【2023TDLレビュー】MIAプチコンテンド
MIAは今回のトレードデッドラインでほどほどに補強し、今季のプレーオフ進出を狙いつつ、ファームシステムも守りました。今季プレーオフ進出に失敗しても問題ない程度の動きは中長期的に見て整合的です。デッドラインを終えて約二週間。状況の苦しさが逆にリスクヘッジの正しさを示しているとも言えるかもしれません。
〇MIAの主要なトレード一覧
※ Pro Rkはプロスペクトランキングの略。MLB公式のランキングを用いている。全は全体の順位。#は旧所属における順位。外は旧所属TOP30外
〇レビュー
ワイルドカードを狙いつつ、2024年以降に本腰を入れるという両張りの動きでした。放出したプロスペクトの質の割にロペス、ベル、ウェザーズ、バーガーと2024年以降もキープできる選手を4人も獲得できたのは大きいと思います。個人的にはフローロをロペスに代えて、FAまで1年伸ばしたことと、5年以上残るバーガーを余り気味の先発投手で獲得したことが大きいと感じました。ウェザーズも潜在能力を引き出せればスティールになりそうです。
〇TDL直後のチーム状況
7月中旬に8連敗と落ち込んだところを補完したと思いきや、8月3日から7日にかけて5連敗を喫しました。しかし、その後は持ち直して、2~14日の12試合で6勝6敗。直近は5勝1敗と勢いを取り戻しつつあります。特に13日にはヤンキースを相手に最終回に4点差を逆転サヨナラ勝ち。プレーオフに進出すれば象徴とされるような勝利を演じました。
デッドライン後の8月2日から14日のチーム成績を見ると、投打いずれもチームfWARはリーグ10位前後と平均を下回っています。しかし、個々の選手を見ると、バーガーがfWAR0.6、ベルが0.5を稼いでおり、野手のワンツートップを飾っています。早速補強の効果が出ていると言ってよさそうです。直近の調子を考慮すると、7月中旬からの落ち込みを脱したと言っていいかもしれません。
〇2024年以降の見通し
現状、2025年までロックされているような大型契約はアルカンタラとアビサイル・ガルシアのみです。2024年は既に60M程度ロックされており、調停選手の年俸も考慮すると、それほど補強余力はなさそうです。既存戦力に加わるアマヤ、エドワーズら若手の育成と、トレバー・ロジャース、シックスト・サンチェス、マックス・マイヤーの復帰がメイン。あわよくばワイルドカードという今年と同じアプローチになりそうです。
一方、2025年には、年俸に余力が出る半面、ソレアやベルがFAとなるので、打線の補強がポイントになるでしょう。FAで大物獲得は難しそうなのでまさにソレアやガルシアと同様にAAV15Mレベルの打者で何とか打線を形にしたいところです。または先発投手を放出して主力野手を獲得するトレードも模索すべきでしょう。
先発投手は上記の怪我人3人を考慮しても、エクステンション済みのアルカンタラを筆頭にルザルド、カブレラ、ギャレット、ペレスと頭数が揃っています。一番FAが早いのがルザルドの2026年オフとコントロールできる期間も長いので、アラエス、バーガー獲得のようなトレードを目指したいところです。いずれにしても投手は全体的に調停が始まったばかりの選手が多く、今後2年程度は低年俸で雇える見込みです。余り気味の投手を活用したトレードがMIAの本格的なコンテンドのカギとなりそうです。
※画像はMLB公式