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猫との生活に憧れていた話
猫への憧れ
幼い頃から身近に猫と暮らす人が少なく、遠い親戚や友人宅へ遊びに行っても見ず知らずの人間に怯えて隠れてしまってなかなか触れ合う機会がなかった。たまに野良猫を見つけては遠くから「こんにちは、かわいいね」と声を掛けたりしたけれどその程度で満足できる筈もなく、動物番組で保護猫のことを知っては涙し、猫カフェに行っては若干の猫アレルギーで鼻を啜りながら至近距離で写真を撮らせてもらったが想いは増すばかりだった。そんな私がうさぎと暮らし十年半、犬を迎えて二年半、ふたりの相性も良好で部屋も一つ余っているとなるともしかして猫ちゃんと暮らすことも可能…!?と考え始めた。
まず初めに、独身であること、先住犬がいることから保護猫の選択肢は難しくなる。それに加えて微量の猫アレルギーであり、第一に考えるべくはうさぎと犬の幸せであることから、なるべく抜け毛の少ない猫種の子且つ犬と暮らしているブリーダーさんを探すことにした。ハードルは上がるけれど、いつか我が家に来てくれるであろう猫も含めてみんなが幸せに暮らすために妥協はできなかった。
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スフィンクス(猫)
条件を踏まえて色々と調べた結果、スフィンクスという種類の子と暮らしたいと強く思うようになった。以前からその凛々しさや美しさ(あくまで個人の感想です)は知っていたものの、陽気で活発、そして人なつっこく社交的な気質の子が多く他の動物とも仲良くできそうなところに惹かれた。
それからは日々「みんなの子猫ブリーダー」というブリーダーさんのところで生まれた猫を掲載しているHPを眺めてはいつかお迎えする時のことを妄想していた。そんなある日の深夜、寝付けずにまたHPを眺めていると四匹の子猫が目に留まった。秋に生まれたその子たちはレッドとブラックの毛色が二匹ずつ、コピーして貼り付けたのかな?と思うくらいそっくりだった。特にブラックの毛色の子猫たちのあまりのコピペ具合に心をぎゅっと掴まれ、すぐにAmazonを開いて猫用ケージとその他一式をポチった。
翌日、改めてHPを確認してブリーダーさんの紹介を読むと、パグとトイプードルと暮らしていると書かれていた。これはもう運命だと思った。
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キミにきめた!
そっくりな二匹に暫し迷ったものの、縮こまるように映っている子猫をなんとなく選んだ。隅っこでちまっとしているタイプなので気が合うかなと考えていたのかも知れない。ブリーダーさんは岐阜県に猫舎を構えていて、「こうのとりセンター」という施設を経由してお迎えすることになった。
この施設は動物病院の近隣に位置しており、ブリーダーさんからこうのとりライナー(※HPより、スタッフの方が動物に負担をかけない方法で輸送されているとのことです)でこうのとりセンターまで移動し、前述した動物病院で健康チェックをして問題が無ければお迎えに行けることになっている。
施設への移動の前に、ブリーダーさんの提案でLINEのカメラ通話で子猫と顔合わせをしてくれることになった。契約について説明して頂いた後、ブリーダーさん自身も「多分こっちの子かなってくらい二匹ともそっくりなんですよ」と笑いながら子猫を見せてくれた。か細く鳴きながらも元気いっぱいによちよちと歩を進めるその子に「かわいいねぇ、犬とうさぎのいる賑やかなところだけれど良かったら一緒に暮らしたいんだ」と伝えた。「みゃ、」と小さくお返事してくれた。
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やっと触れ合えた日
12月になって、こうのとりセンターに出発したことと無事に到着して健康チェックを終えた旨の連絡が届いた。いよいよ私のかわいい子猫ちゃんに会える!と熱き血潮が激しく燃えたそのままの勢いで有給休暇を取得した。
二階建ての猫用ケージもキャットタワーも準備は万端で、きっと無毛で寒がりだろうと想像して温かい洋服も買った。5Sサイズのそれは赤ちゃんのチワワが着るのかな?というくらい小さくて、命の尊さを実感した。
いよいよ当日、バスでこうのとりセンターへ向かう。リュック型のペットキャリーにはふわふわのタオルと毛布を詰めて、家中のエアコンの温度を高めに設定しておいた。ドキドキしてBPM128くらいありそうな心臓の音を悟られまいと冷静を装って呼び鈴を鳴らす。朗らかそうなスタッフのお姉さんから低めのソファーへ案内されてすぐに「早速連れてきますね」と伝えられ、柔らかく体温の高い子猫が膝の上に降臨なされた。初めて抱く子猫はとても小さくて、「ごめんね、でも風邪引いちゃうといけないから、ごめんね」と呟きながらお姉さんに手伝ってもらって持参した洋服を着せ、タオルで包んだ。
子猫を迎えるにあたっての説明や、成長過程での注意点等を丁寧に教えてもらっている間、人間によじ上ったりすり寄ったり、ついにはうとうとし始めたので「飼い主さんと初めて会ったと思えないくらいなついてますね」と言ってもらって「そうですかね~」と謙遜しつつにんまりしたのを覚えている。
手続きが終わると最後に一人と一匹のチェキを撮って、一枚をプレゼントしてくれた。もう一枚のチェキに名前を書いて掲示板に貼るらしく、「お名前は決まっていますか?」と聞かれたので元気よく「シャフリヤールです!」と満面の笑みで答えた。ペルシャ語で偉大な王の意味を表すその名前は、国内と海外の芝を駆け回る名馬から拝借した。今週の有馬記念期待してるぞ…!
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ようこそ我が家へ
子猫の体が冷えない内になんとか帰宅し、寝室に用意した猫用ケージに移した。ケージの中を探検して少し落ち着いてきたのを見計らって、ブリーダーさんのところでも食べてたフードを人肌くらいのお湯でふやかして与えるとぺろりと平らげてしまった。そしてペットベッドと毛布に蹲るとうとうとし始めたので、よく食べよく眠る肝の据わったいい子が来てくれたと少し安堵した。就寝前に少しだけ犬と顔を合わせると毛を逆立てていそうな姿勢をして「シャー!」と鳴くのを見られたが、後にも先にも威嚇する姿を見たのは今のところこの日だけである。
暫くは朝と夕方に一回ずつ子猫に寝室を大冒険してもらった。嫌がらないようだったら犬も同席してもらおうと思ったが、二日目からはお互いの臭いを嗅ぎあったり、追い掛けっこをしたりと楽しそうだったので見守ることにした。この時に犬に対して「だめだよ!急に近づいたら驚いちゃうからね」や「おいで、一回ふたりとも落ち着こうね」と話しかけていたからか、気付けばだめと言えば手を止め、おいでと言えば「にゃーん」と鳴きながら来てくれるようになった。天才か。
そして予防接種も去勢手術も、毎月の健康チェックも問題なく進み、すくすくと成長したまだ暑さの残る秋の某日、無事に一才のお誕生日を迎えた。
憧れていた猫との暮らしは、事前に調べていたことや想像していたこととは異なる掛け替えのない経験を日々更新している。右も左もわからないうちから遠路はるばる我が家へ来てくれた猫に、初めて触れ合う他の生き物を快く迎え入れてくれたうさぎと犬に感謝しながら、これからも仲良く楽しく健やかに暮らしていきたいと思う。いまは大切な君たちとの生活に恋い焦がれているよ。一秒も離れたくない激重感情をどうしてくれるんだい。
最後にあの日、縮こまったように写る君を見てコミュ障陰キャな飼い主に似てるかもと考えてしまったことを訂正しなければならない。とんでもないコミュ力おばけの陽キャ猫に育ったね!
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