医療従事者として働いていた時 2
看護師資格を取る前だが透析室で働いていた時のことだ。
透析を始めたばかりの多分70〜80代だったかの女性のことだ。
当時の透析室では、週一で血中の電解質をチェックしていたのだがその患者さん、K値がああがっていた。普段は正常値内だったからおかしいということで話を聞いた。
血中K値が上がりすぎると心停止の危険性が上がる為、上がった原因を聞いてみた。血中K値は基本なまものを食べると上がる。はっきりいうと果物や野菜サラダ、刺身などだ。
その方がいうには腎臓が悪い時はスイカがいい勧められたから食べた、とのことだった。
うん、スイカは利尿効果があるから普通なら腎臓に良いって話間違いじゃないよ。でもね、透析しなきゃならないくらいの腎不全は全く逆効果なんだよね。
ま、こんな感じでもうやめてね、と話して今回は終わった。
しかしホント笑い事ではなく命にかかわる出来事だっだ。
透析患者さんの突然死は正直よくあり、透析に来ないや、送迎ドライバーから待ち合わせ場所に来てないと言ったことからご自宅に上がってみると既に亡くなっていたなんてことはある。そんな患者さんはデータを見返すとKが高いことが多い。その都度指導はしたりしているのだが、少しの不摂生が命取りになるのが透析患者さんだ。
また、この件は以下のことを示唆している。
医者や、医療従事者の話や指導はきちんと守った方がいいということ、民間の言い伝えや、市井の人の話はそのまま鵜呑みにすると危ない、ということだ。
以前あった話だが癌を宣告された透析患者さんの話だが、何処からこれをすると癌が治ると聞きつけ、その人のところで治療してくる、だから引っ越しするから近くの透析病院に転院するから紹介状を書いてくれ、と言ってきた。話を聞いてこちらでも調べてみたが、胡散臭いというか、コレはウソだろと言ったものだったが、こちらに相談もなく決定事項の如く言われたのでしょうがないかとの思いで言われた通り紹介状を持たせて送り出したのだが、やっぱりというか、治りもせずに数ヶ月後には帰ってきた。そしてこちらで亡くなった。
こちらでキチンと治療していたらもっと生きたのかはわからない。が、世間の噂だけできぼうをもって、治療に行き治らずに帰ってきたその気持ちは如何程のものかとら思うとやり切れない。お金もだいぶかかったと思うとやりきれない。
病気にかかり、それが治らないと聞かされると一縷の望みをかけて胡散臭い話に乗ってしまう気持ちはわからないでもない。
民間療法を否定するわけではない。しかし医療従事者も、治す為、少しでも長く安寧に生活できるよう患者さんに協力しているのは間違いないから、キチンと我々に相談はしてほしいものだ。