坂道狂詩曲 第9楽章
放課後、3学年会議室前。
俺とさく、
小坂さん賀喜さん早川さんが集合した。
5人:失礼します。
入室すると、そこには山下さんと、
おそらく"岩本さん"であろう人がいた。
美月:お、きたきた、テキトーに座って〜。
俺たちは長机を囲む椅子に、それぞれ座る。
岩本さんは椅子に腰掛け、
銃を解体し手入れをしているようだ。
しばらくすると、女子生徒が入室してくる。
??:失礼しま~す!
聖来:あ、"丹生ちゃん"やないか!
さくら:丹生ちゃん、こんにちは。
遥香:こっちこっち。
あれが"丹生さん"か。
明里:やっほ〜!も〜、かっきーったら強いんだからぁ。
遥香:ふふっ、ありがと。
良きライバルっていう雰囲気だな。
明里:あれ?あなた達は?
◯◯:あ、神代◯◯です。
菜緒:小坂菜緒です…
明里:◯◯くんに菜緒ちゃんね!どもども〜って、◯◯くんってそういえば、かっきーと戦った人?
◯◯:その節は、お見苦しい戦いを…
明里:ううん!すっごくカッコよかったよ!
◯◯:…//
ストレートな褒め言葉に動揺していると、
隣のさくらが脇腹を突いてくる。
◯◯:痛っ!?
さくら:…
美月:はぁ…やっぱ1人遅刻するのね。まぁいいわ始めようか。
ーーーーーー
美月:ここに集まってもらったのは、あなた達に"お願い"があってのこと。神代くんの件に関わるから、知ってる人もいるだろうけど最初からまとめようか。
蓮加:"史帆"居ないのに、話し始めて良いの?
美月:だって来な…
その時、俺の耳元から声がした。
??:いるよ〜
◯◯:おわぁっ!?
後ろを振り向くと、悪戯っぽく笑う
ハッキリとした顔立ちの女子生徒がいた。
◯◯:…あなたは?
美月:3年C組の"加藤史帆"よ。私が呼んだの。
史帆:よろしく〜。
聖来:"加藤さん"は、発現者なんですか?
史帆:そうだよ〜「戦車(Chariot)」のね。でも模擬戦とかダルいからいつもサボっちゃうんだ〜。
喋り方は独特だし、
ガサツな人間である事は分かる気がする。
美月:じゃあ史帆来たし、お願いできる?
史帆:ほいほい、ホント人使い荒いんだから〜。「異次元〈Beyond〉」
すると、史帆さんの背後に楕円形の何かが現れる。
美月:さぁ、ゲートにみんな入って〜
何の躊躇もなく入っていく3年生。
恐る恐る入ってみると、
そこには広大な緑の丘があった。
◯◯:え、これって…
さくら:バーチャル空間です…か…?
史帆:まぁね、バーチャル空間とは違ってホントの世界だけど、私のイメージした空間。
蓮加:模擬戦で使うようなオンボロ装置とは違って、より再現性・隠密性に優れるわけ。
美月:あんまり他の人に聞かれなくないし、ここで話そうか。
すると、加藤さんは
レジャーシートを広げだした。
史帆:よっこらせっと…
…用意周到だな。
ーーーーーー
太陽が程よく照り、
そよ風が吹き抜ける丘。
俺たち9人は、
レジャーシートに円形に座る。
美月:今度こそ、本題に入るね。
山下さんは、先日"考古学研究室"で先生達と話したことをそのまま伝えた。
史帆:へぇ〜、神代くんが「四元徳」なのね。
蓮加:現状は把握したよ。
そんな中、
1人だけ確実に話についてきていない人がいる。
美月:丹生ちゃん。話、分かったかな?
明里:全然分かりませんでした〜!へへっ。
なるほど丹生さんは、少し"おバカ"なのか。
ウチの高校は魔術師としての資質の他にも
そこそこの学力がなければ入れないのだが、
ごく少数、
戦闘能力の実力だけで合格する生徒がいるらしい。
聖来:で、私たちは何をすればええんでしょうか。
美月:今言った通り、神代くんとは別の「四元徳」の発現者が現れたという情報があるの。これは、高校内で七瀬先生と麻衣先生と私たちしか知らない。
山下さんは一息つき、真剣な表情を俺に向けた。
…
美月:その発現者と神代くんを近づけてはいけない、おそらく発現者の目的はあなたよ…神代くん。
◯◯:薄々そうだと思ってましたよ。
美月:発現者について、私と七瀬先生達とで調査を行っているの。みんなにはその"チーム"に加わってほしい。
蓮加:なるほど。更に自己防衛のために、戦闘の練習もすべきかもね。
美月:そう、だから"見込み"のある子を選ばせてもらったの、この高校で最強の9人をね。
菜緒:そんな"最強"だなんて…私よりもっと強い人はいくらでも…
さくら:私も自信ありません…
美月:あなた達は自分が気づいてないだけで強い、だからこれから鍛錬をするの。神代くんと関係があるってだけで、いつ狙われるか分からない。
史帆:みんなで強くなろう、の会ってことね。
明里:楽しそうじゃないですか!それ!
遥香:楽しいもんじゃないでしょ。
美月:みんな、協力してくれるかな?
それぞれが頷く中、
さくと小坂さんは決めかねているようだ。
◯◯:さく、小坂さん、俺からもお願いする。2人を巻き込んでしまったことは、全部俺の責任だ。
さくら:そんなこと…
◯◯:でも死なれたくないんだ、俺が"絶対"守ってみせる…頼む。
聖来:何や、カッコええなぁ。
◯◯:今は良いんだよ、そんなこと。
少し沈黙があって、
菜緒:私…やります。
さくら:私も…チームに入れて下さい!
美月:よし、決まりね。これから定期的に戦闘練習だったり調査をしていくわ、学業の不利益にはならないから安心して。
明里:やったぁぁぁ〜!勉強しなくて済むぅ。
蓮加:丹生ちゃん、勉強はしようね。
こうして、"チーム"が結成された。
名前は…まだ無さそうな感じ。
ーーーーーー
美月:じゃあそれぞれ、自己紹介しとく?私は3年B組"山下美月"。ラプソディは「月(Moon)」で、あ〜、こっちも紹介しようかな。
そう言うと、山下さんの手から
黒い霧のようなものが発生し、
一塊にまとまると、隣に"女性"が現れる。
色白で優しい雰囲気で、
執事のような燕尾服を着ている。
模擬戦の時に、見たものだ。
美月:"史緒里"、みんなに自己紹介して?
??:"妖霊ファントム"でございます。美月さんからは"史緒里"と呼ばれております。皆様、ご指導の程よろしくお願いいたします。
言葉遣いや仕草、すべてが丁寧で上品。
こうも妖霊でも差があるものなのか…
蓮加:私かな、3年B組"岩本蓮加"です、「星(Star)」が能力です。よろしく。
史帆:はいはーい、次私〜。C組"加藤史帆"でーす。ラプソディはね「戦車(Chariot)」だよ〜。"芽実"もおいで〜。
加藤さんが隣にゲートを作ると
中から蒼角の、白いユニコーンが現れた。
聖来:うわ、綺麗やな。
するとユニコーンは、
"ロリータ"のような格好をしている女の子に変身した。
芽実:"妖霊ブリリアント"、"芽実"でーす!よろしくっ!
そう言うと、
加藤さんの隣にチョコンと座った。
明里:友達が凄く増えたぁ!嬉しい〜っ。
美月:どう?神代くん、みんな女の子だけど。
◯◯:ど、どうも何も…
史帆:あ、照れてる〜、可愛い〜っ
◯◯:加藤さん、やめてくださいよ…照れてなんか…//
その瞬間、
俺の脇腹は鈍い痛みを感じる。
◯◯:ふぐっ!?
俺は腹を押さえて倒れ込み、
それを隣で鬼の形相で見下すさくの姿がある。
聖来:わーお。
遥香:さくちゃん、なかなかやるね。
菜緒:ふふっ
美月:じゃあ、2年生に自己紹介してもらおうかな。
ーーーーーー
続く。