
「割引」は、副作用と依存を生む危ない薬 〜割引を考える時に必要な3つの視点と5つの方法
セール、割引、クーポン、今だけ、おトク・・
私たちは、どうしてもそんな言葉に心が動かされてしまいます。
やっぱり安いほうが嬉しく感じてしまうことは、否定できません。
買う側にとっては良いことかもしれませんが、売る側にとっては微妙な手段です。
できればやりたくない割引。
使い方を誤ると、副作用と依存症を生む危ない薬になるのです。
クーポンがないと、店に行かない
私たちの周りには、クーポンが溢れています。
クーポンというのは、ほとんどが割引です。
15%オフクーポン
私は、このクーポンがないと、買いに行かない薬局があります。
しかも1つにしか使えないので、1つだけ買って帰ります。
クーポンがない日には、寄ることもありません。
つまりこの薬局とは、クーポンでしか繋がっていません。
きっとみなさんも、アパレルやスーパーなど、いろいろなクーポン待ちをしていることがあるでしょう。
もしあなたが提供する側だったら、どう考えますか?
いろいろなジレンマを感じるはずです。
クーポンがなければ来ない、来ないと売上が立たない・・・
もし他の店がそれ以上の割引率だったら、顧客はきっとそちらに流れていくはずです。
つまり、顧客にとって金額面で都合の良い関係でしかないということなのです。
定価で買うことが、損した気になる
定価の15%引きといっても、結局、割引後が定価になります。
通常の定価が、15%ほど高い価格に設定されているような感覚になってきます。
企業側も、15%を差し引いた金額が実質の定価だと認識するようになります。
そうすると、定価を高く付けて割り引かれている感覚を演出しているんじゃない?と疑惑を感じてきます。
そうなるとつまり、定価で買うことが、損した気分になるということです。
「セールの前日に買ってしまって、翌日見たら同じものが30%引きだった・・・」
返品するから、30%引きで買わせてよ…って言いたくなります。
あるいは、
明日から30%引きになるって言ってよ・・・って言いたくなります。
何だか微妙な心境が生まれて、その店やブランドとの心の距離が遠くなります。
割引を考える時に必要な5つのこと
誰もが最初から、損得など考えているわけではありません。
得してやろう…と思っているわけでもなく、
損したくない…と思っているわけでもないのです。
でも、それを意識させられる出来事があると、どうしてもそれが基準になったり、心のどこかでひっかかったりしてしまうのは、しかたのないことなのです。
でも、割引は、不可欠です。
特に、食品やアパレルなど、賞味期限や季節やトレンドなどの期間があるものは、割引が必須です。
ですから大切なのは、共感を高める割引、信頼を失う割引があることを知って、適切に行うことなのです。
共感起業大全でご紹介している5つの方法をご紹介します。
①原則、割引をせず、オマケなどをつける。(例:オマケつき)
②表向きには割引をせず、お得意様だけに行う。(例:あなただけ)
③数の条件をつけて割引をする。(例:たくさん買う)
④期間の条件をつけて割引をする。(例:最初だけ)
⑤特殊な条件をつけて割引をする。(例:学生デー)
詳しく書くとそれなりのボリュームになってしまうので、詳しくは共感起業大全を見ていただければと思います。
そして、本ではまとめていませんが、3つの視点としてまとめると、
(1)原則、割引をしない姿勢が最も重要
(2)割引の条件が、誰もがしかたないと思えるかどうか
(3)割引の対象者に、自分もなれる可能性があるかどうか
ということになります。
このあたりをうまく設計していくことが、とても大切になります。