役職定年を迎えたらどうなる?年収や仕事内容は?
役職定年の現状について
役職定年制度とは
役職定年制度とは、役職ごとに定年を設ける制度である。通常の定年制度と併存しており、通常の定年制度で定年退職を迎える年齢よりも若い年齢で、役職を退くことになる。
役職定年制度は、1980年代に日本企業に導入され、以降、多くの企業で導入されるようになった。その背景には、以下の要因が挙げられる。
高度経済成長期における企業の急速な成長
年功序列制の浸透
人材の若返り・世代交代の必要性
役職定年制度は、企業の活性化や人材の若返りに一定の効果があったと考えられる。しかし、近年は、役職定年制度の見直しや廃止を検討する企業が増えている。その背景には、以下の要因が挙げられる。
少子高齢化による労働人口の減少
働き方の多様化
人材の能力や意欲の重視
役職定年制度の導入状況
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査によると、2019年時点で、役職定年制度を導入している企業の割合は、28.1%であった。企業規模別に見ると、500人以上の企業では36.6%、100〜499人では25.5%、50〜99人では17.1%となっている。
役職定年制度を導入している企業においては、役職定年制度の対象となる役職は、部長級や課長級が中心となっている。また、役職定年制度の対象年齢は、55歳や57歳が多い。
役職定年制度のメリットとデメリット
役職定年制度には、以下のメリットとデメリットがある。
メリット
人材の若返り・世代交代を図ることができる
役職に応じた人材を適材適所に配置することができる
役職による待遇や権限を明確にすることができる
デメリット
役職定年を迎えた社員のモチベーションを低下させてしまう可能性がある
役職定年を迎えた社員の知見や経験を活かすことができない可能性がある
役職定年制度の廃止・見直し
近年、役職定年制度の廃止・見直しを検討する企業が増えている。その理由としては、以下のようなものが挙げられる。
少子高齢化による労働人口の減少
働き方の多様化
人材の能力や意欲の重視
少子高齢化による労働人口の減少により、企業は、人材の確保がますます困難になっている。そのため、役職定年制度を廃止することで、役職定年を迎えた社員の経験や知識を活かし、人材の活用を図ろうとする企業が増えている。
また、働き方の多様化により、企業は、社員のライフスタイルやキャリアの多様化に対応することが求められている。そのため、役職定年制度を廃止することで、社員が自らの意志でキャリアを形成できるようにしようという企業が増えている。
さらに、人材の能力や意欲の重視により、企業は、成果や能力を重視した人事評価制度を導入する動きが広がっている。そのため、役職定年制度を廃止することで、役職に関係なく、成果や能力を重視した人事評価制度を導入しようという企業が増えている。
役職定年制度の今後
役職定年制度は、企業の活性化や人材の若返りに一定の効果があったと考えられる。しかし、近年は、少子高齢化や働き方の多様化などにより、役職定年制度の見直しや廃止を検討する企業が増えている。
今後、役職定年制度は、企業の規模や業種、働き方の多様化の程度などによって、導入・廃止の判断が異なると考えられる。また、役職定年制度を廃止する場合でも、役職定年を迎えた社員の経験や知識を活かすための仕組みを整備することが重要である。
役職定年での給料は
役職定年を迎えた場合、一般社員に降格することになるため、基本給や賞与、役職手当などの給与が下がることになります。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査によると、役職定年を迎えた社員の年収は、役職定年前の75%〜99%程度に下がる傾向にあるとのことです。
具体的には、役職定年を迎えた社員の年収は、役職定年前の年収を100とした場合、75〜99の範囲で変動することになります。
例えば、役職定年前の年収が600万円だった場合、役職定年後は、450〜594万円の範囲で年収が下がることになります。
役職定年によって年収が下がる理由は、役職手当がなくなるためです。役職手当は、役職に応じて支給される手当で、一般社員には支給されません。
また、役職定年を迎えた社員は、管理職としての責任や権限を失うため、基本給や賞与の引き下げが検討されることもあります。
ただし、役職定年制度を導入している企業のすべてが、年収を下げるとは限りません。役職定年制度を導入している企業の中には、役職定年を迎えた社員のモチベーションを維持するために、役職定年後も一定の給与を保障する企業もあります。
また、役職定年制度を廃止する企業が増えているため、役職定年を迎えた場合の年収が下がる傾向は、今後、さらに強まると考えられます。