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絶望
あまり知らない街を彷徨くのは昔から好きだった。
元気な頃は車で、都心に出てからは自転車で、暇を見つけては色々と走ったものだ。
取り敢えずの決め事は後戻りをしない、てことくらいか。
行けるところまで行って道路標識やを確認しながら走っていた。
車で走っていた頃は今で言う酷道と呼ばれる道に迷い込んだこともしばしばあった。それでも後戻りはせずに走って広い知った道に出ると何故か知らないけど達成感に浸ることができた。
後で地図で走った道を確認して道のつながりをまた知ることができて、こんなことでも知的好奇心を満たすことができたものだ。
都心の自転車での散策も小さい路地を走ったりしてこっちの場合は街の歴史を感じることがあって楽しかった。
で、今はそんなことは出来ないから少し離れたスーパーなどに出向くついでに知らない道を走っている。
今回も走ったことがない道を走ってみた。
歩道は程よい広さで自転車とも難なくすれ違える道だった。
で帰りは同じ道を走るのはやっぱり嫌だからスマホのマップで確認して別のルートで帰るようにしている。
行きは難なくこれたから帰りも大丈夫だと思って車椅子で走ったのだがとある跨線橋を渡ろうと歩道部分を走っていたらその歩道が階段に変わってしまっており愕然としてしまった。
車椅子だから階段は全く走れないので涙を飲んで近くの交差点まで後戻りをして目的地の方に走ったのだがなんとその先は行き止まりで駅の入り口でなおかつ階段だったからまた後戻りを余儀なくされた。
元の交差点を目的地の反対方向に走って難なく線路を渡れるところまで行くことができた。
そんな感じで線路に沿った道を十数分走っただろうかとある駅前に着いた。そこはさっきの行き止まりのところの駅だった。駅の階段を登れれば、そうじゃなくても跨線橋を渡ることができたら数分もかからず辿り着ける場所なのにと思うとどっと疲れが出てしまった。
で、気を取り直して今度は知った道を慎重に家まで走って帰ってきた。
この辺の歩道は狭くて傾いているところが多いから下手したら滑ってしまいそうだから身体に無駄な力が入ってしまうから慎重にならざるを得ない。
知らない道を走るのは今でも好きだけど車椅子では思った以上に制限があることを改めて思い知ってしまった。
初夏の日差しが眩しい日だったから気持ちはよかったけど非常に疲れてしまった。