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WBSを作成するときに考えていること

こんにちは。スーパーソフトウエア東京オフィス技術部のKoyoです。
今回は、WBSを書き慣れていない方に向けて、私がWBSを作成する際に考えることを書きます。


そもそもWBSとは

Work Breakdown Structure[1] (WBS、作業分解構造)は、プロジェクトを理解し管理する上で、プロジェクトの各工程を各担当者の作業レベルまで展開し木構造にまとめたもの。どのレベルまで展開するかはプロジェクトの全メンバーが作業内容を「具体的に○○をする」と理解出来るレベルまでに分解するのが理想であるが、最低でも作業担当者とプロジェクト管理者の理解が得られるレベルまでは必要である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/Work_Breakdown_Structure

この説明だけを見ると、WBSは「木構造になっている作業のタスクリスト」である、という風に言えると思います。

ところが、ウォーターフォール開発において、WBS=単なるタスクリスト、とみなしていない現場も見受けられます。

"現場"のWBS

ウォーターフォール開発の現場でエクセル管理されたWBSと言えばタスクリストの右に担当者、スケジュールなどがあり、日々、進捗を更新していくような形式です。

ChatGPTに作ってもらった、よくあるWBSのテンプレート
タスクリストになっているのは赤枠部分で、残りの部分は"ガントチャート"

このような、原義(Work Breakdown Structure/作業分解構造)に加えて、ガントチャートまでを含めて「WBS」と呼称されている、ということを意識することで、WBSが書きやすくなるのではないかと考えています。

PMが本当に欲しかったもの

客がドリルを買いに来たとき、本当に欲しいのはドリルではなく穴である。

という、有名な格言があります。

ドリルを買う人にとって、ドリルは「手段」であり、本当に必要なのはドリルで開けた穴(「目的」)である、という話です。この格言を、今回のWBS作成に当てはめて考えると、
 PMがWBSを欲するとき、本当に欲しいのはタスクリストではない
と言えるのではないかと考えています。

いままで私がPMと話してきた範囲の話にはなりますが、PMが本当に欲しい(知りたい)ことは

  • 作業はいつ終わる予定なのか?

  • 進捗状況を確認する手段があるか?

  • 特定の担当者に難しいタスクや、捌けない量のタスクが集中していないか?

など、全体を俯瞰できるようにすることであり、タスクリスト部分が本質として求められてはいないように感じます。
(この辺りは、プロジェクト/PM/PLによって考え方が異なるので、しっかり確認しましょう!)

タスクリスト部分を作るときのコツ

WBSを作成するにあたって大切なのは、

  • メンバーが作業を理解できること(原義のWBSの目的)

  • プロジェクト管理ができること(現場のWBSの目的)

の両立であると考えます。

タスクリストとガントチャートを分けて考える

とは言え、1つのWBSフォーマットで2つの目的を両立させる、というのは難しいと思います。
なぜなら、「メンバーが作業を理解できる」ようにするためには、タスクをより細かく・具体的にすることになります。
一方で、タスクが分解され過ぎて数が多い・単位が細かすぎると進捗管理が逆に難しくなります。

そこで、目的の両立が難しい、という問題を回避するために、1つのフォーマットで頑張るのではなく、2つのフォーマットでそれぞれの目的を満たせばよいのでは、と考えています。

2種類のWBSを用意する

大抵のウォーターフォール開発では「プロジェクト管理用」のWBSフォーマットが存在すると思いますが、このフォーマットのことは一旦忘れます。
まずは、とにかくタスクを細分化し、「メンバーが作業を理解する」ための言葉通りの意味のWBSを作ります。

そして、このWBSをインプットに「プロジェクト管理用」のWBSを作る、という流れで作業を行うことで、WBSの元々の目的である作業の具体化と、プロジェクト管理しやすい単位のタスク分割が両立させやすくなるのではないかと考えます。

先にとにかく具体化してしまって、管理しやすいように抽象化する

※後々、実施した作業が「プロジェクト管理用」WBSのどのタスクと紐づくのかが分からなくならないように、2つのWBS間のタスク紐付きは、記録しておきましょう。

「プロジェクト管理用」のWBSが成果物ベース(画面名や、ドキュメント名をタスクリストとして並べる)場合であっても、原義のWBSを作ることは作業イメージを掴み、スケジュールを立てる際に活用できると思います!

まとめ

  • 慣例的に、ガントチャートのことをWBSと呼ぶプロジェクトも存在するため、流儀をしっかり確認しましょう!

  • WBSはプロジェクトにとっての金科玉条になりえます。求められているものについては、しっかり認識合わせをしましょう!

  • 1つのフォーマットで、複数のニーズを同時に満たすことができないならば、「ガントチャート用のWBS」と「実作業用のタスクリスト」で分けてしまうなど、柔軟に考えるのも有効です!


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