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有名女優の溺死。閉幕へ。

どうやら、閉幕になりそうです。

タイの有名女優、テンモー(ニダー・パチャラウィーラポン)さん。2月24日、スピードボートに乗っていたところを何らかの理由で川に転落。そのまま溺死してしまいました。

ボートに乗っていたのは、テンモーさんと彼女のマネージャー(女性)、それに富裕層に属する男性3人の合計5人でした。

4人は、テンモーさんがボート後部で用を足そうとしていたところを誤って転落したと、警察に説明しています。しかし、航行中のスピードボートの後部にしゃがみこんで用を足すというのは、どうも不自然。他にも不自然なことが次々と発覚し、それがさまざまな憶測を呼び起こしました。

さらに、テンモーさんは薬物の常習歴があったとか、数千万円規模の借金があるとか、高額を支払えば特別なサービスを提供していたとか、亡くなったテンモーさんの名誉にかかわる真偽不明な情報も拡散して。そうした中、テンモーさんの母親が、富裕層3人のうち2人と慰謝料約1億円で和解すると発表。これにより、今回の不幸なできごとは収束していく方向となりました。※和解した富裕層は2人で、残りの1人については「誠実な姿勢をが感じられない」として、母親は和解を保留しています。但しこちらも、和解に向けて話し合いが進んでいるようです。

当初警察は、「テンモーさんが薬物を飲まされ、乱暴されそうになったのではないか」という推測も視野に捜査を進めていましたが、捜査指揮を執っている警察庁幹部の会見を受け、以下のように結論付けると見込まれています。

1.スピードボートを操縦していたパイブーン氏(まだ逮捕されていません)が、まだ操縦に不慣れだったことからボートが大きく傾き、ちょうど座席から立ち上がろうとしていたテンモーさんが、バランスを崩して川に転落した。

2.5人は何らかのアルコールを飲酒していたが、薬物の使用は認められない。

これにより、パイブーン氏は「過失致死」と「飲酒運転」の容疑により、また別の同乗者でスピードボート所有者のタムナット氏は、「無登録のボートを運航させた」との容疑により、それぞれ送検される見込みとなりました。ただ、テンモーさんは左の太ももに大きな裂傷を負っており(ボートのスクリューがあたった可能性が高い)、その点の鑑識結果が来週出る予定なので、実際の送検手続きはその結果を受けてからになるそうです。

2月24日の事故発生からすでに2週間。タイのメディアで連日大きく報道されていましたが、どうやらこの悲劇も、これで閉幕となりそうです。

ただ、この結論に至るまでに、ボートに同乗していた3人の親族、知人らが、有力政治家に働きかけてテンモーさんの母親との仲介役を求めた、という報道もあります。それゆえ、母親も和解に同意したのでしょうけれど、こういうかたちで警察が捜査を打ち切るというのも、何らかの働きかけがあったのでしょう。まったくタイらしい、といえます。同時に、そういう真偽不明の「噂」も、たちどころに報じられるところが、さらにタイらしい。日本だったら、「ウラを取れ」となるところでしょうけれど。

少なくてもテンモーさんにとっては、用を足そうとしていたのではなく、ボートが大きく傾いたため、バランスを崩して川に転落した、という結論に至った方が、彼女のイメージを守ることにつながります。でも、薬物を飲まされて乱暴されそうになったのだとしたら…。いやいや、そこを追求しようとすれば、テンモーさんのイメージを傷つける事実も、次々と明るみになってしまう心配があります。

より尊重すべきは、テンモーさんがボートから転落した真の理由なのか。あるいは彼女が生前培ってきたイメージなのか。

ケースバイケースなのでしょうけれど、今回については、後者を選択することになってよかったような気がします。亡くなったテンモーさんが、それを望んでいるかどうかは、わかりませんが。

下の写真はボートを操縦していたパイブーン氏(左から2人目)。3月2日に行われた現場検証で撮影されたものです。


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