タイの「母の日」
8月12日。
プミポン前国王の王妃で、現在は「王太后(Her Majesty The Queen Mother)」と呼ばれているシリキット様の生誕日。祝日です。
シリキット王太后は、今日で89歳になられました。心より、お祝い申し上げます。
国内では、下のようなお祝いの看板が各所に設置されています。
ところでこの8月12日は、タイの「母の日」でもありす。
こういうところが、タイが王国であるとあらためて感じさせます。タイ王国=Kingdom of Thailandなんですね。ちなみに「父の日」は、12月5日。こちらは、プミポン前国王の生誕日です。
しかし、長くタイに住んでいますと、「父の日」「母の日」のお祝いが徐々に変化していることに気がつきます。
ひと言でいえば、お祝いムードが落ち着いてきた、ということでしょう。
前国王のシンボルカラーは黄色。王太后は青色です。
前国王がご在世中は、12月に入った途端、あるいは8月に入った途端、黄色、青色の旗や肖像画が各地で掲げられ、お祝いモードが高まったものです。肖像画の前で合掌しているタイ人の姿も、珍しくありませんでした。2015年には、王妃(当時)の誕生日を記念して、バンコク都内を始め、地方各地でも集団となって自転車で走る「Bike for MOM」というイベントまで行われています。
現在も、企業やショッピングセンター前には、王太后の肖像画が掲げられるのですが、最近は、道行く人がほんとど関心を払っていない様子です。コロナの影響もあるのかも知れませんけれど。
ひとつ、間違いなく変わったことがあります。
昨日8月11日も、バンコク都のディンデン三差路で反政府運動が行われました。警察車両が燃やされ、警官隊はゴム弾や催涙ガス弾を連射。幸い、死者や重症者は出ていないようですが、周辺の道路は封鎖され、市民の生活は大きな影響を受けました。
ほんの数年前、おそらくは3年前であれば、王族の祝日間際に反政府運動を行い、都市機能を混乱させることなどご法度でした。
かつて「赤シャツ」と呼ばれるタクシン派が大規模な反政府運動をしたときでも(2010年)、王族の居宅近くで集会を行うことは避け、また王族の祝日前後も、運動を控えたものです。それが暗黙の了解だったように思います。
しかしどうやら、10代、20代の若者は、王室の存在自体に対する考え方が、40代以上と異なるようす。まぁ我が家でも、タイ人妻と子どもたちでは王室への敬意がケタ違いに異なります。それでも、プミポン前国王には尊敬の念が篤かった妻であっても、最近は王室への関心が薄まってきているように感じます(とはいえ、前国王の次女、シリントーン王女への敬意はまだまだ篤そうです)。
これは時代の流れなのですから致し方ない。ましてや、タイ国民が選択すべきことです。
ただガイコク人として残念なことは、王太后へのお祝いが落ち着いてくることと同時に、「母の日」に対しても、意識がかなり薄れてしまっているような気がすることです。
やはり、「父の日」や「母の日」という家族にとって大切になる日は、政治絡みにせず、もっと普遍的な日にちに設定するべきなんだな…。これが私の結論です。
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