去年の話。

ある日曜日の夜、1人でお風呂に浸かりながらYouTubeを見た。
12人産んだ助産師さんの動画。
子供はいないが、子育て系の動画をよく見るので、いつものザッピングだった。

その時の私は26日周期の生理が2日遅れていた。
2,3日ずれることはよくあるので、
きっと今月もリセットしちゃうんだろうな、と期待せずに、のんびりやってこ!気にしない!と思っていたつもりだったが。

動画で"AMHの値が低いということ"について話してくれていた。

AMHっていうのは、卵子の何段階かある成長過程のある一部の段階でしか出されないホルモンを測ってわかるもの。
だから低かったとしても、検査したその時たまたまその段階にいる卵子が少なかっただけってことかもしれない。
それよりもやっぱり年齢のほうが妊娠するっていうことに関しては大事。AMHの値が低かったからって必要以上に悩む必要はない。

みたいな話をしていた。
それを見て、気にしていないはずだった私は号泣した。
夫に気づかれないように、お風呂で静かに号泣した。
涙が一気に溢れて止まらなかった。

気にし過ぎない、のんびり行こう、また生理が来ても大丈夫、次頑張ろう、そう思っていたはずの私は、ちっともそう思っていなかったらしい。

早く、早く妊娠しないと、どんどんAMHの値が下がるかもしれない。毎月でも血液検査をしたいくらい。
今回生理が来たら人工受精にステップアップする予定だった。
婦人科の先生に言われたのだ。低AMHの方には、タイミング療法3回目が終わったら人工受精にステップアップをお勧めしてます、と。
他の人は半年くらいタイミングで試すらしい。
でも私には時間がないらしい。
夫にも婦人科で言われたことを話し、どうする?と聞いたところ「やろう」と二つ返事で人口受精へ進むことが決まっていた。

どんな感じなんだろうね?くらいの軽い気持ちでいるつもりだった。
でも実際は、助産師さんの動画を見て、救われた気持ちになり、号泣した私がいた。
私は追い詰められていたらしい。
それに気づかないように、私が私を一生懸命に励ましていた。
そして励ましている私が勝手に大丈夫、と言い続けていた。

涙がやっと止まってきた頃、
はっきりと、しっかりと、
明日の朝ドラッグストアに行こう。
そして妊娠検査薬を買おう。
と心に決めた。

何回かフライング検査をしてみたことはあったが、時間が経っても真っ白な検査薬を見ては落ち込み、それを"気にしない!"と励ます自分、次の日に結局来る生理、またそれを"そんなもんよ!"と励ます自分に疲れていた。
だから今回も、期待して検査しないように自制していた。
期待して高揚した気分から突き落とされるより、
普通のテンションから突き落とされたほうがダメージが少なくて済むでしょ?

しかし私はお風呂で1人声を殺して泣くほどに妊娠を気にしていたのだ。
これはもう検査しよう。
検査して気が済むならそれはそれでいいじゃない。
気にしちゃうくらい私はこの問題に真剣に向き合っているということ。
大丈夫、気にしたっていい。

あの動画をあのタイミングで見て本当によかった。
低AMHを気にしすぎることはない、っていう内容よりも、
自分が本当はどれほどそれを気にしているのか気づけたから。
自分の中の本音と建前が乖離しすぎるのは精神衛生上良くなかったと思うし。

私はめちゃくちゃ妊娠したくて、
でも時間が限られてるかもしれないから焦っている。
これが今の私の正直な気持ち。

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これ、去年の今頃書いたやつ。
私はこのとき心に決めたフライング検査で妊娠が分かった。
めちゃくちゃ嬉しくてまた泣いた。
タイミング療法だけの妊活だったけど、気持ちは焦りまくって苦しい期間だった。
世の中にはもっとたくさん苦しい時間を過ごしている人がいると思うと、なんだかなあという気持ち。


今は隣で娘が泣いている。
そろそろおっぱいの時間だ。

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