17.きちんとした姿勢をします
18.自らを前に押し出します






(後記)
結果、ダンサーの道を進みつづけなかったわたしですが、なんだかうまくかなかったり、生きづらさを感じた時、この心得がふと降りてくる。
「ああ、わたしこの18個のうち、これとこれを忘れていたんだね」と、わたしの生きる指標として存在してくれている。
そして忘れてしまっていた項目や、グサッとくる項目は、自分の状態や環境、時期によってまったく違ってくるからこれもまた不思議。

心が動く状態でいるためには、まず自分を知り、愛することから。

「本物であれ」
今日のnoteは、そんな自分への備忘録も兼ねて。



おしまい。
明日も良い旅を!

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