我が家は、ひとりっこ
キッチン用のベビーゲートを処分した。
現在、娘は3歳。外してから1年近く押し入れにしまい込んでいたが、やっと手放す決心をした。
ただでさえ狭いマンションの押し入れに、90センチもの幅のある柵を押し込んでいたのには理由がある。
第二子をどうするか迷っていたからだ。
もともとの希望は4歳差
わたしには4つ離れた妹がいる。今でもとても仲がいいし、よく連絡も取りあう。わたしにとって両親と同じくらい拠り所となる存在だ。
自分の姉妹関係からも、手のかかり度合いからも、出産前から2人目は4歳差を希望していた。
しかし、実家は遠方で頼れず、忙しい夫の育児協力も得られない中、ひとりで子育てするのは想像以上に大変だった。
保育園に落ちて退職し、四六時中子どもと一緒の生活も4年目に突入した。
年子なんて絶対無理、2歳差なんて考えられない、3歳差厳しいな…と毎年同じことを言っている。
そしてそろそろ、希望の4歳差きょうだいのリミットが近づく。
思い出す辛い日々
2人目を考えようとすると、一番に頭をよぎるのがつわり。
もう一度、あの寝たきりのつわりを乗り越えられるのだろうか…。
毎日何十回も吐き喉が切れ、点滴に通い、ベッドとトイレの往復しかできなかった日々。思い出すだけでゾッとする。
いままで経験したどんなケガや病気より、もっといえば出産当日より、つわりの数か月間が人生で一番つらかった。
無事出産しても、すぐに夜間授乳の寝不足がはじまる。
娘が授乳期、睡眠不足で発症した耳の痛みは結局完治に2年かかった。いまでも睡眠が乱れたりストレスを感じると耳が痛くなる。
夫の非協力さにイライラし、夫婦の暗黒期も経験した。
また、そんな日々に戻るのか…。
娘の幼稚園入園が目前になり、ようやく自分が取り戻せるような感覚なのに。それを手放して、また最初からやりなおすなんて。
考えただけで絶望してしまう。
そして同じことを繰り返したら、今度こそ夫が嫌いになってしまいそう。
一人目だから肩の力が入りすぎていたと思うし、保育園に入れていたらまた違ったのかもしれない。でも、これが現状の正直な気持ちなのだ。
選択的ひとりっこ
もちろん、娘はかわいい。いとおしくてたまらない。
つらい日々もあったがもちろん、楽しくて幸せで大切な瞬間もたくさんある。それは事実だし、娘を産んだことに後悔は全くない。
案ずるより産むが易し、なのかもしれない。
娘にきょうだいを、という気持ちもやっぱりどこかにある。
思い出す赤ちゃん期を懐かしく思ったりもする。
だけど、きっと我が家はひとりっこでいくだろう。
そう決断して、ベビーゲートは捨ててしまった。
でも、洋服や哺乳瓶はまだ捨てられない。
・・・我ながら矛盾した行動に笑ってしまう。
この春、ようやく娘は幼稚園に入園する。
新しい生活になって、気持ちに変化があるのだろうか。