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感銘を受けた芸人
昔からテレビのお笑い番組が好きでよく見ていた。そんな中でも特に好きなお笑い芸人が上岡龍太郎師匠だ。
彼の立て板に水のような流暢な喋りと彼の語る彼の信念に基づいた彼一流の話の内容がとても好きだった。
そんな彼も2000年に芸能界を引退された。
そんな好きな師匠なのだが彼の左に偏りまくった政治思想は受け入れられなかった。自衛隊を目の敵にし、国というものに重きを置かない思想は私には相いれなかった。
しかし、彼の語るテレビ論は当時非常に感銘を受けた。
彼の司会する深夜番組、EXテレビの中で語っていたテレビ論は、これからは玄人が私生活を見せるか、素人が芸を見せるのが受けるようになり、実際そうなっている、と語ったように覚えている。
彼曰く素人芸の代表がかのタモリだという。
たしかにタモリが出てきた頃はキワモノで、客の前で研鑽を重ねた芸ではなかったように思う。しかし彼のような人物がテレビの世界ではスターになった。
たしかにテレビというものが芸能と言われるものをまるっきり変えてしまったのだろう。
だから上岡師匠は21世紀を前に引退されたのだろうと思う。
そんな師匠の考えが、今のネットの世界にも当てはまると思う。
玄人が私生活を見せる、ここでいう玄人と言われるのはテレビによく出てる芸能人とさせてもらうが、その芸能人がYouTube上でモーニングルーティンや、ただ食べるだけの動画、ゲーム配信などでバズっているのは周知のだと思う。無論これは私生活の延長だ。
逆に素人と言えばYouTuberと呼ばれる人たちだろう。彼らの私生活までもネタにした動画群は若い人たちにウケまくったのは確かだろう。
こうみるとテレビ→YouTubeと置き換えただけで今を言い表しているように見える。
そこから見えるであろう将来は上岡師匠が玄人の芸と見ていたであろう舞台や銀幕はテレビに押され一時の熱狂からは遠くなって久しい。
歴史が繰り返すならばYouTubeに代表される動画配信にテレビは昔の栄光をかさにのたうち回るしかないのかもしれない。
しかし映画や舞台などは今でもその歴史は綿々と紡いでいるからテレビも古くなるだけである程度の影響力は保つのだろうと思う。
上岡龍太郎は、きちんといまを見据え未来を語れる稀有な芸人だった。