坂道狂詩曲 第7楽章
審判:に…2年B組、戦闘不能。勝者C組"賀喜遥香"!よって、C組の勝利!
2人の光子は分散し、リンクを切る。
その時、リンクルーム。
さくら:◯◯っ!!
さくらたち3人が入室すると◯◯は意識を失っていて、
スタッフに倒れないように支えられていた。
聖来:スタッフさん、先生呼んできて!
スタッフ:わ、分かりました!
スタッフは走ってリンクルームを退出する。
さくら:ねぇ…やだよ…起きてってば!!
◯◯を抱き、涙を流すさくら。
聖来:死んだわけやあらへんし、大丈夫やから!
菜緒:私…回復を試みます!
聖来:治癒魔法できるんか?
菜緒:それなりに、ですけど…
さくら:お願い…助けて…
菜緒の左手の中指に深紅の指輪が現れ、
手の平を◯◯の頬にかざす。
すると、七瀬がリンクルームに到着する。
七瀬:神代くんは大丈夫!?
さくら:◯◯は…
菜緒:今、治癒魔法で回復を。
七瀬:とりあえず医務室へ連れてってあげて。神代くんが起きたら、貴方達も一緒に地下の"考古学研究室"に来て。
聖来:分かりました。
七瀬は足早にリンクルームを退出した。
聖来:"べレちゃん"、運べる?
聖来がそう言うと、聖来が抱えているぬいぐるみが、
180cmはあろう"パンダ"の着ぐるみに変化する。
…そして◯◯を易々と抱き上げる。
さくら:えっ!?…まさか、妖霊だったの?
聖来:そうやで〜、私の大事な家族。じゃあべレちゃん、医務室まで頼むな。
1匹?に3人はついて行った。
ーーーーーー
熱狂が鎮まらない試合会場にて、
七瀬:美月。蓮加ちゃんも。
美月:あ、七瀬さん、どうしたんですか?
蓮加:…どうも。
七瀬:ちょっとついてきて欲しい。
美月:ふ〜ん、"さっきの子"に関してですか?
七瀬:流石やな、その通り。
美月:私も少し、嫌な感じはしてました。ね、蓮加。
蓮加:あんまり興味ないって言ってんじゃん。
美月:戦った本人だし、遥香ちゃんも呼びますか?
七瀬:お願い。
ーーーーーー
それから約30分後、
俺は医務室のベッドの上で目を覚ました。
視界には、俺の額に手を当てている小坂さん、
試合は見たから顔は知ってる早川さん、
そしてさくの姿があった。
さくら:◯◯!大丈夫?
聖来:私、"早川聖来"です〜。
菜緒:あの、起きられますか?
ベッドから立ち上がる俺。
◯◯:うん、ありがとう。で、何で俺はここに?
聖来:あんた、模擬戦で"暴走"してたんやで?
◯◯:え?…俺が…?
小坂:それで、意識を失ってしまったので…
さくら:もう、心配させないでっ!!
さくの顔は、安堵にも怒りにも見て取れる表情だった。
◯◯:ご、ごめん…
菜緒:私たち、西野先生に呼ばれてますから、"考古学研究室"に行きましょう。
◯◯:怒られるのかな、俺…
聖来:何のお話やろうな〜?
ーーーーーー
校内の地下、"考古学研究室"のドアを開けると、
西野先生ともう1人の先生、
更に女子生徒がいた。
4人:失礼します。
4人で部屋に入ろうとすると、
後ろから賀喜さんが現れた。
遥香:…失礼します。
聖来:お、かっきーも来たんか?
遥香:うん、呼ばれてね。
七瀬:みんな、入って。
俺たちが入室すると、
眼鏡をかけた先生が俺に猛スピードで寄ってきて、
俺の肩をガッチリ掴む。
??:貴方、どこでその"能力"を獲得したの!?…今すぐ捨てなさいっ!!
◯◯:あ…っと、どういう意味ですか…?
七瀬:ちょっと、"まいやん"。
西野先生は眼鏡の先生を剥がす。
眼鏡の先生は正気に戻ったようで、
麻衣:…ごめんなさい。えっと〜、私、"白石麻衣"って言います。ここで魔法の歴史を研究してまして。
聖来:先生達は知り合いなんか?
七瀬:えぇ、昔から。あと、そっちにいる生徒はみんな知ってると思うけど、3年生の"山下美月"。
美月:どーも、2年生達。
小坂さんが小声で耳打ちしてくる、
菜緒:あの人、この学校で"最強"の人。
そうなのか、あれが"最強"の生徒…
さくら:なんで山下さんが、ここに?
七瀬:みんなには、神代くんの「ラプソディ」について知って欲しくて集まってもらいました。もちろん美月にもね。
◯◯:俺の「ラプソディ」についてですか…
麻衣:まず確認のため、そこにある"水瓶"で能力の"判定"をしてもらいます。
俺は指示された通り、
右手を水瓶の中に突っ込む。
すると、手の平に"紋章"が浮かび上がる。
麻衣:紋章、見せて。
紋章を見た先生達は顔を見合わせる。
七瀬:やっぱりやな。
麻衣:貴方のラプソディは「正義」、間違いないかしら?
◯◯:そう…だと聞いてます。
七瀬:みんな知ってる?「正義」というラプソディの存在。
さく以外の全員が首を横に振る。
七瀬:それもそうやろうな、誰も教育なんてせぇへんもんな、この"能力"について。
聖来:関西弁なんか、先生。
七瀬:たまに出ちゃうけど、許して。
麻衣:どこで、この力を獲得したの?
◯◯:現実世界で、微かですが魔力を感じる本を見つけて。そこに書いてあった方法を用いて"妖霊"を召喚しました。
七瀬:かなり馬鹿やってんな。
菜緒:そうだったんだ…
麻衣:その妖霊を召喚してもらえる?
◯◯:…分かりました。
…
俺は簡易召喚魔法で、
レオンを召喚した。
すると、さくの姿をしたレオンが現れる。
◯◯:お前、いい加減その格好どうにかしたらどうだ?
さくら:まだ私だし…//
レオン:おい、次は何の用だ?
七瀬:あんたか?神代くんを操ったのは。
レオン:あ?質問相手はお前か。今日の試合のことか?…いや、俺もあれは想定外だったぜ。
麻衣:神代くん、今すぐコイツと"契約解除"するか、殺しなさい。
◯◯えっ!?
七瀬:ちょっと、そんなこと吹き込まないで!
レオン:おっと、それは無理なご用件だな。この部屋にいる奴らに、俺を倒せる奴なんかいねぇ。
美月:じゃあ、試してみる?
レオン:お〜怖っ、お手柔らかにたのんますよ。あと、そいつの持ってる"本"には、おそらく契約解除の方法は書いてない。だろ?◯◯よ。
俺は正直に頷く。
聖来:で、何であんたが「正義」っていうラプソディを持ってたんや?
レオン:それを今からそこにいる"先生"が話すんじゃねぇの?…俺もハッキリは知らねぇが、俺なりに推測はある。
◯◯:それを話せ。
レオン:お前らの話が先だ、それを聞いてから推測が当たってるかを確かめる。あんまり筋の通ってねぇ話をするのは嫌いでね。
麻衣:分かったわ。「四元徳」の"伝説"について、今から話します。
…白石先生は、ある古文書を取り出した。
そして、語り始める。
ーーーーーー
続く。