バンコクからクルンテープヘ
タイ、いえ正式にはタイ王国ですが、その首都の英語名称が、「Bangkok(バンコク)」から「Krung Thep Maha Nakhon(クルンテープ・マハ―ナコーン)」に変更されることが、2月15日の閣議で承認されました。
実はこの名称変更、タイ王立アカデミーが2001年11月9日の時点ですでに推奨したもので、政府内部の公式文書では、すでに「バンコク」は「クルンテープ」とされています。いやもっと正確に言えば、少なくてもタイ語では、バンコクはそれ以前も「กรุงเทพมหานคร(クルンテープ・マハーナコーン)」と表記されていました。「偉大なる天使の都」という意味です。
それがなぜ、「Bangkok」になったのかといえば、諸説あるものの、1800年代初頭ポルトガルからの訪問者が、地元のタイ人に地域の名前を聞いたところ、そのタイ人が誤解して地元の村の名前「バーン・マコーク」と答えたことがきっかけだったとする説が有力です。一方、クルンテープという名称は、1782年に現在のチャクリー王朝が成立し、首都を今の場所に移したときに名付けた重みある地名。タイ人はこの時以降、首都を「クルンテープ・マハーナコーン」と読んでいます。
さて2001年に推奨されていたことが、なぜ今になって脚光を浴びたかというと、昨年2021年に、タイ王立アカデミーが世界各地の名称・表記などを見直す作業を行いました。どうやら10年に一度行われているようで、ここでは例えば、ミャンマーの首都がヤンゴンからネピドーに変更したなど、タイ語での表記や世界の変化への対応を正式に統一したのです。その作業の中で、バンコクの表記についても再確認があり、全体の変更とともに閣議で承認されたことのようです。それゆえ、何か大きな意図があっての変更とはいえません。流れのなかで、粛々と事務手続きを進めて行く中で、結果的にこうなった、というわけです。
「なーんだ」と思われるかもしれませんが、ネット社会ゆえ、誰かがこれを大きく取り上げ、事情のよくわからない人たちがそれを拡散させたことで、政府も驚く大騒ぎになったということが、どうやら今回の真相。
ただ政府報道官は、今回の閣議決定を受けて、これまでの「Kurung Thep Maha Nakhon: Bangkok」という表記を、「Krung Thep Maha Nakhon (Bangkok)」と修正すると発表しています。さらに、一般企業などが「Bangkok」と表記することを妨げる意図はない、という点も明確にしました。
どうやら、ネット民による空騒ぎ。
でもこういうこと、これからのネット情報時代では頻繁にみられることでしょうねぇ。振りまわされないように注意しなくては。
下の写真は、今回の決定について説明する内閣府のラチャダー副報道官です。
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