スタコネ Start-up's Voice|ぱんどら|香西代表へインタビュー
『スタコネ』は、「スタートアップ」と「スタートアップを支援するサポーター」をつなぐプラットフォームです。
2023年8月にローンチし、たくさんの方にサービスに興味を寄せていただいております。日々『スタコネ』をご案内させていただく中で、「どんなスタートアップ企業が登録されているのか知りたい!」という声を頂戴することが多いので、『スタコネ』に掲載し、サポーターとマッチングされた企業様について、代表者様へのインタビュー形式でご紹介したいと思います。
物流コスト改善請負人。最適な倉庫の提案に加え、EC事業者の全業務を支援範囲とするネットワークを構築し物流DXを牽引
1.『ぱんどら』ってどんなサービス?
『ぱんどら』は、EC事業者に対して、伴走型の物流支援サービスを展開しています。「PANDORA LOGI」というプラットフォームを介して、EC事業者と物流事業者(3PL事業者*)をつなぎ、最適な物流倉庫のマッチングを行うほか、EC物流における全業務工程の外部委託機能を獲得し、物流事業者(3PL事業者)単独では対応できないフルフィルメントの業務支援を提供しています。
各業務分野に長けた人材、企業をネットワークし、EC事業の製品製造からマーケティング、受注、梱包、発送、決済、カスタマーサポートまで、一連の業務プロセスを支援範囲とすることで、EC事業者のグロースを包括的にサポートする体制を整えています。
*3PLとは、「Third Party Logistics」の略語で、3PL事業者とは、荷主企業に代わり、物流業務を遂行する事業者のこと。
2.『ぱんどら』の強み
物流業界の特徴として、一度価格の折り合いがついて物流倉庫と契約すると、見直しや継続的改善が行われにくい傾向があるんですよね。3PLと呼ばれる、物流倉庫業務を委託できる会社は、特に他社との差別化を売り出すような提案をすることは少ないですし、もしEC事業者が事業初期段階で複数社の見積もりをとっても、各社見積もり項目が異なるので単純な比較が難しいんです。徐々に経験値が上がり、倉庫についての知識が増え、改善が進む頃には、3回くらい倉庫の移転を経て今の倉庫に落ち着いている、というEC事業者さんが多いですね。その「どの倉庫との契約がベストなのか」を検証したり、移転にかかる手間や機会損失をなくすことできるのが『ぱんどら』の強みですね。『ぱんどら』が介在することでスムーズに倉庫とのマッチングを行い、大局的な視点から最適なコストを提案させていただいています。
当社が「最適化」できる要素は、細かく区分すると数百にのぼります。わかりやすい大項目でいえば、例えば保管料、作業料、配送原価などです。個人向け宅配の場合、たいていは佐川急便やヤマト運輸を利用するのですが、両社の利用料金も契約する会社によって異なりますし、地域から地域の距離によっても価格が変わります。
・倉庫がどこの場所にあるのか
・どれくらいの人件費で運営しているのか
・地代はどれくらいなのか、何が取り扱えるのか
・配送品質はどうか、エラーはないか
など、多面的な比較を行う必要があるということですね。
当社の物流経験や体系的な知識を総合したコンサルティング型のマッチングという要素が、顧客満足度につながり、解約率ゼロという指標にも表れているのではないでしょうか。
このように『ぱんどら』は、コスト削減に優れた会社ですが、実は当社の支援領域は、倉庫のマッチング支援だけではありません。業界では、物流の入口から出口までの一連の業務を「フルフィルメント」と呼ぶのですが、「EC事業を始め、受注するところからお客様の手元に商品が届くまでのすべて」が支援範囲になります。
卸業者の手配もできますし、製造から関わり資材の提供も提案できて、マーケティングの面でも広告に強い会社や大手ECサイトでの検索順位を上げられる会社をご紹介したり、どこのECカートを使うか、どこのウェアハウスマネジメントシステム(倉庫管理システム)を使うか、それをどのように設定したらよいか、あらゆる業務課題のソリューションを用意しています。
当社が実務支援を行う企業ではなく、マッチングに特化した企業だからこそできる支援と言えますね。今までの物流企業とは違う、ビジネススケールにコミットできる「売れる物流会社」を目指しています。
3. 物流業界の課題と『ぱんどら』の事業背景
当社に出資いただいているのは物流倉庫の企業様が多いのですが、業界の方々が考える物流課題と、他方EC事業者側からみた物流の課題を突き合せた時に、改めて情報の非対称性が強い業界だということを感じました。発注側であるEC事業者側から見えにくい、検証しにくい商慣習なので、その「不」を解消するサービスが提供できれば両者にとってメリットを生み出せるはずだという確信はありましたが、紹介するだけの事業モデルで双方にきちんと価値提供できるのか、魅力に感じてもらえるのかという懸念がありました。
そこで当初は、わかりやすく「EC事業者にとってコストを安くできる」というコンセプトで打ち出そうと考えていたんです。コストの変数が多い分、最適マッチングをすれば、倉庫機能の強さに関わらず安くすることは可能だからです。しかし、実際にサービスを提供していくと、安いだけでは、企業の意思決定に結びつかないケースがあり、逆にコストダウンが大きくできていないにも関わらず成約できるケースがでてきたのです。こういった経験から、我々の強みは単に「多くの倉庫会社の分析や比較ができる」ことではなく、事業検証の中で、ビジネスに対して言及できるヒトやアセットを持っているということが、顧客の事業成長を加速する強力な武器になることを認識したのです。
例えば私自身はグロースハックが専門ですし、EC事業者のマーケ施策に強い事業パートナーもいます。物流倉庫担当としての長いキャリアをもつメンバーや、多数、倉庫移転を経験してきたメンバーもいて、物流倉庫側の業界知識も網羅しています。また最新鋭の物流倉庫と強い連携体制を構築しており、高品質な物流を実現することが可能です。この業界においては特に、そういった経験に裏打ちされた確かな提案ができることが付加価値になると確信し、現在は「伴走型支援」をコンセプトに掲げサービス拡充に努めています。
当社では、通常の物流会社が敬遠しがちなスタートアップの企業の物流支援も積極的に行っています。立ち上げたばかりの事業者さんは特に、モノを売ることに注力していて、物流に関してはコストセンターとして放置しがちです。どこに頼ればよいのかもわからないと思いますし、そこに目が向かないとコスト改善の重要性に気付くのも後手になってしまうんですよね。そのあたりも『ぱんどら』がフォローできたら良いと思っています。もちろん、出荷量が多い企業様にはより細かい提案ができるので、満足度はさらに高くなると思いますよ。馴染みのない方には分かりづらいビジネスモデルかもしれませんが、物流の総合商社というか、事業者側のビジネス目線をもっている物流会社と認識いただきたいと思っています。ここまで俯瞰的に支援できるサービスは他にありませんし、2024年問題に対しても、新たな視点でソリューションを提供したいと考えています。
『スタコネ』起点でビジネスチャンス拡大。事業家目線のフィードバックを得て事業をブラッシュアップ
4.『スタコネ』を利用したきっかけ、期待したことは?
『スタコネ』は、スタートアップや新規事業に関して感度の高いサポーターの方が集う洗練されたコミュニティという印象でした。会員登録は有償ですし、間口を広げていない分、サポーターサイドの属性に信頼がおけると言いますか、一定水準の質が担保されている組織だなと。『ぱんどら』の認知拡大や事業検証に活かすフィードバックの獲得、コネクション作りに役立つことに魅力を感じ参画しました。
5.『スタコネ』を利用した印象は?
事業家目線で、当社のサービスに対してのリアクション、フィードバックをもらえたことは非常に有意義だったと思います。そしてそれをオンラインで効率的に行うことができたということ。例えば新規事業支援などでアプローチすることを想定すると、たいてい1日がかりだと思うんですよね。スタートアップのイベントでピッチを行う場合は、誰が当社へ関心をもっているのかわかりませんが、『スタコネ』では少なからず当社の事業を理解し興味を持っていただいた方、つまりみなさまが当社に対して支援を検討されている方々であり、その方たちと個別に対話しリアクションが得られたことは、ビジネスをブラッシュアップするうえで非常に参考になりましたし、貴重な機会でした。
6.『スタコネ』を利用して得られた成果
長期的な視点で支援先を検討されていたり、自社の事業展開を見据えてコミュニティに所属されている方もいらっしゃって、良い意味で、フラットな関係でビジネスのディスカッションができましたし、『スタコネ』をきっかけに商談機会を得て、自然にアライアンス候補となる横のつながりが拡がっています。
物流は、事業として関わっていない方も日常的に触れているサービスだと思います。コネクションを多く持たれる事業家の方々に『ぱんどら』という名前と『ぱんどら』が提供できるソリューションを認知いただく良い機会となりました。みなさま決裁権者で、普段から俯瞰で物事を捉えて意思決定をされている方々であり、ご助言の内容が的確ですし商談に進むのもスムーズでした。
47都道府県に加盟倉庫拡充。質の高いネットワークを増強し『ぱんどら』経済圏を拡大
7.『ぱんどら』今後の展望
『ぱんどら』経済圏を拡げていくことが目下の目標です。そのために加盟倉庫の数やマッチング精度、支援できる範囲、提案力を上げていくこと。これを戦略的に進め、2024年問題に悩む物流関係者の課題解消に貢献するとともに、物流ソリューションとしての『ぱんどら』の存在感を高めていきたいと思います。
2024年末までに、『ぱんどら』が介在する取扱出荷量を年間15万件-30万件規模とすることをひとつのベンチマークとしています。これがどれくらいの規模かというと、中堅物流企業が物流センターで扱う物量相当数。まずはこの規模の物量を取り扱いたい。そして、今年中に47都道府県すべてに密に連動できる倉庫業者を『ぱんどら』ネットワークを組み入れ、流通網を強化することを計画しています。
また支援範囲拡大の観点から、EC事業者様のグロースをサポートさせていただくために、『ぱんどら』からEC事業者様へ出資を行うことも検討しています。
既に多くの業界関係者さんから賛同いただきバトンを受け取っており、『ぱんどら』含め一丸となって物流課題の解決を進めている状況です。一社では変えられない業界慣習も協力し合うことで変えていけることがあると思いますし、業界各方面からの『ぱんどら』への期待に応え、物流業界の改革を推進していきたいと思っています。
(2024.1.16 インタビュー)
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