花と空
3年間ご一緒していた患者さんが亡くなり、1週間が経った。
その方はお花が好きで、
動かない体を頑張って動かしては、お花の育て方を教えてくれた。
バラを育て始めて丸2年がすぎた私は、咲いては写真を撮ってお見せした。
「素敵ねー」「この間のより大きいね」と楽しそうに見てくださることを期待して。
観葉植物をいただいたので、窓際に置いてある。
なんだか最近、この観葉植物は元気がなかった。
まるで、その方を表しているみたいだ。
長年リウマチと共に過ごしていらした。
自分で歩くことは難しく、痛みといつも戦っていた。
人一倍気を使うから、気を使いすぎて時々精神的にまいってもいた。
緩和ケアの病院を見に行った時のこと。
「家にいるよりも、空が広く見えるの。」と。
緩和ケアの病棟は、他の病室より開放的に作られていたり、高い階に置かれていることが多いと私は思っている。だから空が広く見えるのも納得だ。
でも、
「高いところにあると、地に足がもうつかないんだって、気がしてしまうね」と。
空はまるで、心のようだと感じる。
だから私はよく空を見上げる。それで助けられたことがよくあったからだ。
空は心のようだけど、
その心が映しだされることに苦しさを覚えることもあるのかもしれない。
患者と呼ばれる方たちは
心に串が刺さったような傷みを持っている。
それが「看者」と字を変えても、その気持ちは大きく変わらないと思う。
今私にできること。
その人のスピードに合わせて、
時にはひっぱり、時には背中を押し、もちろん時には横に並んで歩く。
今私にできること。
時々、ご一緒したことを思い出して、自分が元気でいよう。
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