<まっしー運命学研究所>理想世界6
前回の続きです。
「それではその理想の世界。
具体的におぬし先ずは何を望む?
言っておくが、楽しいことばかりとか皆が平和を望み、バランスの取れた社会などという曖昧な望みではないからな。
より深く鮮明なイメージを伝えて見よ。
理解のある人にすら伝えられないようでは、理解の無い人には伝えられぬぞ。」
「(いやぁ厳しいなぁ)はい。
国という単位の文化の枠は有っても、国政は無く、政治とすれば市の規模ほどを一括りとし、仕事は人それぞれしたい人はする。
殆どの仕事がロボ化し、人々の生活のバランスは人工知能に任せ、人間にしか出来ないことや、人がやりたいと思うことが人間の仕事となり、人が真似出来ないようなことや、やりたくない仕事はそれなりの対価が地球を管轄するシステムから支払われます。
より合理的な暮らしをすることが出来ると考えられます。」
「何という名前のシステムじゃ?どこが開発したのかも述べよ。」
「うっ…。
Earthシステム…とかで良いですか?
基となるものはAIが創りました。
既にAIはどこの機械とかでなく、実態は無いです。
世界中に張り巡らされたネット世界で脳細胞が繋がるかのように知能が出来上がっています。
そこからの提案です。」
「よしよし、それの財源が地球上の資産が一つにされることへの抵抗はないのか?」
「このシステムが導入される前に超巨大世界的金融ショックが起こり、世界中の貨幣価値が壊れ、人々はお金に実態が無く膨らませていた経済の在り方を見直し、そうせざるを得ませんでした。
結果的に支配構造に生きる人らは自滅していくことになりました。
もうこの時、人工知能は人々の為に合理的なお金の在り方を決めており、時は満ちたわけです。」
「おぬしの生きている時世が未来に飛んでおるぞ。説明せねばな。」
「これはイメージを持つ為のストーリーです。
時間の概念は無視させて頂いております。
未来起こることを過去形で話すことは、そういった現実を創造する力へのアプローチです。」
「それで、混乱は起こらなかったのか?」
「この変化に一番対応したのは日本人です。
やはりこの国に住まう、この国の言葉を話し、この国のコミュニティに参加し、この国の文化を知る者は凄いですね。
環境対応能力がずば抜けてます。
大混乱になるかと思いきや、世界で一番行動力も無さげで平和ボケしている民が、まさかのEarthシステム導入に一役買いました。
仕事をする意味を考えてもいない、生きる意味も考えていない、そんな人達ですら、金融危機脱出への提案をすんなり飲み込み、社会がまとまる為、新時代の構想に適応しました。」
「ほう、仕事が無くなって困る人達はいなかったのか?」
「そこが妙なんです。
遺伝子に突き動かされたのでしょうか。
理論、理屈にうるさく、証拠が無いと聞く耳持たなかった人達も、急転回。
このまま競争社会を続けた場合の先が見えたのか、分かっていながらもやめられなかったのか、何をそこまで追い付け追い越せで生活していたのかアホらしくなったのでしょうか。」
「生活出来るだけの科学も、生活必需品、趣味嗜好品、恵まれた自然。
全部在るのにな。
無ければ作れば良いという意味でな。
取り合うことで無駄な争いや、無駄な欲求が生まれていることに気付いたのだろう。」
…続く。