ゴールデンスランバー
伊坂幸太郎さんの長編小説です。
最近、本を読めていないな。
どんな本だったら、読めるかなと思って浮かんだのが
この本でした。
私が中高生の頃夢中になって読んだのがもう10年前
600ページを超える本を、最近じゃ10ページも頭に入ってこない自分が
読めるかなって思ったのは、不思議だけど、
最近で一番わくわくするなと感じたのがこの本でした。
結果、2日で読みました。なんなら、もう終わり?
こんなに短かったっけというくらいの疾走感。
主人公の青柳雅治が事件に巻き込まれたのが3日間なので、
本を読みながら、私も同じ時間軸で逃走しているようなそんな読書体験でした。
10年ぶり2回目に読んだ本は、物語と、1回目に読んだ記憶とが折り合わさって、
久しぶりに会うことばたちに、背中を押される思いでした。
「オズワルドにされるぞ」「大切なのは習慣と信頼」「痴漢は死ね」
うおー
あの頃、青春と呼ばれる時代にいた自分は「習慣と信頼」をとても信じていました。
思えば、部活の定期演奏会も大学受験も、そうやって乗り越えてきたな。
主人公というのは得てして、等身大の私とはかけ離れた存在のことがほとんどの中
この物語の主人公、青柳雅治は宅配ドライバーのおじさんです。冴えないやつです
ところが、青柳雅治に降りかかる事件は、メチャクチャです。
仙台というマップでハンドガンやショットガンで狙撃してくるポリスからハイドして生き残らなければなりません。道中で車を文字通り調達して、電話を調達して、騙し騙され、一か八かの賭けに打って出ます。
物語の最後はハッピーエンドが相場ですが、この物語は決して勧善懲悪的にスッキリするような終わりかたはしません。でも、とても満足感のあって、あったかい、ほっこりする終わりかたです。
たいへんよくできました。