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早く、終わらせたい
昨日(3月7日)に記事にした、タイ有名女優の溺死。続報です。
バンコク都の真ん中を南北に縦断しているチャオプラヤー川で、スピードボートに乗っていたところを何らかの理由で川に転落。そのまま溺死した女優、テンモー(ニダー・パチャラウィーラポン)さん。転落の原因はまだわかりませんが、ボートに同乗していた4人は、テンモーさんがボート後部の端に座って用を足していたところ、誤って転落した、と説明しています。
一方タイのネット民のコメントは、ボートに同乗していた男性の体にひっかき傷が残っていたことから、薬物を飲ませてテンモーさんの意識を失わせ、乱暴しようとしたところ、まだ意識が残っていたテンモーさんに激しく抵抗され、もみ合ううちに彼女がボートから転落したのではないか、という推測が多いようです。
警察の捜査では、ボートに同乗していた4人(うち男性3人、残り1人はテンモーさんの女性マネージャー)に事情聴取を行い、その証言内容を照合しています。一方、客観的な証拠として、事故(?)が発生した時刻のスピードボートのGPS情報を確認し、記録されているボートの航路と速度が、4人の証言内容と矛盾していないかどうか、慎重に調べているようです。警察は、マスコミ相手に毎日ブリーフィングをしており、捜査の進捗状況はかなり詳しく報じられています。もちろん、すべてを説明しているわけではないのでしょうけれど…。
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そうした中、ひとつの動きがありました。
テンモーさんの母親パニダーさんが、「慰謝料1,000万バーツの支払いを条件に、同乗者たちと和解する用意がある」と発言したことです。
3,000万バーツというのは、日本円換算で1億円強。これについてはネットでも、「正義よりカネを求めるなんて、亡くなった娘に恥ずかしくないのか」といったコメントが見られますし、また一方で、ボートに同乗していた3人は、いわゆる富裕層に属している人たちですから、「もっと高額の慰謝料だって請求できる」というコメントもあります。
はて、母親のパニダーさんは、いったい何を考えてこんな申し出をしたのか…。
![](https://assets.st-note.com/img/1646709992294-hDNPq85Mi5.jpg)
パニダーさんは、和解の意思を表明した理由のひとつとして、「娘の冥福を祈ることに専念したい」といったものがありました。
こうした世間の注目を集める事故(?)では、被害者のプライバシーまで暴かれてしまいます。今回の件でも、「テンモーさんには麻薬依存に陥った過去がある」とか、「多額の借金があった」とか、さらには「借金返済のため、富裕層相手に特別な仕事もしていたようだ」と、読み手にヘンな勘繰りを呼び起こす報道まで出てきています。すべてが事実というわけではないのでしょうが、いずれにせよ、亡くなったテンモーさんの隠し事が次々と明るみにされたり、噂的に流布されることは、母親としてかなり辛いことは間違いないでしょう。
富裕層の3人は、パニダーさんとの仲介を、サムット・プラカーン県在住の有力政治家に依頼しているようだ、という報道もあがっています。相手の和解の求めを拒み、テンモーさんに関する真偽不明のさまざまな情報が流されるより、ここで和解をした方が、パニダーさんやテンモーさんにとっても、いいことなのかも知れません。「早く、終わらせたい」わけです。
警察は、スピードボートに同乗していた男性3人のうち、ボートのオーナーである1人を「無登録の船舶を運航させていたこと(このスピードボート、正式な登録手続きをしていなかったそうです=納税も避けられる)」、当時ボートを操縦していた別の1人を、「過失致死傷」の罪で起訴する意向です。こうした刑事訴訟は粛々と行われることでしょう。しかしこの罪状なら、執行猶予や罰金で済む可能性が高いです。それよりも、テンモーさんに薬物を飲ませていたり、暴行しようとしていたということなら…刑事罰はもっと大きくなるのですが、遺族である母親と彼らが和解することによって、警察はそこをハッキリさせるまでの捜査には踏み込まない、ということになるでしょう。
これでいいのか、よくないのか。
その判断は人それぞれなのでしょうが、テンモーさんの母親にとっては、ベストの選択肢であるのでしょう。タイらしいといえばタイらしい。ただ、テンモーさんの実兄は、母親の決断に異を唱えていますから、この件、もうひと波あるかも知れません。