「トーレスと僕たちの1年間の冒険はもうすぐ終わる」
ついに明日はフェルナンド・トーレスの引退試合。トーレスほどの選手が日本、そして鳥栖で最期を飾るということは、ものすごいインパクトを日本フットボールシーンに残すことは間違いない。
「トーレスと僕たちの1年間の冒険はもうすぐ終わる」
約1年前の2018年7月、大方の交渉破断の噂を乗り越えて、エル・ニーニョ(神の子)ことフェルナンド・トーレスのサガン鳥栖入団が発表された。鳥栖が20年前に発足した当初は、財政難で解散した直後で経済事情を考えて所属選手はすべて日本人選手のみで結成された。その後数年間は海外の即戦力選手が加入することはなく、外国人ストライカーが加入するようになったのはここ数年の話。そんな中、ヨーロッパの第一線で活躍した選手が鳥栖のユニフォームを纏ったのは感動を通り越して、まさに”奇跡(キセキ)”だった。明日が終わればそれも夢ではないと感じるんだろうと思う。
もともと個人的には海外の有名選手を追いかける類は辟易するタイプだ。昔見たトヨタカップでひたすらラウールと叫ぶ輩がほんとうに嫌いだった。「きちんとチームを見ろと、そしてお前の地元にもラウールの原石はいる」と彼らに伝えたかった。だから当時、弱小であったサガン鳥栖を応援し続けたのであって、それは今にも変わらない。
とにかく、有名なスターというだけで手放しで喜ぶ方ではなかったが、欧州CLやW杯を獲ったプレイヤーが、J1残留争いを勝ち残るために、必死にポストプレーや守備を泥臭くやる昨年の姿は感銘を受けた。おそらく、日本に来ずに慣れた自国リーグでプレーしていたら、もっと活躍できたかもしれない。それでも日本行きを選んだ彼の決断は感服しかない。
実はトーレスは4年前の鳥栖とアトレティコとのフレンドマッチで佐賀を一度訪れている。だから鳥栖は東京や大阪のような大都市でないことは来る前から知っていた。それでも、鳥栖のユニフォームに身を包んだのは、彼のチャンレンジ精神と人間性がもたらしたんだと思う。
多くの人は楽な方を選ぶのに、全く環境が違う場所を選んだ。おじいちゃんの影響で黄金期のレアル・マドリーではなくアトレティコを選んだところも非常に好きだ、アトレティコで愛されていたのも当然だと思う。
こんな完璧な選手がシーズン半ばで引退するのは信じられない。でも彼だから出来た方法なんだろうと思う。カズの様に現役にこだわって現場で直に伝えるのも一つの手段だが、トーレスの様に全盛期を残しながら去るのも一つの特権だからだ。
明日の試合はまず勝つことが重要なのはあたりまえだけど、その上で彼の残した”軌跡(キセキ)”を目に焼き付けたいと思う。
そして、スタンドを見渡せばフェルナンド・トーレスの原石は必ずいる。きっと彼が去った後も、その原石にインパクトを与え続けるだろう。
「If you have a dream work hard to get it, you can do it. Impossible is nothing. Believe in youself. Fernando Torres」
”夢を実現するために一生懸命努力していれば、それを実現できます。不可能なものは何もない。自分を信じて。フェルナンドトーレス"
※2018年7月佐賀幕末維新博の本人メッセージより引用