見出し画像

【チャンピオンズカップファイナル シーズン2 ラウンド3】バード・レジェンズ調整録【3-4】

チャンピオン・カップ・ファイナルズで筆者の使用した「バード・レジェンズ」は、これまで握ってきた中で最も機嫌の良いデッキです。


吟遊詩人をテーマにした赤緑のエンチャント、《バード・クラス/Bard Class》が初手にある嬉しさは他のフォーマットのどのデッキとも比べられませんし、このエンチャントのレベルを上げると手札は無重力状態に突入して盤面を自在に作り上げることができ、遠い国から来た音楽好きのゆかいな伝説たちがこのエンチャントのもとに集まってきてくれます。


わーい!

戦場に1枚しか存在することのできないデメリット「伝説」を持つかわりに、彼らはそれぞれ個性的な能力を持っていて、それぞれの効果を上手に組み合わせると、驚くような盤面を作り出すことができます。

速攻持ちのマナクリーチャーです!


手札にバード・クラスがある時は結構ゲームに勝つことができますし、バード・クラスがない無音状態のときに小さな伝説たちが頑張って戦っている姿もなかなか可愛らしいです。

そしてこのデッキの最も素晴らしいところは、レベル3をほぼ負ける寸前で起動し、手札の伝説たちを展開することによって、自分のプレイングでは絶対にたどり着けなかったであろう勝利に、「連れて行ってくれる」感覚がある所です。良くも悪くもそこに自分のプレイングはほとんどなく、無重力状態でみんなが集まってくるのを見ているだけであなたは勝利することができます。筆者はいつだって、環境を作って何が起きるのかを見ているのがとても好きですし、目の前の対戦相手を自分の力で倒している、というよりも、伝説たちが勝手に倒してくれる感覚があるところがとても気に入っています。

勝利するのに必要なマナ数が少ないため、赤と緑の一見大雑把な色の組み合わせを持ったこのデッキは、意外と器用に、厳しい関門を乗り越えることができます。筆者はデッキを組んだりカードを入れ替えているようで、実のところは大したことをしていません。その場に合わせて一番都合のいい伝説のパーマネントを選んでいるだけです。もしかしたら筆者は、運良くいい時期に素晴らしいデッキを握ることができたのかもしれません。

オオシマレジェンズ | バードレジェンズ | パイオニア | デッキ構築機能 (hareruyamtg.com)

しかし、チャンピオンズ・カップ・ファイナル(以下CCF)での環境は、彼らにとって居心地のいい環境ではなく、むしろどちらかというと本来不利なはずのデッキばかりでした。しかし彼らは、CCFの柵の中に至るまで、なんだかんだやっぱり器用に立ち振る舞い、独自の方法で多くのデッキを倒していきました。いったいどのようにして彼らはこの過酷なパイオニア環境を生き延びることができたのか、最も近くでこのデッキの成長を見ることが出来た筆者の記録として、今回のnoteを記述します。



アゾリウス・コントロールへの対策

2マナのエンチャントさえ定着すればなんでも勝てて、ぶん回って勝てる!というバード・レジェンズの戦術には、致命的な弱点が存在しています。


クラス・エンチャント共通の弱点

戦場に出ればクリーチャーのサイズ、テンポ,アドバンテージの全てを担保してくれるデッキの根幹となるエンチャント《バード・クラス》ですが、2ターン目にレベルを上げてその力を解放していく戦術を取る場合、インスタント・タイミングでエンチャントを簡単に取れるデッキに対して弱くなってしまいます。


失せます

そして、古来よりマジックで最も簡単に置物を取ることができるデッキと言えば、青白コントロールです。

年々強くなる

彼らは、1枚から4枚のアドバンテージを生み出す《記憶の氾濫/Memory Deluge》を軸に、あらゆるパーマネントや呪文に対する回答をデッキに満載し、序盤に置いた土地や、突破できなくなった放浪皇などでゲームを畳んでいきます。この戦術に対して、エンチャントが取られづらい事、軽いコストで多くのクリーチャーを並べられることを強みとし、盤面で戦おうとする赤緑のバード・レジェンズは構造上の不利を強いられています。

大事なエンチャントをたやすく破壊し、《至高の評決/Supreme Verdict》でクリーチャーたちをまとめて流してしまう強敵。森の仲間たちはいつも、青白コントロールに対する明快な回答を探していました。筆者は,歴史上最高品質の全体除去《太陽降下/Sunfall》から《運命の神、クローティス/Klothys, God of Destiny》をいかに守るか、を繰り返しnoteに記しています。これは、バード・レジェンズにとって青白コントロールというデッキがいかに脅威であるかをはっきりと示しています。

しかし、森の仲間たちだって青白コントロールにやられてばかりではたまりません。なんだかんだ筆者も、青白コントロールをアリーナで回して研究したりはしています。しかし青白コントロールは自分で回すとなかなかカードが手に入らず難しい。やっぱりうまい人は違います。というか、青白側のハンドはカウンターばかりだったり除去ばかりだったりするので、相手が序盤に2アクション取ってくるだけで結構苦しい展開を強いられます。

そして、ある日突然、予想だにしないところから回答となる1枚が現れます。

遡る事2か月前、アリーナでバード・レジェンズ界の名手、fenu氏のエリア予選に向けた調整に青白コントロールを使って付き合っていた筆者は、黒が出る《花盛りの湿地/Blooming Marsh》に違和感を覚えながらも2マナカウンターで《バード・クラス/Bard Class》や《運命の神、クローティス/Klothys, God of Destiny》をなんとか捌いて、えっちらおっちら流れを引き寄せていきます。《サメ台風/Shark Typhoon》で流れを引き寄せ、そしてついに、ずっとマナが貯まらず腐っていた待望の《告別/Farewell》をキャスト。


こういうのがないともうやってられません。


相手の手札は3枚あるものの、結構いい感じに回って、ライフこそあんまりないもののあとは《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》を定着させて畳むだけ…というところで、fenu氏は青白コントロールに対する回答を筆者に叩きつけます。


《敵対するもの、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis, the Adversary》。

「青白コントロールを虐めること」を趣味とするHom氏による考案。

2体出てくるプレインズウォーカー。スタンダード当時は、発売後に評価が下がってしまった1枚でした。《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》様と同じです。

コピーが出て2体になるプレインズウォーカーなんて強いに決まってるじゃん!と思いきや、スタンダード当時はクリーチャーを使わないデッキが少なかったので、とにかく劣勢時の弱さが目立っていました。1/1のトークンは自身を守るのにギリギリスペックが足りず、プラス能力は一応選択肢を与えるため同時期に存在した《ヴェールのリリアナ/Liliana of the Veil》と比べて強制力が低く、相手のライフに余裕がある場合はアドバンテージもたらすことができません。結局、除去がついていないPWは、出たターンには何もしないという評価を下されてしまうもの。


先制攻撃はダメだろ…

しかしこのカードは近年、二つの理由によってその評価を上げています。一つはモダン環境における《オセロットの群れ/Ocelot Pride》をコピーして大量の《敵対するもの、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis, the Adversary》で攻めるデッキが開発されたため。もう片方の理由は、パイオニア環境でコントロール戦術を破壊する性能が正当に評価されたためです。


クリーチャーをあまり出してこないコントロールデッキを相手にしたとき、彼はサディスティックな本性を露にします。
クリーチャーを犠牲にして唱えられた場合、このカードに回答するのには2枚のカウンターを必要とするうえ、打ち消せないと「カード1枚を捨てない限り2点のライフを失う」が1ターンに2度襲い掛かってくることになります。序盤はカードアドバンテージを失いたくないのでライフを捨てることになるのですが、5ターン以内に2体の《敵対するもの、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis, the Adversary》に対する回答を用意しないと、出されている側はいずれ手札を捨てはじめ、マナが止まって窒息することになります。手札とマナを同時に奪い去る、コントロール・デッキの戦術の多くを否定する1枚なので、彼を落とさないと、青白側の勝利はありえません。しかし、このカードはあまりにも硬いです。クリーチャー1体を犠牲にするとはいえ、初期忠誠度は2体分、3+1から3の合計6くらいあり、忠誠度は2ずつ上がります。しかも3マナ。赤黒のオーコと言っても良い強さを持っています。

プレインズウォーカーには…当たらないねえ…



もうライフなんて払えないよ~~~~~

当然、アリーナで勝利目前に《敵対するもの、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis, the Adversary》を出されてしまった筆者は憤死。唱えられてまず驚きのあまり目玉が飛び出て、コピーがスタックに乗った瞬間にもう一つも飛び出てしまって、目の前が真っ暗になりました。

本体の強さもさることながら、「《敵対するもの、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis, the Adversary》を定着させる」という戦術はバード・レジェンズが取りたい戦術と悪魔的にかみ合っています。コントロール側は、彼が着地した直後、《バード・クラス/Bard Class》に対して撃った《失せろ/Get Lost》をすぐに後悔するはず。相手からしてみれば明らかに、単体で何もしない《バード・クラス/Bard Class》よりもPWの方が脅威です。彼を落とすために起動したミシュランはふんだんに詰め込まれた《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》によって落とし、《冥途灯りの行進/March of Otherworldly Light》は肝心の彼に当たらず、盤面はしっかりと固められているので、PWが定着しているのに全体除去を撃たなければいけない状況に相手を追い込むことができます。
また、赤緑デッキの構成は犠牲で出さないと弱い、盤面劣勢時に出すと弱いというオブニクシリスの弱点をしっかりとカバーしており、なんなら赤黒で使うよりも赤緑で使ったほうが強く感じるレベルです。完璧。


犠牲にされるのが存在意義。そんな人生もある。

アホの子たちの集まりに突如4枚投入されたデーモン。未体験の赤黒のプレインズウォーカーの圧倒的な強さは脳を焼かれるレベルです。モックス・アンバーから1マナ伝説クリーチャーを絡めて、2ターン目に犠牲で《敵対するもの、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis, the Adversary》キャストも視野に入ります。《勇敢な追跡者、ルビー/Ruby, Daring Tracker》ちゃんが頭を垂れた瞬間に地面から槍が突き出し、やれやれとばかりに降臨するデーモンのかっこよさに、筆者はすっかり夢中になってしまいました。


《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City》される確率は異常。

特にシナジーはないものの、1枚で勝てるなら入れたほうがいいのは《自由なる者ルーリク・サー/Ruric Thar, the Unbowed》が実証済みです。サイドボードにこのカードを4枚投入した後、しんどいゲームになりそうだったコントロール・マッチは、早くオブニクシリスを叩きつけたすぎてなるべくなら積極的に当たりたいマッチに変わることになります。マジックの有利不利を決定づけるのに、気の持ちようは非常に重要です。

さらに私たちはエリア予選直前、《反逆のるつぼ、霜剣山/Sokenzan, Crucible of Defiance》を1マナで起動できることと、《ナクタムンの侍臣、サムト/Samut, Vizier of Naktamun》《終わりなき踊りのガリア/Gallia of the Endless Dance》のシナジーに着目し、筆者が考案した「重くて強いカードが入っているため《バード・クラス/Bard Class》なしでも戦える構築」から、「大量のドローを重ねてむりやり《バード・クラス/Bard Class》を引きに行く」、という戦略にシフト。


「起動したとき」なのでスタック除去は効かない

なおかつ、《血管切り裂き魔/Vein Ripper》を〇す方法として、2枚目の《ボーラスの壊乱者、ドムリ/Domri, Anarch of Bolas》、《免れ得ぬ破滅、ルーカ/Lukka, Bound to Ruin》の加入。《免れ得ぬ破滅、ルーカ/Lukka, Bound to Ruin》は重いかな…と思っていたのですが、起動スタックであわてて最大パワーの生物を除去したとしても、ルーカの[‐4]は格闘と違い、起動時にダメージが確定しているため、優先権を渡さずにクリーチャーを一掃できるところがめちゃめちゃ強いと判明。

早くコントロールに当たって、《敵対するもの、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis, the Adversary》を叩きつけたい…邪悪な笑顔になりたい一心で、ミシック帯を巡回するものの、当たるのは吸血鬼がたくさん。これらを無理やり引いた吸血鬼殺しパーツで粉砕。ラクドス吸血鬼はこちらの提示する最大の脅威である《バード・クラス/Bard Class》を取ることができず、一度このエンチャントが定着したら最後、もうゲームにならなくなってしまいます。結局、その晩は衝撃の勝率100%を記録。全く新しい構築の誕生を間近で見た筆者は、結局その夜眠ることができませんでした。

結局fenu氏は当たり運が悪く次の日のエリア予選こそ一歩及ばずだったものの、悪魔の囁きは私たち耳にこびりついて離れません。バード・レジェンズの骨子を強力に保ったまま、オブ・ニクシリスを活用してコントロールを粉砕する、という戦術の持つ可能性をいかにしてブラッシュアップするかに村の未来はかかっています。とはいえ4枚入れるとコントロールに当たらなかった時にがっかりしてしまうので、3枚が落とし所です。


どうしても唱えたい


リボ払い

この構築の敗因として筆者が考えたのが、黒が出る色マナを安定させるために投入された《マナの合流点/Mana Confluence》によるスリップダメージ。色マナが厳しいこのデッキにおいても、ダメランですら忌避している筆者としては、2~4枚の《マナの合流点/Mana Confluence》の採用をどうしても看過できませんでした。《敵対するもの、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis, the Adversary》を出せる上に、なるべく土地から受けるダメージが少なくなるように再構築したいところ。

適切なマナベースを考えるのにはいつだって、晴れる屋のマナベース表が参考になります。これは土地各々についている色マナの個数をカウントし、ショックランドや基本土地などを含めて14マナ分デッキにあれば初手にくるだろう、というわけで、非常に見やすく、ためになる優良記事。この表がクラシックであり、多くのプレイヤーの指針になっているのは間違いありません。

ですが、この記事が2013年に描かれたものである、と言うのは留意すべき事実です。このマナベースカウントはあくまでもこの色が出る土地を「引ける」と言うところに着目した表であり、タップインの土地ばかりであった場合3ターン目に3マナ出すことはできないばかりか、それまでの道中でも大きなテンポロスを強いられることになります。

当時はファストランドやスローランドはおろか、フリップランド、《ミレックス/Mirrex》などの条件付きで色マナが出る土地などは存在しませんでした。この記事で念頭に置かれているのはフェッチランドとショックランドです。フェッチランドは特に、一枚ハンドにあれば最も都合のいい色マナを持ってくることができるので、この記事のマナベース表でのカウントを大幅に水増しすることができるマジック最強の土地です。パイオニア制定当初、このフェッチランドだけは禁止された状態でスタートしているという点からも、現代におけるマナベースの要求水準は、この当時よりはるかに厳しいことは明らかです。

マジックはゲームに新たな概念を持ち込み続けています。この10年間で生み出された「一時的に望んだ色マナが出る」マナベースは、このマナベース表という聖典に従った信者たちにとって大きな落とし穴を作っています。例えばフリップランドを2色出る土地として2色分カウントしてしまうと、どちらか逆の面で置いてしまった場合、この表通りにデッキを組んだのにもかかわらず色マナが足りなくなる、と言う自体が起こります。

引いた時は二色カウントだが、置いた後は一色。

うまく基本土地の後に引ければ強力な、ダスクモーンの境界ランドやチェックランドも、そればかり引いてしまうとひどい事故に陥ってしまうという点は、ショックランドやフェッチランドとの明白な差異です。現代マジックにおいては、この記事で言及されている「引いてこれる土地の総量」「搭載されている色マナの個数」という横の概念と別に土地の種類に関する縦の概念もよくよく考慮する必要があります。

このマナベース・カウントが登場した当時存在しなかった土地の中でも特にプレイアブルで使いやすいのが、タイム・スタンプが存在するファストランドやスロー・ランドです。これらは、何枚めに出た土地なのかによってタップイン,アンタップインの性質を変化させます。ビートダウン・デッキにおいてはファストランドが人気で、スローランドはコントロールにおいて人気なようです。

3枚しかうまく使えないのに、本当に4枚必要なのか?

しかし、ファスト・ランドに関しては、筆者は現状少し過大評価気味だと考えています。現代パイオニアは3ターン目、そしてそれ以降にどれだけ強いアクションができるかにかかっています。多くの場合、セットランドにおいて最優先したいのは、《バグベアの居住地/Den of the Bugbear》等の2ターン目以内に置きたい土地や確定タップインランドの消化であり、3枚目以降のファストランドは引いてしまうとデッキの中で最も弱いカードになってしまいます。バード・レジェンズにおいて必要になるのは言わずと知れた2ターン目に(赤)(緑)が出せること、そして次点で、ライフが詰まってしまったゲーム中盤から後半、バード・クラスを第3ステージにクラッチする際にノンデメリットで置ける縦置きの5マナ目です。この点で、ダメランとスローランドは評価を上げます。


後半はほとんどデメリットが気にならない


筆者は,ペインランドやマナの合流点のライフペイをいつか絶対忘れると思うので、ダメランに関しては評価を下げざるを得ません。置いた土地がダメラン×2になってしまうとレベルアップまでに合計で4点喰らうことになります。序盤に払うライフは一見気になりませんが、ゲームをリプレイしていると、これはアグロとのマッチアップでかなり致命的な点数だと気づきます。さらに、《バード・クラス/Bard Class》を置けなかったり破壊されてしまった場合に、このデッキは毎ターン(赤)(緑)が必要になります。せっかくゲームを始めたのに、大好きなエンチャントも置けないし、土地まで自分の首を絞めてくるのは得策ではなさそうです。

その点、スローランドは2ターン目タップインになってしまうことしか弱点がなく、それ以降のターンに置くことにはまったくデメリットがありません。1ターン目タップインは比較的許容できるし、土地がスローランド1枚しかない場合まずキープすることはないので、筆者は、2枚程度の採用であればスローランドはビートダウンデッキにおいてもなかなか強力だと考えています。


今のうちだぞ!遅いと得!

2ターン目にバード・クラスを置きたい=絶対に2ターン目に赤・緑を用意したい、という厳しいマナベースに加えて、せっかくだから魂力ランドも欲張りたい。赤と緑のマナは15枚くらい欲しいし黒マナも3ターン目に欲しい…ゆえに、MTGアリーナでの調整中は《マナの合流点/Mana Confluence》含む7枚の黒マナが準備されていました。しかし筆者は《マ〇の合流点/Mana Confluence》を絶対に構築で使いたくありません。筆者の元カノは静岡で彼氏を作ってしまって去ってしまいました。静岡が《マ〇の合流点/Mana Confluence》であることに議論の余地はありません。静岡で行われるCCFに《マ〇の合流点/Mana Confluence》が入ったデッキで臨むなんてもってのほかです。


ライフを1点支払う:

でも、わがままを叶えるためにはどうしても、マナの合流点が必要になるよね…というわけ。魂力ランドやミシュラランドをしぶしぶ削って…とごちゃごちゃ考えているところで、hom氏はバード・レジェンズが誇る最強ドローソース《ニッサの誓い/Oath of Nissa》の、今日に至るまで無視されていた下の文章の存在を指摘しました。

ニッサの誓いが戦場に出たとき、あなたのライブラリーの一番上から3枚のカードを見る。あなたはその中からクリーチャー・カード1枚か土地カード1枚かプレインズウォーカー・カード1枚を公開してもよい。そうしたなら、それをあなたの手札に加える。残りをあなたのライブラリーの一番下に望む順番で置く。
あなたは、プレインズウォーカー呪文を唱えるために、任意のマナを望む色のマナであるかのように支払ってもよい。

《ニッサの誓い/Oath of Nissa》

あなたは、プレインズウォーカー呪文を唱えるために、任意のマナを望む色のマナであるかのように支払ってもよい。

あなたは、プレインズウォーカー呪文を唱えるために、任意のマナを望む色のマナであるかのように支払ってもよい!?????????

ニク バード | パイオニア | デッキ構築機能 (hareruyamtg.com)


そうなの!???


《ニッサの誓い》は将来にも問題のある戦略を悪化させる可能性があります。またこのカードは、大量の3マナプレインズウォーカーを活用する戦略の安定性に、好ましくないプレイパターンを作り出せる方法で大きく貢献しています。これらの理由により、我々は《ニッサの誓い》がないほうが、パイオニアがより楽しく多様性のあるフォーマットになると信じています。

2019年11月4日 パイオニア禁止告知

このデッキで唯一の禁止経験カードであり、当時のスタンダードを支配し、序盤のパイオニアを台無しにしていた《ニッサの誓い/Oath of Nissa》はバード・レジェンズにとって「緑の《思案/Ponder》」である以上に、「ぼくの考えた《表現の反復/Expressive Iteration》」であり、「0マナの《記憶の氾濫/Memory Deluge》フラッシュバック」であり、既にバード・レジェンズの心臓部です。しかし、このデッキにおいてはこれまで下の文章にスポットが当たったことはありませんでした。


これをタッチで採用するところに、当時の牧歌性が伺える。

ですが、この下の文章は《ニッサの誓い/Oath of Nissa》のダークサイドです。《サヒーリ・ライ/Saheeli Rai》や《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》《最後の望み、リリアナ/Liliana, the Last Hope》等の大量の3マナプレインズウォーカーを連打する戦略を成立させ、パイオニアに不健全な戦略を持ち込んでいましたし、スタンダードでも、グランプリマンチェスター16では、緑白トークンデッキメインデッキから2枚投入された《炎呼び、チャンドラ/Chandra, Flamecaller》に対する赤マナの支払いをこれのみに頼った緑白トークンが優勝したこともありました。


強そうな伝説を見たら、《ニッサの誓い/Oath of Nissa》の禁止を覚悟するようにしています

ウィザーズの恐ろしい予言は当たってしまいました。この子は「緑の《思案/Ponder》」であり、《アーカムの天測儀/Arcum's Astrolabe》であり、コンパクト・サイズの《ギルドパクトの力線/Leyline of the Guildpact》、それら全てです。こんな凄まじい構築が世に出てしまったら最後、《ニッサの誓い/Oath of Nissa》が禁止されてしまうかもしれません。極端な話、サイドから投入するプレインズウォーカーは《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》でも、今はだめだけど《傲慢な血王、ソリン/Sorin, Imperious Bloodlord》でもいいんです。

《ニッサの誓い/Oath of Nissa》によって、実質黒マナ4カウント、7枚必要とされた黒マナの枠を3枚まで減らすことに成功します。これにより従来通り魂力ランドを大量に採用しながら赤と緑を安定して捻出し、最低限のライㇷペイで運用できる安定したマナベースを実現。これは「引く」ことに主軸を置いた先述のマナベース表とも噛み合う構築であり、ニッサの誓いがあれば、正直マナベースに対してごちゃごちゃ言った文章なんて関係ないです。インクの染みだったのは、筆者の文章の方かもしれません。

やはり、紙やMOでプレイした時のバード・レジェンズはアリーナに比べて《バード・クラス/Bard Class》後の安定感に大きな差があります。《ニッサの誓い/Oath of Nissa》の追加は大きく、安定して強力な盤面を作り、地上が通りづらい盤面を容易く作ることができる上、色マナを無視して強力なプレインズウォーカーを投入するという離れ業だってできてしまいます。
つまりこれは、アリーナ上では不利だが紙では比較的有利に戦える相手がたくさんいるということを意味しています。森の仲間たちは、コントロールデッキに対する信頼できる回答を手にしました。

ブルームバロウ期のバード・レジェンズ

時は流れて、9月のはじめ、まだ過酷な夏の暑さだったころの話。発表当初,赤緑のハイドロイド混成体と呼び筆者が絶賛したブルームバロウにたった1体の孤独なアナグマ,《忌まわしい守護獣、ハグス/Hugs, Grisly Guardian》がデッキから戦力外通告となりました。


笑える逸話も少しある

最初に言っておくと、ハグスは決して弱いカードではありません。ハグスを出した快感は私たちの脳をバグらせます。一度戦場に出せば、巨大なクロックと次のターン以降のカードアドバンテージを同時に手にすることができ、レベル3の途中で余計にめくって追加土地セットも偉すぎます。大量のカードを獲得してくれるマッチアップも少なくなく、特に吸血鬼のような基本的にはあまりカードが増えないデッキに対して徹底的なアドバンテージ差をつけることができるカードとして大活躍。上手く使えば確実に勝てる,という1枚ではありました。ですが、それはハグスをマナフラッド時に引けたときに限った話。

強いカードを入れればデッキが強くなるかどうかというのは別問題です。明らかに,デッキはハグスの代償として《湧き出る源、ジェガンサ/Jegantha, the Wellspring》を失ったことによってフラッドに対する安定した受けを失いました。どうやらハグスを抜き、ジェガンサを戻した方が、デッキ全体で見ると強そうです。ハグスがいくら強いとはいえ、ドローしてこないとその強さは発揮できません。ジェガンサは強さはハグスほどではないとはいえ、土地セット、ゴーを繰り返すよりはだいぶましだったと言えるでしょう。


みんな大好き!

多くの場合はハグスからハグスをめくってきたり、そもそもハグスを引けなかったりして、ジェガンサのようにマナフラッド時にとりあえず回収して出すという使い方はなかなか困難でした。筆者はパイオニアにおける往年の名カード《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》や《スフィンクスの啓示/Sphinx's Revelation》になるのではないか、と絶賛していましたが、そもそも、《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》や《スフィンクスの啓示/Sphinx's Revelation》もパイオニアで使えるカードであるにもかかわらず、環境でほとんど使われていないことからも、別にこのカードがそこまで強くないことは明らかだったのかもしれません。また、「カードを引ける」この2枚と違って、ハグスから2枚目のハグスに連鎖しても、衝動ドローなので見えているし戦場に1枚しか存在することのできないデメリット「伝説」がついているのであまり強くないという点は盲点でした。


統率者では楽しいらしい

《ボーラスの壊乱者、ドムリ/Domri, Anarch of Bolas》、《免れ得ぬ破滅、ルーカ/Lukka, Bound to Ruin》の2枚のPWはハグス以降明らかに評価が上昇していました。通常クリーチャーは出た後に除去で処理した方が相手にとっては楽なので,ドムリの打ち消されないというテキストが生かされるポイントは限られています。しかし、莫大なマナを注いで巨大なハグスを唱えれば、マナ差につながり、マナ差は直接勝利につながります。また使いどころが少なかったルーカのプラスも完全に活路を見出していましたが、ハグスの不採用によってここもまたカットされることに。



打ち消せない《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》が爆誕!
ハグスと重ねるとちょっと得!

さらに、このカードの最大のライバル、《湧き出る源、ジェガンサ/Jegantha, the Wellspring》が環境にジェガンサを使うデッキが増えたことによって、非常に使いやすくなったことも、彼にとっては向かい風です。こちらのジェガンサは相手のジェガンサよりちょっとだけ大きいし、ちょっとだけ軽いです。強いダブルシンボルのカードが1、2種類であれば、おそらくたいていの場合ジェガンサを入れたほうがトータルでデッキが良くなります。結果的に、軽快なジェガンサを一時的には選ぶことになりましたが、すぐにまたハグスの出番はやってくると信じています。

しかし「ブルームバロウ」で仲間が全く追加されなかったわけではありません。実はもう一枚の伝説のクリーチャーが追加されていました。バードレジェンズ真の強化パーツ、それが《ゴミの策略家、ムエラ/Muerra, Trash Tactician》です。

期待の新人


あなたの第1メイン・フェイズの開始時に、あなたがコントロールしているアライグマ1体につき{Red}か{Green}を加える。
あなたが積算4を達成するたび、3点のライフを得る。

あなたが積算8を達成するたび、あなたのライブラリーの一番上にあるカード2枚を追放する。次のあなたのターンの終了時まで、それらのカードをプレイしてもよい。

発表当初、愚かな私たちは「ブルームバロウ」の強さを甘く見ていました。戦場にいる間、メインフェイズ開始時に安定してマナを供給してくれるアライグマは、彼女が戦場にいる間に4マナを呪文を唱えるために支払うと3点ライフをゲインさせてくれて、なおかつ8マナ支払っちゃった日には衝動ドローまでさせてくれちゃいます!

3点ゲイン。マナを加える。そして、カードアドバンテージの獲得。私たちは、この3つの効果が組み合わせられた、最強の1枚のクリーチャーをよく知っています。

暴力

《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》。ゲームの安定した中間地点にして終着地点。ライフを繋げるのみならず、圧倒的なライフゲインで何度も相手に殴りかかるこの1枚は当時、ほとんどのアグロデッキを死滅させ、シミックカラーの隆盛を決定づけました。そのカードパワーはスタンダード、パイオニア、モダンの複数のフォーマットにわたって禁止されているほどであり、このカードの強さに異論を唱える者はMTGをやったことがないと言っても過言ではありません。

禁止も目前。

彼女もまた、アグロをしっかりと受け止めるセクシーな2/4のスタッツ、ウーロと完全に一致する3点ゲイン、さらに、いつか訪れかもしれないアドバンテージの獲得というウーロとまったく同じ3つの性質を兼ね揃えています。そして,ウーロとムエラは共に3マナのクリーチャーであるという、この符号。さらに、ランプの終着地点としてこのカードを唱えたとしても、このカードを唱えたターンに最終局面で8マナ用意できるのであれば、絶望的な2枚の衝動ドローをかますことができます。これがウーロでなくてなにがウーロだと言うのでしょうか。《ゴミの策略家、ムエラ/Muerra, Trash Tactician》こそが私たちに与えられた、真の禁止級パワーカードなのかもしれません。ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは、いつだって私たちにしっかりと回答を用意してくれています。

さて、吸血鬼・探検の二大デッキが禁止された現環境でトップメタの座をほしいままにしているのはラクドス・アグロです。


早さを象徴するイラスト

彼らは3ターン目に果敢やコンバット・トリック、《無感情の売剣/Callous Sell-Sword》による投げ飛ばしでゲームを終えようとします。早いデッキに対しては、強力なブロッカーとライフゲインを用意するのが手っ取り早いです。《ゴミの策略家、ムエラ/Muerra, Trash Tactician》はそれら全てを兼ね揃えており、まさにこの環境に完全にフィットした1枚だと断言できます。一切のためらいはありません。


ハグスが赤緑のハイドロイド混成体なのは間違いありません。ですが、あの当時、青緑デッキの根幹を担っていたのは、《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrathです。ウーロとハイドロイドだったらウーロの方が強力なのはその採用実績が雄弁に語っているところ。

しかし、筆者はこのカードを、バードレジェンズと噛み合っておらず、非常に弱いと評価していました。なぜでしょうか。それは、呪文を払うために払ったマナの数を参照する「積算」メカニズムと、どうにかしてマナを払わずに呪文を唱えようとするバード・クラスというギミックの噛み合いの悪さによるものでした。

確かに、《バード・クラス/Bard Class》レベル2下で手札のスペルを全て唱えたと仮定しても、3T目にはどう頑張っても3マナ以上を出すのは難しいので、出したターンに積算4を達成するのはとても困難に思えます。ですが、それはあくまでバード・クラスが出ている状況に限った話。

もし《バード・クラス/Bard Class》が出ていなかった場合に彼女は場繋ぎの3点ゲインを供給してくれる上、軽いマナコストで彼女を唱えられている時はそもそも有利な展開になっているので特に問題はありません。

さらに私たちは、再び《湧き出る源、ジェガンサ/Jegantha, the Wellspring》という相棒を手に入れていることを忘れてはいけません。

6/6.そしてマナの追加。

バードクラス下ムエラとジェガンサがいれば6/6の生物と、3点ゲインが同時に達成されます。これこそがラクドス・アグロに対するアンサーです。6/6と3点ゲイン。もう、筆者の言いたいことはわかるはず。《ゴミの策略家、ムエラ/Muerra, Trash Tactician》あまりにも強すぎる。1枚採用です。


ベロちゃんよりも細身

さらに、環境トップのラクドス・アグロにはアリーナ上で不利だったとしても、もう一つの秘密兵器が搭載されています。

《自由なる者ルーリク・サー/Ruric Thar, the Unbowed》×1

奇怪な具現で出すの、そろそろ犯罪にしませんか?

徹底的に自分と相手に対して肉で殴ることを要求し続けるテストステロン全開の一枚。

以前はサイドに搭載されていた彼ですが、堂々とメイン採用することにしました。文明を徹底的に憎むグルール一族代表の迷路走者は、クリーチャーでない呪文を唱えるプレイヤーに、時代遅れの鉄拳制裁を与えます。オールドスタイルのクリーチャーの出し合いが展開されそうに見えますが、このクリーチャーの背後に隠されているのは、決定的な策謀です。

一見自分も相手もこのデメリットを被るように見えますが,バード・クラス下でアトラクサを倒し,リッパーに対しては一方を取りうる決定的な6/6到達警戒。彼をのさばらせたままゲームが進行することはあり得ないので、相手は必ずこのカードに対する回答を求められます。そして、このカードを倒せるのはほぼ、クリーチャーでない呪文しかありえません。自分のデッキも動きづらくはなりますが、このカードに対抗するのをこちらはゆっくりと待てばいいのです。回答がなければそのまま勝ちでいいですし、あったとしても相手の除去を一枚削いだ上で6点のダメージを与えてくれます。


彼は、《天上都市、大田原/Otawara, Soaring City》以外のほとんどのパターンで自身のアタックと合わせてフィニッシュ級の12点を持っていってくれます。この1枚を戦場に鎮座させるというのは、このゲームのもう一つのゴールだ、と考えました。ラクドス・アグロはバード・クラス下で出てきてしまったこのカードを突破するのに、最低でもスペル1枚とクリーチャー1枚を消費するはず。スペルの抑止力になり得ます。手札によっては、12点消費することもあるかもしれません。


ルーリクサー様には…届かないねえ…

一見、自分だけが得するわけではないこういうクリーチャーが大好きな筆者は、どうにかして75枚の中にルーリク・サーを加える理由を探していたところ、どこか遠くに住んでいる同志によるメイン1枚採用リストを発見。

https://www.hareruyamtg.com/ja/deck/805899/show/

まだ温かい。どこかにものすごい《バード・クラス/Bard Class》使いがいるかもしれない。目から鱗とはこの事でしょう。そう。《自由なる者ルーリク・サー/Ruric Thar, the Unbowed》の力が全く通用しない相手は存在しないのです。彼をメイン採用しない理由は一つもありませんでした。キャストと同時に相手のデッキを畳ませる、たった1発の爆片破。ラクドス・アグロに蓋すべく現れた沈黙のフィニッシャー。文句なしの1枚採用です。

この予選期間のうちに、バード・レジェンズは飛躍的に強くなりました。しかし、結果的には特に新しいカードが入ったというわけではありません。最大の強化をもたらしよたのはブルームバロウでも、サンダー・ジャンクションでもダスクモーンでもなく、彼らが手に入れた最大の武器は組んで回してくれる人が増えたこと,集合知です。

noteを書いて以来、明らかにこのデッキは洗練され、みんなが回してくれたバード・レジェンズに《精霊との融和/Commune with Spirits》《チャンドラの誓い/Oath of Chandra》は入っていないのが当たり前。多くの人々がほんの少しずつデッキリストを洗練していってくれました。元々少ないフリースロットに、数多くのアイデアが継ぎ足され、《バード・クラス/Bard Class》というカードの可能性は、その登場から4年を経て、ついに過去最高のレベルに達したといえるでしょう。

トップメタとなったラクドス・アグロは紙で3勝1敗と有利傾向。《バード・クラス/Bard Class》さえ引いて通せば勝てる相手であるとはっきりしています。前回の神決定戦から三か月。史上最高のクオリティに達し、全方位優位となったバード・レジェンズを握り、神決定戦に挑みましょう!


神決定戦

しかし、結果は5-3と振るわず。

ラクドスミッド〇✕○
ラクドス・アグロ〇✕✕
ジャンドサクリファイス○○
ジャンドサクリファイス○○
青白コントロール〇✕✕
ラクドス・アグロ✕✕
陰湿な根○○
グリクシスミッドレンジ✕○○


つらい時でも、笑顔を忘れないみんなの姿です。

理由は明白です。

・強い人が強いデッキを回すと強い

3点で足りてますか??????

まず前提として、この日ラクドス・アグロを使用して筆者と対峙していたのは何度もフィーチャーテーブルで名前を目にしたことがある、経験値もプレイスキルも圧倒的に上であろう世界的なプレイヤー達でした。紙で3連勝したとはいえ、あんまり回っていない相手に対してイキリ散らかしていたにすぎないことをここでようやく自覚。それまで回していた人たちが弱かったわけではありませんが、デッキに対するテンション感は彼らに比べて低かったように思われます。ラクドス・アグロのポテンシャルを見誤っていました。筆者は森の仲間たちに散々下駄をはかせてもらっている弱小プレイヤーゆえ、強い人がテンション高めに強いデッキを握るととっても強いということがよくわかりました。

《自由なる者ルーリク・サー/Ruric Thar, the Unbowed》は重い

もうすでにクリーチャー並んでるけど、ルーリク・サー出してエンド(泣)

このレベルでライフを削れる相手であると、《自由なる者ルーリク・サー/Ruric Thar, the Unbowed》は4マナとは言え出す隙がありません。彼が大活躍するのは、もはや何もできない状態になった相手に対してのみであり、有利な時にドカンと出てきてとどめを刺すカードとしてのみ活躍。また、出しても4マナソーサリータイミングの《爆片破/Shrapnel Blast》は冷静にそこまで強くありません。男の悪いところを凝縮したような、テストステロン全開の一枚であることを改めて痛感しました。

普通に《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》が間に合っていない


3点で足りてますか???

《ゴミの策略家、ムエラ/Muerra, Trash Tactician》はもしかしたら本当にウーロだったのかもしれません。何回かは確かに3点ゲインしているところを目撃しましたし、試合のうちいくつかは彼女から出てくる1マナが勝利を確定させる要因となってはいました。なんとなく、弱いカードではない感じはしています。しかし、基本的には出たターンに何もしないクリーチャーであり、致死量のダメージを突き付けてくるラクドス・アグロに対してしぶしぶチャンプブロックに回すことも多かったです。

それ以前に、4ターン目に目立ちたがり目立ちたがり熊パンタイタン23点叩きつけてくる相手に対しては3ターン目に《自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath》がそもそも間に合っていない、というのは完全に盲点でした。また、ウーロであるからには、《ゴミの策略家、ムエラ/Muerra, Trash Tactician》ちゃんをキャストしたターンに3点ゲインすることが理想になります。そうするとソーサリータイミングで1マナ《塔の点火/Torch the Tower》をキャストすることになり、そのタイミングで打つとコンバット・トリックですかされてインスタント除去の持ち味を生かしきれないまま死んでしまう、という展開も見られました。ウーロだったのかもしれませんが、ウーロの強さもほかの除去あってこそです。

なお、青白コントロール戦は普通に土地が止まって負けました。



なんでこれに果敢乗るの?

うーん、残念。みんなが使いそうなデッキに明白に不利とはっきりしてしまったのはつらいものです。しかもこのデッキは神決定戦で優勝してしまい、3キルが好きな探検ユーザーも,ラクドスミッドユーザーもこのデッキを握る展開になってしまいました。

しかも、ラクドス・アグロにはアゾリウス・コントロールがまぁまぁ有利だとされています。前述のとおり、アゾリウス・コントロールは構造的にしんどいデッキ。この2つがトップ・メタになる展開だと、たくさん当たりそうなデッキ二つに対して不利な状況になってしまいます。

さらに、神決定戦の後で迎えるダスクモーンは2年6ヶ月ぶりに赤緑の伝説クリーチャーが1枚も収録されない、バード・レジェンズ的にはパイオニア史上屈指の塩セットです。苦手な奴らに塩までまかれて、レジェンズたちも心なしか気まずそう。このまま、陽気な伝説たちは環境の底に呑まれて消えてしまうのでしょうか。そんなの、さみしすぎます…
なんとかして、レジェンズたちだってラクドス・アグロを倒せるようにしっかりしてもらわないといけません!

ラクドス・アグロ突破作戦

紙では有利だと豪語していたため、サイドボードを全くとっていませんでしたが,最近あまり使っていない複数枚の《毒を選べ/Pick Your Poison》や《石の脳/The Stone Brain》を抜いて、サイドに枠をとり、新しくて強い作戦を立てることにしました。なんだかんだ彼らは構造上不利なイゼットフェニックスや探検を攻略しています。きっと今回も、彼らは集合知の力でこの関門を突破できるはず!です!!!!


突破するきっかけを与えてくれたのは、意外なことにダスクモーンからの唯一の0マナ伝説、《逃げ足速い生存主義者、ノリン/Norin, Swift Survivalist》でした。結論から言うと、彼は3回だけデッキに入った後、一度レベル3で並んだだけで真の伝説となりました。劣勢時にトップした時のうれしくなさは異常で、ブロックできないなんて論外です。また相手が絆魂である時しか効果が生きず、こいつにしかできないことはあまり感じませんでした。少なくとも今の環境では、こんなチキン野郎に大切な赤1マナをくれてやるわけには、いきません…

・塔の点火×4枚

こんなやつであれば《塔の点火/Torch the Tower》を入れたほうがマシです。…と思ってその日たまたま100円券でfoilを買っていた《塔の点火/Torch the Tower》4枚目を投入するのですが、このデッキだと《ニッサの誓い/Oath of Nissa》、《モックス・アンバー/Mox Amber》から協約が容易にできるので、基本的に占術とセットになった3点火力としてキャストすることができます。この占術1はレベル3でチェインしている途中に雑に1枚めくって占術し、次のトップを確定させる役割を持っているので、デッキを回しながら除去できる無難なパーツの一つとして定着。仮に2点でよかろうと迷わず協約。ゲーム序盤の占術は染み渡ります。もはや、名誉伝説といっても過言ではありません。僕らの台本に終わりはない。

・緑独自のサイドカード


ついでのように顔にダメージやめてください。

有利だと認識していたのは、2Tバード・クラスを置いて返しに死ななかった場合ゲームに勝てることが多い、という理由からでした。置いてターンが返ってくれば、地上をがっちりと止め、有利な盤面を形成することができます。しかし、《心火の英雄/Heartfire Hero》が出ている場合は2ターン目に勇気のフルタップにしてしまうとそのまま死去がありうるので危険だと認識。ようやく赤信号は止まれを覚えた形です。丁寧に除去を構えながらの慎重なプレイを心がけます。

世界中のデッキリストがものすごい勢いで洗練されていくうえで、みんなが取ってるサイドボードは《チャンドラの敗北/Chandra's Defeat》、《レッドキャップの乱闘/Redcap Melee》。インスタントで赤のクリーチャーに5点や4点与えられるサイドカードです。どうやらこの軽いピン除去を連打して相手を止めるのがセオリーである様子。

6マナのチャンドラも流行ってます。大人気!

しかし、1マナ5点とはいえチャンドラの敗北という方向性は1:1以上を確実に取れるというサイドカードであるだけで、《塔の点火/Torch the Tower》よりもはるかに優れたカード、というわけではなさそうです。良くて1:2交換であり,これは《塔の点火/Torch the Tower》クリティカルヒットとパフォーマンスが変わりません。いいところで《致命的な一押し/Fatal Push》がデッキに入るだけであり、リソースが増えるわけでもないデッキなので,これを4枚取ったからと言ってバード・レジェンズ側が有利になるわけではないのは明白です。ここは、緑ならではのクリティカルなサイド・カードをあらためて見つけ出す必要があります。

フルタップで《バード・クラス/Bard Class》をおくと死ぬ≒置く隙がないという展開になってしまうと、相手の高性能のクリーチャーたちの前に伝説たちはブロッカーとして悲しい最期を迎えることになってしまいます。

このデッキに必要なのは、1:1交換を確実に取れる取り回しのいい除去の追加ではなく、バード・クラスを置いたターンに確実に延命できる防御カードであり,1発を止められ、追加で1ターンを稼げるカードです。そのカードはダスクモーンで追加こそされませんでしたが、古来より緑のデッキに採用されることがある、強そうで弱くて少し強い1枚《濃霧/Fog》です。



ぽわわん!

パイオニアどころかマジック黎明期から存在する1枚ですが、実はこの環境でそこそこ有用なカードと言えるのではないでしょうか。1ターンコンバット・ダメージを無しにするだけのカードで、通常はアドバンテージを失うだけの1枚。ですが,大量のコンバットトリックが採用されたデッキであれば話は別で、雑に唱えてバットリと合わせて2:1プラス相手のクリーチャーの強制タップという状況を作ることができます。バットリが減った後や、コンバットダメージが通らなかった後の《無感情の売剣/Callous Sell-Sword》は使いあぐねることが多いので、実質2ターン遅らせることができます。ラクドス・アグロ相手だと、まさに緑の《Time Walk》です。

しかしラクドス・アグロに有利だとして流行っているのは、除去ガン積みのデッキやライフゲインガン乗せのデッキなど,真っ向から有利なデッキばかりです。濃霧で1ターン誤魔化そうなどと嘘みたいなことを考えているプレイヤーは一人もいません。本当にこのカードで勝てるのでしょうか…?


実際、《濃霧/Fog》を入れても、なんか惜しい感じを繰り返しながら、ラクドス・アグロとのマッチアップでは最後土地土地を抱えて負けることに気づいたことに気づいたのがターニング・ポイントです。時に、サイドボードは明らかに入るわかりやすいカードよりも、それによって抜けるカードのほうが大切な時があります。スタッツが小さいという理由でアウトしていた《穢れの大釜、アガサ/Agatha of the Vile Cauldron》ではなく、《敵対するもの、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis, the Adversary》に対する保険としてしか使わない赤黒のランドと重めのカードを抜いて土地19枚のリストにするとグッとデッキが締まり、面白いように有効牌を弾けて、勝つようになりました。

また、相手方のデッキが赤マナを一つ立てている状況に弱いという発見もポイントで、塔の点火を構えている状況っぽいものを作ると突っ込みづらくなり、ゆっくりしたゲームを選択してくれます。

ギリギリいろんなところで使えると判明し、リーサルを1ターン遅らせることができるこの1枚は、実は各種アグロ戦でまぁまぁサイドイン可能で1ターンで劇的に盤面を整えることができるこのデッキの戦術とベストマッチ。

ラクドス・アグロが積極的に当たりたいデッキになった瞬間でした。少なくとも、2回当たって2回負けるわけではなさそうです。ルビーから出る緑マナ一つで、状況は劇的に改善されたと言ってもいいでしょう。

苦しくなったら《濃霧/Fog》でごまかし、クリーチャーを除去って《バード・クラス/Bard Class》を置き、とある日曜にポイント争奪戦を制覇!ここに来てラクドス・アグロにすべて後手で勝利し、筆者は初めて大会で優勝するという実績を得ることができました。これは,機嫌のいい伝説たちがまた一つ環境を生き残ったことを意味しています。やはり、その場しのぎが最強。完璧主義よりも完了主義です。

CCFまでの環境の変化

トップメタに対抗して環境を生き残れるかどうか、の分岐点こそ突破できたものの、彼らにとってはその先が厳しい展開でした。

このラクドス・アグロが大流行りする環境でコントロール側が用意した回答が、2マナのエンチャント《真昼の決闘/High Noon》です。これは、クリーチャーの展開とともにコンバットトリックを唱えられなくするためのもの。


バード・レジェンズとしても《バード・クラス/Bard Class》レベル2、レベル3で0マナでたくさんのカードを唱えて戦場を制圧することができなくなってしまうのでなかなかきついエンチャントです。前述の流行中メタカード《チャンドラの敗北/Chandra's Defeat》の5点火力はレジェンズたち全員に当たってしまいますし、さらに、クラス系のエンチャントによく効くバウンス《洪水の大口へ/Into the Flood Maw》、《霊気の疾風/Aether Gust》、よせばいいのに《方程式の改変/Change the Equation》なども環境に蔓延し始めました。

また、ブルーム・バロウで強力なクラス・エンチャントや部屋が追加され、奇怪な具現デッキが増加したのも逆風で、エンチャントに対する睨みは厳しくなり、戦術的にめっちゃきついカードが大流行してしまいました。《自然に帰れ/Back to Nature》、あろうことか《大群への給餌/Feed the Swarm》まで。ついでに対策のあおりを受けてしまった格好です。メインから搭載されるようになった《ポータブル・ホール/Portable Hole》もなんだかんだきつく、あまりの恐ろしさに名前を出してはいけないヴォルデモート級の扱いを受けていた《エイヴンの阻む者/Aven Interrupter》を中心としたデッキまで登場。メタられていない、というのが取り柄の一つだったデッキなのに、トップメタ対策のついでに愉快な仲間たちがすっかり包囲される格好になってしまいました。


CCFまではバード・レジェンズを回そう、と決めてはいたものの、苦手なカードがめちゃくちゃ流行りそうな環境で握るのは愚かなことです。ですが、筆者は練習不足ゆえに他のデッキをCCFに出場する人たちと比肩できるほどにしっかりと回すことができません…。皆がいろんなデッキを試していた時間に、筆者はゆかいな森の伝説たちと遊んでばかりいたので、他のデッキを試す十分な練習時間が取れなくなっていました。

せっかくのお気に入りデッキなのに、他の選択肢を取る自信がないから、自分にスキルがないから、という消極的な選択になってしまったことを恥じるばかり。せっかく静岡に行けることになったのに、メタカードがたっぷり詰め込まれた過酷な戦場に連れていかれて、連戦ボコボコにされる展開ではレジェンズたちがかわいそうです。

「ブルームバロウ」「ダスクモーン」でバード・レジェンズはルビーちゃんしか強化されていません。リンゴをたくさん書いてもらって大喜びのりんごちゃんですが、特に他と比べて活躍している、というわけではないようです。おなかがいっぱいで眠いのかもしれません。いっぱい引きすぎても困るので、比較的怠けもののルビーちゃんがいるのは、そう悪い事ではありません。

もし仮に今環境のすべてのデッキを握る事ができたとしたら、アゾリウス・スピリットとかを握っただろうなとぼんやり考えながら、このあたりが現環境に合わせたバード・レジェンズの構造上の限界点であることを認識していました。サイドボードの枠が足りずにオブニクシリスをメインに移動する始末。(青白が流行ったので、これはそこそこよかった)現状のカードプールではこれが精いっぱいです。この環境を戦い抜くには、もう何も引けないしなにも足せません。苦手なコントロール・デッキやラクドス・アグロに対する回答を準備し、筆者は、このデッキに対して一人の人間がやれることを全部やった気持ちになりました。あまりにも多くのデッキが出てき過ぎて、すべてを対策できません。筆者は少なくとも、CCFまではバード・レジェンズを洗練し続けると決めていました。これまでで最も練習したデッキで臨めることを嬉しく思っています。ここは腹を決めて、もう出たとこ勝負でいきましょう!

https://www.youtube.com/watch?v=S4QdVgId5J0

CCF当日


当日


1R 黒単デーモン


初手のハンデスはもはやお約束。ライフが持っている状態で、《バード・クラス/Bard Class》を置けたら勝ち。

こちら1マリで並程度の周りに対し、ハンデス→除去→部屋→ドロス→2枚目の部屋で死亡。2点ドレインを繰り返し、盤面には12点クロック。こんなん無理だよ〜〜〜〜〜

2R

相手初手にハンデスなし!《バード・クラス/Bard Class》が通り、盤面を支配。相手の3Tスラッシャーを除去しながらフルパンして勝利。

3R
2マリ。しかもマナは緑のみ。残りの手札はバードクラス・インティ・イツキンス。初手でバードクラスをハンデスされつらい状況だが、トップでオースオブニッサして、とりあえずファストランドを獲得。《モックス・アンバー/Mox Amber》と合わせてアガサとインティを出すが、ここで危難の道。トップしたドムリを通し、引いたバードクラスを設置してレベル2へ。次のターン、トップしたのはオースオブニッサ。迷わずレベル3にして、殺し切ることはできないものの、4体のクリーチャーを並べることに成功。またも絶滅の契機を撃たれるも、次のトップはさらにオースオブニッサ。2マリガンから2本のハンデスと2発の全体除去を乗り越えて勝利。《ニッサの誓い/Oath of Nissa》最強!!!!

CCF初戦を見事豪運で勝利!!できたものの、ここで疲れてしまった赤緑の伝説たちは渋回りを繰り返すことになります。

2Rイゼットフェニックス××


互角のマッチアップ。《バード・クラス/Bard Class》以上に、《運命の神、クローティス/Klothys, God of Destiny》を引けるかどうかがキー。

クローティスキープするものの、土地が3枚で詰まりつづけて呪文貫きが透けているものの《バード・クラス/Bard Class》をキャストできず話が進まない。土地が詰まり続けて脅威が展開できなくなる典型的な負けパターンを辿る。8T目、相手エンドのフェアリーの4枚落としに対してクローティスでマナを出し、ピアスをケアしてバード・クラスを通すものの、フルタップになってしまって、プロフトの映像記憶からブン回りを許す結果になってしまう。強ぇ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!

2G

概ね同じようにクローティス・キープするものの、2Tバード・クラスを呪文貫き、ここまではいいが今回はマナフラッド。ハンドに2枚母性樹があり、相手にそれが透けていたのか、芸術家の才能とプロフトの映像記憶を同時に展開。1枚はプロフトの映像記憶を破壊できたものの、始めて見た芸術家の才能のドロー能力が凄まじく、これを恐れて母性樹してしまう。相手はマナが伸びた末,宝船の巡航を3回撃たれ、結果明確な負け筋である2枚目のプロフトの映像記憶を処理できず敗北。ム○○○ウジ強ぇ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!

3R ラクドスミッドレンジ

1G
1敗してしまったのでもう負けたくないマッチ。相手はバード・クラスにさわれず、こちらは思考囲いに対して回答がない、引き次第でちょっと有利目なマッチアップ。バードクラスあるからドムリルビー土地土地で1マリガンキープするものの、思考囲いでバードクラスを抜かれて、7T土地とモックスアンバーしか引かず、双剣山で耐えようとするものの死亡。最後大きい肉が欲しいところでバードクラスを引いて負け。典型的な何も引かなかったってやつ。

2G

ノーマリガンルビールビー《塔の点火/Torch the Tower》《塔の点火/Torch the Tower》土地土地バードクラスで多めの除去に不安を覚えるもののマリガンするほどではないと判断しキープ。ここに思考囲いを撃たれて、バードを抜かれる。《塔の点火/Torch the Tower》を引く。2Tルビーから、これをプッシュ。《塔の点火/Torch the Tower》を引き、塔の点火が4枚+ジェガンサのハンドが爆誕。

もう手札に4枚《塔の点火/Torch the Tower》揃うのはエグゾディア全素引きより確率が低いのだから怒りの業火 エクゾード・フレイムで特殊勝利でいいだろ。と半笑いになっているところに容赦なく思考囲いで、素晴らしいハンドを披露。混じりっけなしの《塔の点火/Torch the Tower》100%のハンドが爆誕。仕方なく《塔の点火/Torch the Tower》3枚のエグゾードフレイムでドロスを倒すもののもう一枚のドロスが出てきて、突破できずにそのまま死去。ええ〜〜〜〜〜〜!????

3Gラクドス異形化


2敗したのでもう負けられないマッチアップ。運良く相手はかなり勝率がいい、ラクドス異形化。ニクシリスにもはまりやすく、クロ―ティスも突破できない。リスト公開制で7枚のハンデスが見えており、1戦目はどうせ囲われちゃうからなとふんわりキープしたところ相手ブン回りで、こちら何も引かずに負け。選択肢無し。

2G

オースオブニッサ、ファストランド、点火、ニクシリス、バードクラス、ルビー、モックス。結構最強クラスのハンドをキープ。オースオブニッサで土地を持ってくればストレートに勝てそう。ハンデスで抜かれても、ニクシリスまで見えている。

しかし先行1ターン目に見た《ニッサの誓い/Oath of Nissa》の結果は

《形成師の聖域/Shapers' Sanctuary》
《ニッサの誓い/Oath of Nissa》
《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》。

対象なし。

「対象無し」をパーセントに直すと、約3.87%になる。実際は土地しか当たりがなかったので、25%の確率で外す賭けではあったが、それでも75%は当たる賭け。あろうことか二日目進出をかけた大事なマッチアップの有利体面で、最後の最後の大事なところで、あらゆる方面で全幅の信頼を寄せていた《ニッサの誓い/Oath of Nissa》に裏切られてしまうなんて!

2ゲーム連続で確率一桁台の下振れを引き,愛してやまなかったデッキとカードに紙でできた悪意をぶつけられたと解釈する他なく,この3枚を見て完全に心が折れてしまいました。なんとなくこれから先も引かないんだろうなと思い、案の定土地は止まり続け、げんなりティルトしてしまってどうでもいい銀行破りに毒を選べを打ったのは明白なミスですが、その後土地が1枚で詰まっている間にアトラクサが着地。

ようやく土地が到着して手札はそろっていたためギリギリでレベル3に辿り着くもののトップは待ってましたとばかりにファストランドで伝説がハンドに残らず、申し訳なさそうな顔をしたアトラクサに殴られて死亡。

1年やった中でもブレ値として許容できない不運を2戦連続で体験した末にあっさり目無しに。高い交通費と旅費をかけた末に、準備して楽しみにして、結局今日はこのデッキを回してはいけない日だった。普通のイベントだったらもう帰ろうかな、くらいのテンション感だし、他のイベントなら行けるとも思えなかったので、特にパイオニアの他のイベントで同じデッキで出る気にもなれなかった。このデッキもマジックというゲームにも完全にしんどくなってしまった。反抗期を迎えた息子に対する母親の気持ち。俺は今完全に更年期障害を迎えていた。連戦連戦同じようなデッキばっかりで、悪意の塊みたいなカードを引くか引かないかでしかないゲームに付き合わされて、こんなところまで来て何をやってるんだ?ドロップしてもやることがなかったので、次の席に座るが、この1年ほどこのデッキを回してきたのは何だったんだろうという思いでいっぱいだった。ここから3戦相手してくれたプレイヤーには申し訳ないと思うほど、この時の自分は勝負に心が向かっていなかった。もう、みんな目なしだけどマジックをプレイしたくて席に座っている人々だというのに。

5R VS ラクドス果敢


1G

除去なしのハンドに不安を覚えながらも引いてきた点火で目立ちたがりや英雄を倒し、クローティスとハジャールで地上マウントを取り勝利。3敗ラインまでくると相手の周りも渋かった。

2G

土地1オースオブニッサキープ。もはやさっきこれで負けたから、などの発想も得られず、オースオブニッサを外し、イツキンスを連れてくるが、3T土地を引かずそのまま負け。

3G

点火とバードクラスの手札で危なげなく勝利。もう見慣れた伝説たちを毎回同じように並べて、はいはい、よくできたねとしか思えない。勝ったけど何も楽しく感じられない。勝った負けた以上に毎回同じようなカードを並べているだけのデッキをよく1年近く擦り続けたものだ、としか感じられなかった。

6R VS 《奇怪な具現/Enigmatic Incarnation》


ニヴに似た、1ターン1アクションのデッキ。
1ゲーム目からして完全に萎えていて2マリガンから特になんの物語もなく負け。

2G
先手のため,2T目に相手の版図が達成せず,バードクラスのレベルを安心してあげることができ、盤面を完成させて押し切る。

3G目、1T目に貼った形成師の聖域が効いていた。2Tバードクラスから、失せろand相手の4T奇怪な具現ををケアしてアンバーとハジャール素出し。バード・クラスに失せろが飛んできて、ハンドに大量の母性樹を抱えながら、具現を割ってブロッカーとして降臨したミストムーアの大主を倒して、稲妻のらせんからスカイクレイブの亡霊でクリーチャー全処理+2ドロー。形成師の聖域からニッサの誓いに辿り着き、相手のエンドにスカイクレイブの亡霊を除去して、手に入れたスピリットがハラナアレイナの力で6/5になり勝利。

7R VS《地獄の樹/Tree of Perdition》




もう最後だから慈しむように回すだけです。1ゲーム目は《バード・クラス/Bard Class》引いたから仕方なくフラッド気味な手札をキープして《思考囲い/Thoughtseize》でその後何も引かず。はいはい。

2ゲーム目は《思考囲い/Thoughtseize》されなかったから勝ち。はいはい。

3ゲーム目はライフギリギリでレベル3に辿り着けそうなものの、土地が《森/Forest》《耐え抜くもの、母聖樹/Boseiju, Who Endures》《銅線の地溝/Copperline Gorge》で、赤マナが一つしかなく、除去が1発しか打てなかった。ここでトップは2枚目の母性樹。最悪。もう一つ赤マナがあれば、手札に2枚のチャンドラの敗北をキャストできたけど、もはやがっかりもしませんでした。

4-3だったらまだ繋がっていた(繋がっていない)が、3-4なので、当然MTGmeleeに「あなたはもうトーナメントに参加していません」という表記が出てきて、完全に2日目にたどり着いた人たちの世界と切り離されてしまったことを実感。

結果を決定付けてしまった3.4戦目はほとんど選択肢もデッキ相性も関係なく、なんの学びも成果も得られませんでした。いったいこれでCCFならではの経験ができたと言えるのでしょうか?

結果メタゲーム・ブレイクダウンを見る限り,なんだかんだデッキ選択(?)も調整も悪くはなかったように思えますが,こういった形で終わってしまうと、本当にデッキに1枚や2枚のカードがゲームを左右するとは思えません。実際は上10枚くらいの内訳がゲームを最後まで決定づけてしまいます。環境やフォーマットが変わろうと、似たような特定のカードを引いた引かないのゲームに付き合わされるのがオチです。土地事故をそのルールに内包したマジックがクソゲーでなかったことなんて、その始まりから一度もないし、各地の店舗予選に行って予選から足繁く通って、同じデッキを少しずつ研鑽し続け、移動や宿泊のコストをかけて柵の中に辿り着いても、結果私たちは1日何度もデッキに悪意を向けられたような酷い事故を起こしてしまいます。ここまでひどい運負けをしてしまうとミスしたから、実力が足りなかったからまたこの柵の中に戻ろうとも思えません。


そして、これこそがこのデッキの最大の弱点でした。《鏡割りの寓話/Fable of the Mirror-Breaker》/《キキジキの鏡像/Reflection of Kiki-Jiki》や《永劫の無垢/Enduring Innocence》のような事故をカバーする手段を持たないバード・レジェンズは、3Rのフライデー・ナイト・マジックや何度か挑戦できるエリアや店舗の予選を勝ち抜くことはできても、8Rの長丁場、一本勝負のゲームになるとどこかでほころびが生じ、プレイングでカバーできずに相性関係なく負けてしまうゲームを発生させてしまいます。

この弱点こそがこの最強のデッキをみんなが握らない理由。ハグスでなくジェガンサだった理由。《敵対するもの、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis, the Adversary》を入れても青白コントロールに負けてしまった理由。CCFまで持ち込んで初めて気づきましたが、この事は、筆者自体がいい感じで回りそうな日に集中してアリーナのランクを上げていることからも気付くべきでした。このデッキは明白なトップスピードの強さと引き換えに渋回りの時の受けがないために脆い。


直前に投入した、親を〇された憎しみ。


TTTの仲間とせっかくだからターボタウン・イベントに出てパックをもらおうという話になったのですが、私たちは結局、1ゲームもプレイせずにターボタウン・イベントの席を立ってしまいます。プレイマットを出して少し眺めた赤と緑の、使用者が一人しかいないローグ・デッキには、本当に、なんの霊感も通っていなくて、なんの音楽も鳴っていませんでした。全てポイントによって自力発光させサインまでしてもらったはずの光の束は、初日に負け越したプレイヤーが持ち込んだ紙束に変わってしまっていて、肝心な時に魔法はすっかり溶けてしまっていました。

デッキは腐っているし、ついでに俺は疲れている。筆者は森の仲間たちに悪意を向けられた瞬間の《ニッサの誓い/Oath of Nissa》の3枚が焼き付いて離れません。《形成師の聖域/Shapers' Sanctuary》《ニッサの誓い/Oath of Nissa》《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》最悪のタイミングでやってきた、デッキに外せない大切な3枚。次の予選が始まっても、もうそこまで頑張って参加することはないだろうなと思いながら早めにホテルに戻って眠りにつきました。


お前の芸はそれだけか?











2時間程度眠って起きるとさっきまでの凄まじい怒りと動揺の感情はどこかに消えていて、一体自分にとって調整した末に下振れで終わったこの期間はなんだったんだろうか、という疑問だけが残っていました。外に行こうと下に降りると、ロビーで所属しているコミュニティであるTTTのみんながマジックの話やどうでもいい話をしながらお酒を飲んでいました。筆者もそこにふんわり混じりました。それは久々に行った修学旅行の夜の様で、みんなしょーもない話題をはさみながら、今日の結果の話や、新しいデッキの話をしていました。もしかしたら私たちの競技マジックは、まだ続いているのかもしれません。

筆者はここで、彼らの一緒にエリア予選を回りましょう、という言葉を糧に競技マジックに挑戦し始めたことを思い出します。筆者は最初からみんなと予選や競技マジックというものを回ってみたかっただけでした。そしてこうしてnoteを書き始めたのもTTTのみんながきっかけにほかなりません。予選期間内外含めて多くの人がnoteきっかけに話しかけてくれて、それはCCFのゲームの最中にも起こりました。(《塔の点火/Torch the Tower》4枚そろって負けたり、お互い渋回りで終わったりはしたものの)

手のひらに収まる小さな神さまたちは筆者に知り合いをたくさん作ってくれて、つかの間の名誉を与えてくれました。ラウンドの合間にも多くの人と話すことができて、いい仲間に囲まれたものだと感じました。無重力状態でCCFという戦場に降り立つことができたのは紙でできた伝説たちではなく,筆者の方です。競技マジックはそんなに小さなゲームではありません。引くか引かないかで終わるのは1マッチ単位の話でしかなく、遠くに向かったり勝ったり負けたりお酒を飲んでみたり、全部含めて競技マジックでした。

レベル3に到達した《バード・クラス/Bard Class》は、知らないところに連れていってくれはするものの、そのターンやそのゲームに勝てるかどうかは保証されていません。今回は外してしまった、ただそれだけのことで、レベル3にたどり着いただけでゲームの目標は達成しています。そして3-4という結果は、よく見てみるとそこまでぼこぼこにやられ続けたというわけでもありません。森の仲間たちは、りっぱに戦ってくれていました。予選や競技マジックというものを回ってみたかっただけだったと考えると、これはある意味目標をはるかに超える達成だったと言えるでしょう。これもここまで読んでくれた皆さんがいるからにほかなりません。もしよかったら、文章を書く励みになるので、下から心ばかり課金していただけると嬉しいです。

勝っても運だし負けても運かもしれませんが、この柵の中に入れたことは実力でしかありません。実力には、試行回数や運、強いデッキを握る審美眼のすべてが含まれています。私たちは多かれ少なかれ、そのテーブルの前に座って、何回か会う人かもしれないプレイヤーと対戦することを選んでいます。本当は1ゲーム1ゲーム勝つことにも負けることにも、その先の結果にさえも大した意味はなく,どのように感じてどこに向かうか、ということにしか大事なものはないのかもしれません。今回は私たちのコミュニティからプロツアーに参加するプレイヤーも現れました。がんばったのは彼であることは間違いありませんが、これは私たち全員の勝利といっても過言ではありません。心の底から誇りに思っています。

とはいえ、筆者もCCF直前の目まぐるしい環境の変化で、サブデッキを持っておくことの大切さを身に染みて学んだので、しばらくは別のデッキやフォーマットを楽しんでいこうと思います。やってみたいデッキはたくさんあるし、競技のない暇な期間に色々研究することこそが急がば回れの近道です。

ホテルの部屋に移動すると、どうやら大量発生しているらしいミドリカメムシがどこからともなく侵入していて、簡単にちり紙で捕まえてトイレに流して退治するのを私たちはなんだかんだそこそこ楽しんでいました。こんな歳にもなって、こんなことで遊んでいるなんて笑えます。まぬけな虫をくるんだちり紙が、静岡のホテルの一室を無重力状態で飛んでいました。


どんなに茨が鋭くても、どんな汚らわしい獣が襲ってきたとしても、
彼女を止められるものは何もなかった。

ここから先は

0字

¥ 500

期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?